日本経団連タイムス No.3018 (2010年10月28日)

「2010年度日本経団連規制改革要望」を建議

−政府へさらなる規制・制度改革の推進求める


日本経団連は14日、「2010年度日本経団連規制改革要望」を取りまとめ、政府に建議した。経団連では毎年、全会員企業・団体へのアンケートをもとに、規制改革要望を取りまとめ、政府に提出している。例年は6月ごろに取りまとめていたが、今回は政府の行政刷新会議による意見募集「国民の声」の集中受付期間に対応してこの時期の取りまとめとなった。

主な要望項目
(土地・住宅・都市再生分野)
  • 再々開発事業に向けた都市再開発法の改正
(運輸・流通分野)
  • 45フィートコンテナ等大型貨物の輸送許可制度
(農業・食品分野)
  • 農業生産法人の構成員要件等の見直し
(廃棄物・リサイクル、環境保全分野)
  • 広域認定制度の対象品目の拡大
(エネルギー分野)
  • 低公害車である圧縮天然ガス自動車の普及促進
  • 燃料電池発電設備に関する技術基準省令の改正
(情報通信分野)
  • 遠隔医療に関わる規制の見直し
  • レセプト、処方箋でのICTの利活用
(外国人材分野)
  • ポイント制を活用した出入国優遇・緩和措置の早期導入
(経済法制分野)
  • 企業の国際競争力強化に資する企業結合規制
    (審査手続及び審査基準)の抜本的改革の早期実現

■ 今回の規制改革要望の背景

わが国経済が極めて厳しい状況に直面しているなか、経団連では、9月17日に発足した菅改造内閣に対し、「新内閣に望む」を提出、「新成長戦略」の速やかな実行を求めるとともに、税・財政・社会保障の一体改革の推進をはじめとする当面の重要政策課題を示し、政府の全力を挙げた取り組みを求めた。
これらのなかでも、規制・制度改革は、民間の創意工夫の発揮を通じたイノベーションの推進と自由で円滑な事業活動を支える基盤整備として、また、財源を使わない景気対策として喫緊の課題であり、経団連では、政府の経済対策の議論をはじめさまざまな機会をとらえ、推進を求めてきた。

■ 最近の政府の取り組みと経団連の評価

政府では、これまで、2010年3月に発足した行政刷新会議の規制・制度改革分科会などでの検討を踏まえ、「規制・制度改革に係る対処方針」など一連の改革を6月18日に閣議決定した。
また、9月10日に閣議決定された「新成長戦略の実現に向けた3段構えの経済対策」の柱の1つとして、「日本を元気にする規制改革100」を掲げ、既定の改革の実施時期の前倒しや、需要・雇用創出効果の高い規制・制度改革事項等の推進を決定している。
これらの取り組みを通じて、これまで経団連が提案した規制改革要望の多くが近年になく進展をみせており、今回の規制改革要望の取りまとめにあたり政権の取り組みを高く評価するとともに、今後も政府一丸となってスピード感をもって規制改革を推進するよう求めている。

■ 個別の要望項目の概略

今回経団連が取りまとめた個別の要望項目の件数は約210件と、09年度と比較して約50件も増加した。これは、会員企業・団体の規制改革への期待の高まりが反映されているものと考えられる。
内容としては、これまでの政府の取り組みの充実や前倒し実施を求めるものがある一方、大型コンテナのISO規格化による国際的な利用増大に対応した45フィートコンテナ等大型貨物の輸送許可制度の創設、企業の国際競争力強化に資する企業結合規制の抜本改革の早期実現等、わが国経済社会を取り巻く環境の変化を背景とした新たな要望も多く、約150件が新規要望となった。

■ 今後の政府と経団連の取り組み

10月21日、政府の規制・制度改革分科会は、分科会の下に、医療・介護分野、環境・エネルギー分野、農林・地域活性化分野を主なテーマとするワーキング・グループを設置し、具体的な審議を行うとともに、これら以外にも金融、物流、人材、IT、住宅・土地などの分野について分科会の下で機動的に検討を行うこととした。
また、規制改革要望の集中受け付けに寄せられた要望についても、重要なものは分科会で取り上げ、政府部内での検討結果とあわせて、来年3月末に新たな対処方針を閣議決定する予定としている。
経団連では、こうした過程において、今回の経団連の要望の多くが取り上げられ実現するよう、規制改革要望の政府提出にあたって関係閣僚等に建議を行うとともに、引き続き政府への働きかけを行っていく。

【産業政策本部】
Copyright © Nippon Keidanren