日本経団連タイムス No.3019 (2010年11月4日)

公明党首脳と懇談

−当面の重要政策などで意見交換


日本経団連は10月25日、公明党首脳と当面の重要政策課題等をめぐり意見交換した。会合には公明党から、山口那津男代表、太田昭宏全国代表者会議議長、坂口力副代表、井上義久幹事長、漆原良夫国対委員長、石井啓一政調会長、斉藤鉄夫幹事長代行らが出席。経団連からは、米倉弘昌会長、渡文明評議員会議長ら13名が出席した。

開会あいさつで、米倉会長は「景気回復が足踏みの状況にあり、わが国経済は今が正念場だ。円高、デフレへの経済対策、ならびに成長戦略を着実に実行してほしい。また、国民の将来不安を解消すべく、税・財政・社会保障制度の一体改革を早期に実現してもらいたい」と述べるとともに、「地球温暖化対策は、全主要排出国が参加する、公平かつ公正な国際枠組のもと、雇用維持や国際競争力向上のための取り組みと整合性を持つかたちで実施されるべきだ」と強調した。さらに、参院選の結果、公明党が政策実現において重要なポジションとなったことを踏まえ、「国民本位、国益本位の観点に立ち、超党派での取り組みも含め、重要政策の推進に尽力してほしい」と要望した。

続いて、山口代表は、「円高の進行、株価の低迷に加えて、景気の二番底が懸念される。まずはデフレから脱却し、現下の経済状況を改善することが不可欠だ」と述べるとともに、「公明党がキャスチングボートを行使すれば、政策を推進することが可能だが、このためには与党が緊張感を持って、議論を建設的に進める努力が必要だ」と発言した。また、「今後は、責任ある立場で、国民の声をしっかり受け止めて、国民生活の実感に足場を置いて、決断をしていく」と語った。

発言する米倉会長(左)と山口代表

■ 意見交換

意見交換では、森田富治郎副会長が社会保障制度の再構築と財政健全化の観点から税制抜本改革の推進を要望したことを受け、石井政調会長は「税・財政・社会保障制度の一体改革については、増大する社会保障費を賄うこと、ならびに、現在の機能を拡充し、安心・安全を確保することの2つがポイントだ。特に、公明党は、高齢者の孤立化などに対応した『新しい福祉』を重視している」「社会保障の安定財源を確保するためには、消費税を含む税制抜本改革が必要だ。加えて、租税特別措置の見直しとあわせた法人税率の引き下げも課題だ」と応じた。

また、地球温暖化問題をめぐって、清水正孝副会長が排出量取引制度、環境税、再生可能エネルギーの全量買取のいわゆる“3点セット”への懸念を表明し、国民や企業にさらなる負担を強いる政策を安易に導入すべきではないと要望した。これを受け、斉藤幹事長代行は「日本の環境技術が活きる国際枠組は主要排出国が入った一つの枠組みのもと、途上国にも責任が課される枠組みだ。この実現のためには、日本自らがリーダーシップを持って温暖化対策に取り組むとともに、米中との信頼関係を築き、米中を枠組みに参加させることが必要だ」「公明党は、90年比25%削減という中期目標を掲げており、これを国内削減(真水)と国際貢献により達成する。環境負荷の小さい製品が世界に普及することによるライフサイクルでの削減量、ならびに海外への技術移転による削減量を日本の削減量としてカウントすることが重要だ」と述べた。

【政治社会本部】
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