日本経団連タイムス No.3014 (2010年9月30日)

自民党首脳との懇談会開催

−税・財政・社会保障の一体改革などめぐり意見交換


日本経団連は15日、都内で自民党首脳と当面の重要政策課題等をめぐり意見交換した。会合には自民党から、谷垣禎一総裁、大島理森副総裁、石原伸晃幹事長、小池百合子総務会長、石破茂政調会長、中曽根弘文参議院議員会長、小坂憲次参議院幹事長、森山裕経理局長らが出席。日本経団連から、米倉会長、渡文明評議員会議長ら16名が出席した。

持続的な成長の実現へ

開会あいさつで、米倉会長は、「わが国経済の状況は内需が伸び悩み、依然としてデフレの傾向が続くなか、急激な円高が進行している。さらに、少子化による人口減少や世界における存在感の低下など、極めて厳しい状況にある。日本経済の復活と再生に向けた諸施策の実行は待ったなしの最重要課題だ。とりわけ、魅力ある経済環境の整備と税・財政・社会保障の一体改革の実行は、持続的な成長を実現していくうえで必要不可欠だ」と述べるとともに、「自民党には、国民生活に真に必要な改革を実行するため、超党派協議の仕組みづくりを含め、国民のための議論を進めてほしい」と要望した。

続いて、谷垣総裁は、「参議院では野党が多数派だ。与党が緊張感を持って政治を行うよう、国会論戦に臨んでいく。また、日本をどのような社会にしていくのかという中長期的な観点から積極的に政策を発信する」と述べ、与党の出方を待つのではなく主体的に問題提起を行っていくことを強調した。

また、大島副総裁は、「自民党の役割は二つだ。一つは早く政権を奪還し、経済に成長力を与える政治を取り戻す。もう一つはその過程のなか、ねじれの状態を活用し、主体的に問題提起を行っていく。この両面が求められている」と述べた。

意見交換では、森田富治郎副会長が社会保障制度の再構築と財政健全化の観点から税制抜本改革の推進を要望したことを受け、石破政調会長は、「参院選公約で消費税率の10%への引き上げを掲げたが、借金返済のためではなく福祉目的に限定した増税だ。社会保障関連支出の自然増、社会保障給付の充実分等を消費税で負担するとなれば、最低5%の増税が必要になる」「法人税減税も急務だ。法人税は高い、環境規制・労働規制も厳しいということでは、企業に国外に出ろと言うのと同じだ」と応じた。また、地球温暖化問題をめぐっては、宗岡正二副会長が「地球規模での温室効果ガス削減に向けては、日本だけが不公平な義務、規制、負担を強いられることなく、技術の開発を後押しし世界的に普及させることが重要だ」と発言したことを受け、石破政調会長は、「温暖化交渉では、日本以外の国が日本だけに負担をしわ寄せしようとしている面は少なからずある。この外交的現実を見据えたうえで、目標値のあり方など、きちんと対応していくべきだ」と応じた。

発言する米倉会長(左)と谷垣自民党総裁
【政治社会本部】
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