日本経団連タイムス No.3017 (2010年10月21日)

「新規学卒者等の採用に関する要請」受ける

−文科・厚労・経産3大臣から


日本経団連は8日、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の3大臣連名による「新規学校卒業者等の採用」に関する要請書を受理した。
これに先立ち、4日、高木義明文部科学大臣が米倉弘昌会長を訪問し、同趣旨の要請を行った。
高木文科大臣は、今年も新規学卒者の就職環境が非常に厳しいことから、(1)新卒採用枠の拡大(2)既卒者の採用機会の拡大(とりわけ卒業後3年間は新卒扱いとすること)(3)企業の採用選考活動の早期化の是正――等を求めた。これに対し、米倉会長は、極力多くの採用機会を提供するよう会員企業に呼びかけていきたいと応じた。また、採用選考活動について、日本経団連では、「採用選考に関する企業の倫理憲章」の周知に努めていると述べた。3大臣の要請書の内容は次のとおり。

新規学校卒業者等の採用に関する要請書(全文)

今春の就職内定率は、新規大学卒業者で91.8%、新規高校卒業者で93.9%と、特に大学は前年から大きく低下し、ここ10年来で最も厳しい状況となっており、来春に向け、就職環境がさらに厳しくなることが懸念されます。

また、未就職卒業者は約7.5万人(前年度比約3.1万人増)にのぼっており、いったん卒業すると、新卒枠への応募機会が極めて限定されるため、正社員として就職することが困難になり、フリーターとして労働市場に滞留することが懸念されます。

このような状況を踏まえ、文部科学省、厚生労働省および経済産業省では、学校とハローワーク等との連携により、「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」(平成22年9月10日閣議決定)に盛り込まれた対策を実施し、1人でも多くの新規学校卒業者および未就職卒業者の就職が実現するように努めるとともに、卒業時点で学生・生徒が社会人・職業人として必要な資質能力を備えるよう、義務教育段階からのキャリア教育・職業教育を推進し、特に大学においては学生の就業力の育成を図る取り組みを強化していく所存です。

産業界の皆さまにおかれましても、将来にわたる日本経済の競争力・生産性の向上を図るため、こうした取り組みにご理解をいただき、新規学校卒業者および未就職卒業者のための採用枠の拡大、追加求人の提出および少なくとも大学および高等学校等卒業後3年以内の未就職卒業者の新卒枠での応募受付について努力をお願いする次第です。

また、就職・採用活動の早期化・長期化は、大学教育の効果を阻害し、学生の質の低下も招いていることから、企業、学生双方にとってメリットをもたらす就職・採用活動の実現のため、早期の採用選考活動の抑制にこれまで以上の取り組みをお願いいたします。

貴団体におかれましては、私どもの要請に何卒深い御理解を賜り、傘下団体および事業主の皆さまにこの趣旨を徹底していただきたく、御協力をお願い申し上げます。

【労働政策本部】
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