日本経団連タイムス No.3017 (2010年10月21日)

第46回日本経団連洋上研修団が帰国

−「職場に戻って成長した自分を見せたい」参加者が研修を振り返り感想


船内で熱心に討議するメンバー

「強い組織・熱い職場をつくる」を総合テーマに横浜を出港した、第46回日本経団連洋上研修団の一行が12日、8日間の日程を終え帰国した。今回は、日本全国の企業・団体から管理・監督者138名が参加。船内研修では参加者一人ひとりが熱心な討議を重ね、行動計画を策定するとともに、寄港地韓国(仁川)では企業や団体を訪問し、活気ある韓国の実情を視察した。

船内で参加者は4つの班に分かれ、さらに6、7人のグループで課題研修を実施。各班には、教育・研修に通じた企業のコーディネーターが付き、討議方法などを指導した。

討議は、各自が持ち寄った職場で直面している課題をKJ法により集約することからスタートしテーマを設定。次に、テーマに関する状況分析を外部環境、内部環境の両面から行い、改めて討議テーマの今日的な意義や価値について整理し、主旨を明確にしたうえで研修課題を決定した。各グループは、テーマ設定に至った過程を班内で発表し、相互に評価することで研修前半のフィードバックに結び付けた。

後半はまず、討議テーマに関して、職場の「あるべき姿」と「いまの姿」について分析を行い、理想と現実のギャップを明らかにし、克服すべき課題を探った。さらに今後、管理・監督者としてどう行動すべきか、アクションプランを短期・中長期の観点からまとめ、再度、班内発表会を開き、投票によって研修報告会で発表する代表グループを決定した。

研修のまとめとなる報告会では、各班代表の4つのグループが、討議過程で作成したシートを使って全団員の前で成果を発表した。

班代表に選ばれた4グループの討議テーマは、「夢をもてる職場をつくるには」「若手のボトムアップを図るための人材育成」「円滑な組織づくりのためにミドルが果たす役割」「信頼されるリーダーとなるには?(厳しくも明るい職場環境づくり)」。そのほかのグループでも職場の雰囲気の改善、若手社員の育成・技術伝承、ワーク・ライフ・バランスなどがテーマとして取り上げられた。

課題研修にさまざまな示唆と助言を与えるのが、アドバイザーや講師による講義。野田稔・明治大学大学院教授、高橋克徳・ジェイフィール代表、柿内幸夫・改善コンサルタンツ常務らによる実習を交えた講義のほか、研修前半に乗船した坂根正弘名誉団長(日本経団連副会長、コマツ会長)が「コマツの経営構造改革−強みを磨き弱みを改革」と題した特別講演を行った。そのなかで坂根名誉団長は、グローバルレベルで展開する日本企業の共通テーマとして、「トップの現場密着」「方針展開」「パートナー間の連携」「人材の育成」の4つを指摘、特に方針展開では、トップダウンが必須であるが、継続的な改善には「ミドルアップ・ミドルダウン」も不可欠であることを強調した。

寄港地韓国では、サムスン電子産業、ロッテ七星飲料、東和企業(木材ボード生産)とIFEZ(大規模都市開発計画)の3コースに分かれて訪問。概要説明や工場・現場見学、質疑応答などを通じて、躍進を続ける韓国企業の実情を視察した。

研修最終日には船内で修了式を行い、その後の班別総括会で全員が研修を振り返った。

「参加するまでは人前で話すことが苦手だったが、それも苦にならなくなった」「早く職場に戻って成長した自分を見せたい」――。こうした声とともに参加者は、企業の枠を超えた交流の継続を約束し合った。

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