日本経団連タイムス No.3022 (2010年11月25日)

日本経団連グリーンフォーラム11月講座を開催

−ビジネス・ネゴシエーションをテーマに


戦略的交渉術を学んだ日本経団連
グリーンフォーラム11月講座

組織や部門をリードできるプロ人材の育成を目的に5月に開講した第5期「日本経団連グリーンフォーラム」(チーフアドバイザー=大橋洋治全日本空輸会長、日本経団連副会長)が8日、「ビジネス・ネゴシエーション」をテーマに11月講座を行った。講師は隅田浩司東京富士大学准教授。講義とともに模擬交渉の実習を通じて、事前の準備から心理スキルなど戦略的交渉術を学んだ。

講座ではまず隅田氏が「交渉学」を学ぶ意味について、(1)論理的に思考することで交渉を有利に展開できる(2)交渉の成否を決める効果的・効率的な事前準備に取り組むことができる(3)交渉から新しい価値を生み出すことができる――など、交渉を成功に導くためのものであることを解説。

論理的な交渉では、物事を「白か黒か」「是か非か」「真か偽か」といった2つの選択肢だけで考える「二分法の罠」に陥りがちであるとし、交渉相手の枠に入って思考停止の状態にならないように、必ず10以上の質問をして相手の本音を引き出す必要があることを示唆した。

また、合意だけに着目せず、合意の先にあるミッションを見据えて交渉することが大事であるとも強調し、さらに、交渉の結果、合意が成立しなかった場合の最善の代替案(BATNA=Best Alternative to a Negotiated Agreement)の準備についても触れ、「BATNAを準備しないということは、不合意という選択肢を最初から放棄することを意味する」と、BATNAの準備が戦略的交渉のカギとなることを指摘した。

講義を受けてメンバーは模擬交渉の実習に入り、事業提携をもくろむ2社それぞれの担当者として交渉に臨んだ。交渉内容・協議事項は、(1)出資比率(2)社名(3)コミッションやマージン等(4)知的財産について(5)役員構成(6)社員の構成――など。

実習を終えて隅田氏はメンバーに、「協議事項に関する交渉をどの順番で始めたか、この順番ですべてが変わってくる」とし、合意のための交渉ではなく、合意の先にあるミッションを見据え、自社の強みをさらに強くしていくことを考え交渉すべきと強調した。

また、「ビジネス上では対外交渉より社内・組織内交渉の方が難しい。部署が違えば利害関係も異なり深い対立軸をつくってしまう」と述べ、組織内でいかに利害調整を行い、同じ方向を向いてもらうかが大事であることも指摘した。

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グリーンフォーラム第5期は次回、11月の第2講座でプレゼンテーションスキルを学ぶ。以降12月には日本経団連フォーラム21と合同で拡大講座を開催し、米倉弘昌日本経団連会長(フォーラム21チーフアドバイザー)と橋本五郎読売新聞特別編集委員の講演を聴講、1月講座はプロジェクトマネジメントを学び、2月には全体のまとめとして各自が行動計画「100日プラン」を策定、3月に全課程を修了する。

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