日本経団連タイムス No.3014 (2010年9月30日)

「平成23年度都市・土地・PFI税制改正に対する要望」公表

−都市再生・地域再生の加速策や民間活力の活用促進を目指す


日本経団連は14日、「平成23年度都市・土地・PFI税制改正に対する要望」を公表した。同要望は、平成23年度税制改正に対する意見を取りまとめたものである。
概要は次のとおり。

■ 都市再生・地域再生を加速するための施策

都市再生特別措置法の枠組みは、都市再生の中心的な施策として、税制・金融支援、都市計画の特例などの各種の支援措置が相まって、これまで多くの民間投資、経済波及効果をもたらしてきた。

今後も民間の活力を活かして、わが国の成長基盤の強化につながる都市開発プロジェクトを進めるため、都市再生特別措置法を前倒しで延長するとともに、その延長期限にあわせて都市再生促進税制の適用期限を延長すべきである。さらに、地域再生に大きな貢献を果たしているまち再生促進税制についても、適用期限を延長すべきである。

政府は新成長戦略(2010年6月)において、総合特区制度の創設を掲げた。また、国土交通省成長戦略(同5月)も「国際競争拠点特区(仮称)」の設定をうたっている。こうした特区制度の創設にあたっては、民間の意見を十分反映するかたちで、税制・財政・金融上の支援措置、規制緩和等の施策を講ずるべきである。

また、民間資金を活用して都市基盤の高度化を図り、不動産市場の拡大につなげるため、Jリート(不動産投資信託)・SPC(特別目的会社)が不動産を取得した場合の不動産取得税の軽減措置を延長すべきである。

さらに、市街地などの再開発事業を進め、都市機能の高度化につなげるため、市街地再開発事業促進税制や認定事業用地適正化計画に係る特例措置の延長も必要である。

■ 民間活力の活用促進に資する施策(PFI税制)

PFI(Private Finance Initiative)は、民間の知恵やノウハウを活用して財政負担を抑えながら、わが国の成長基盤となるインフラや公共サービスの高度化を実現する手段として期待されている。PFIの拡大にあたっては、単に行政コストの削減だけでなく、民間の参入意欲を促すインセンティブある制度づくりが重要である。

PFI事業において、施設等の所有権が官側にあれば非課税になるが、民側にある場合には資産課税を受ける。双方とも公益目的の事業であり、所有権の所在にかかわらず、資産課税を非課税化すべきである。あわせて、官側が所有権を持つ事業についても、課税当局の判断で課税扱いとされる可能性があることから、非課税扱いを明確にする必要がある。

その他、PFI事業については、通常、契約期間が施設設備等の法定償却期間よりも短いため、契約終了時点で未償却資産が残存する。この問題を解消するため、PFI事業の契約期間に見合った償却制度の導入が求められる。さらに、施設など大規模修繕に備えた修繕積立金制度の創設も必要である。

【産業政策本部】
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