日本経団連タイムス No.3014 (2010年9月30日)

循環型社会構築、企業の取り組み推進へ環境整備など求める

−「循環型社会のさらなる進展に向けた提言」公表


日本経団連は、廃棄物最終処分場の逼迫という問題の克服だけでなく、資源制約の克服という観点からも、「環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕」等を通じ、循環型社会の構築に向けてさまざまな取り組みを進めてきた。今後も産業廃棄物最終処分量の削減に向け取り組まなければならないが、削減は限界に近づいている業種も多い。そこで、日本経団連は14日、「循環型社会のさらなる進展に向けた提言」を取りまとめ、企業による循環型社会構築の取り組みを一層推進するために必要な環境整備・制度運用の見直し等を求めた。提言の概要は次のとおり。

■ 循環型社会に向けた技術開発・設備投資の促進と副産物の用途開発

企業は、天然資源や再生資源を投入して、さまざまな生産活動を行っており、それに伴い、多種多様な副産物が発生する。循環型社会をさらに進展させるためには、副産物の発生抑制や再資源化などのための新たな技術開発が不可欠である。そこで、次世代の資源循環促進技術の研究開発費や資源循環の促進に資する設備投資等に対し、税制上の優遇措置や助成制度を拡充すべきである。

また、資源循環を促進させるためには、大量に発生する副産物の安定的な用途開発の推進や受け入れ先の拡充が重要となる。そこで、生活環境の保全上支障がない副産物の公共事業への優先的利用などを促進すべきである。

■ 「自ら利用」の促進と企業間連携による資源循環

副産物の資源としての有効利用は、同一事業所・企業内、企業グループ内、同業種内、さらには業種の枠を越え進んでいる。こうした資源循環の輪をさらに広げていくために、さまざまなレベルでの連携を支援しなければならない。

そこで、生産工程における副産物の「自ら利用」が廃掃法の適用外であることの明確化などにより、工場等の生産工程において副産物の再利用が促進されるような条件を整備すべきである。また、業種や業態の実情に応じて、企業間連携による資源循環が進むよう、グループ内の企業間での中間処理・再生利用を「グループでの『自ら処理』」とする選択肢などを用意すべきである。

■ 廃掃法の特例を活用した資源の有効利用の促進

副産物の再資源化には、廃掃法の許可が必要となる中間処理を経なければならない場合もある。したがって、既存の特例制度(再生利用認定制度、広域認定制度)を拡充するなど、廃棄物処理制度を拡充し、資源の有効利用につなげていくべきである。

■ 効率的な資源循環の促進

わが国全体でより積極的な資源循環を推進するためには、再利用可能な資源を効率的に収集運搬することが不可欠である。

そこで、公共岸壁での積み替え保管については規制を緩和して、全国規模での大きなリサイクルの輪を構築すべきである。

【環境本部】
Copyright © Nippon Keidanren