日本経団連タイムス No.3015 (2010年10月7日)

大畠経産相はじめ経産省幹部と懇談

−成長戦略、税制、環境、通商などで意見を交換


あいさつする大畠経産相

日本経団連(米倉弘昌会長)は9月30日、東京・大手町の経団連会館で、経済産業省幹部との懇談会を開催した。懇談会には、経産省から大畠章宏経済産業大臣、池田元久経済産業副大臣、松下忠洋経済産業副大臣、中山義活大臣政務官、田嶋要大臣政務官らが、日本経団連から米倉会長、渡文明評議員会議長、副会長らが出席した。

冒頭、あいさつした米倉会長は日本経済の現状に触れ、「企業の想定を上回る急激な円高は、わが国産業の海外移転を加速し、ひいては国内の雇用機会を喪失させるおそれがある。厳しい状況を打破するためには、迅速かつ果敢に必要となるあらゆる政策を遂行することが不可欠である。とりわけ、『新成長戦略』の速やかな実行や、税・財政・社会保障の一体改革をはじめとする重要課題に対して、超党派での協議も含め全力で取り組むとともに、国内投資の活性化に向けた環境を整備するというかたちで、新成長戦略を着実に実行すべきである」と指摘し、その早期実行に向けた大畠大臣のリーダーシップに期待を示した。

続いてあいさつした大畠大臣は、「企業が世界の激しい競争のなかでも勝ち抜いていける環境をつくるために一丸となって行動していく。9月10日には総理のリーダーシップのもとで新たな経済対策を取りまとめており、(1)円高デフレに対する緊急的な対応(2)今後の動向を踏まえた起動的な対応(3)新成長戦略の本格実施――という三段構えで対応していきたい」と述べた。

■ 意見交換

意見交換では、日本経団連側から、「国家レベルでグローバルに法人税の引き下げや、研究開発、インフラ輸出の激しい競争が行われており、法人の税負担の実質的な軽減や研究開発投資に占める政府負担の割合の拡大などを行うべきである」(西田厚聰副会長)、「国民が安心できる持続可能な社会保障制度の構築と危機的な状況下にあるわが国財政の健全化に向け、消費税を含む税制抜本改革を一刻も早く断行することが不可欠である」(渡辺捷昭副会長)、「経団連では現在、『低炭素社会実行計画』を取りまとめ中であり、これを政府の温暖化政策の柱に位置付けてほしい。また、産業界と経産省、環境省、外務省との横断的・恒常的な意見交換の場を設けてほしい」(坂根正弘副会長)、「地球温暖化対策基本法案が今回の臨時国会でそのまま再提出されることに強い懸念を持っている」(清水正孝副会長)、「EPA・FTAの締結など、アジアを中核とする開かれた地域経済統合の推進に向けて省庁間の連携を強化し、総合的に対応してほしい」(大橋洋治副会長)などの発言があった。

これに対し、大畠大臣からは、「各分野で厳しい現状を踏まえて対応すべきという大変率直な意見をもらったので、今日の話をしっかりと踏まえて対応していきたい。お互いの理解促進のため、今後も時々このような会合の開催をお願いしたい」とのコメントがあった。

【産業政策本部】
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