日本経団連タイムス No.3017 (2010年10月21日)

企業結合に関する独占禁止法上の審査手続・審査基準の適正化を求め提言

−事前相談制度などで経済界の考え方示す


現行の事前相談と審査手続のフローチャート

日本経団連は19日、提言「企業結合に関する独占禁止法上の審査手続・審査基準の適正化を求める」を取りまとめ公表した。経団連では、従前よりわが国の企業結合規制は国際的な競争実態を踏まえておらず、合従連衡を通じた企業の競争力強化の障害となっているという問題を指摘してきた。今般、政府で、2010年度中に企業結合規制を見直し、所要の措置を講じるとされたことから、改めて経済界の考え方を示すこととした。提言の概要は次のとおり。

1.事前相談制度について

独占禁止法では競争を実質的に制限するような株式取得や合併等の企業結合を禁止しており、予防的な仕組みとして、一定の基準を超える場合は、公正取引委員会(公取委)に事前届出を行う義務がある。なかでも独禁法上の問題がありそうな案件は、届出前に公取委に事前相談をするのが通例であり、その場合、公取委は事前相談で実質的な審査を行い、判断を示している。
しかし、現行の事前相談では、結論が出るまでのスケジュールの予見可能性が低く、長期化しがちである。
そこで経団連は、事前相談段階を円滑な届出受理と迅速な審査のための調整・協議のプロセスと位置付け、審査スケジュールの目安や審査で必要な資料等の明示を求めている。

2.届出制度について

現行届出制度については、企業結合関係の判断基準が曖昧であり、届出対象が広範にわたるという問題がある。そこで、簡易届出制度の導入を含め、届出の簡素化や届出資料の明確化が必要である。また、審査の各段階で、審査の見通しなどを説明することを求める。

3.審査基準について

グローバル市場での競争の実態などについて、担当官によって判断にばらつきがあり、国際的な競争の実態を踏まえずに、国内市場のシェアや順位に拘泥し、地理的市場、商品・サービス市場とも狭い市場画定が行われることが多い。
審査においては、時々刻々と変化する経済実態に即した判断を行い、企業の競争力向上につながる柔軟な判断が行われることを求める。

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なお、今年3月、経済界が長年主張してきたとおり、公正性・中立性の向上の観点から、公正取引委員会による審判制度を廃止し、裁判所に第一審機能を委ねる内容の改正法案が国会に提出され、現在衆議院で継続審議となっている。同法案の早期成立を引き続き強く求めたい。
提言本文は、日本経団連ホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/094.html)に掲載している。

【経済基盤本部】
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