日本経団連タイムス No.3023 (2010年12月2日)

野田財務相ら財務省幹部と意見交換

−税・財政・社会保障など


日本経団連(米倉弘昌会長)は11月22日、都内で財務省との意見交換会を開催した。会合には、財務省から野田佳彦大臣、櫻井充副大臣、五十嵐文彦副大臣、吉田泉大臣政務官、尾立源幸大臣政務官らが、経団連からは米倉会長、副会長らが出席した。

冒頭あいさつした米倉会長は、「わが国経済は依然として厳しい状況にある。特に、為替の動向は引き続き注視していく必要がある」と述べ、政府に対し、今後とも必要に応じ機動的な対応を取るとともに、わが国経済を自律的な回復軌道に乗せるため、新成長戦略を早期に実施し、補正予算を一日も早く成立させるよう求めた。また、2011年度税制改正については、「税制抜本改革の大きな視点を忘れずに、そのなかで来年度改正において法人税改革をどう位置付けていくのかという観点から、検討を進めていただきたい」と述べ、実質的な税負担の軽減を伴う法人税率の引き下げが不可欠であるとの認識を示した。

続いてあいさつした野田大臣は、「わが国経済はこれからが正念場であり、切れ目のない経済対策を打っていくことが何よりも大事である」と述べ、補正予算の早期成立と来年度予算編成に向けた意欲を表明するとともに、「経済の復活に向けた最大の目標はデフレ脱却」と語り、2011年度中に消費者物価上昇率をプラスにすべく、日銀と一体となって取り組んでいく考えを示した。また、為替については、「必要な時には断固たる姿勢で臨むという考え方は不変である」と述べ、今後とも為替市場の動向を注視し、監視していく考えを示した。このほか、JBIC(国際協力銀行)の機能強化やEPA・FTAの推進等に向けた政府の取り組みについて、紹介があった。

発言する米倉会長(右)と野田財務相

■ 意見交換

意見交換では、経団連側から、「消費税の社会保障目的税化を急ぎ、現役世代の活力を削がないかたちで、中福祉・中負担型の社会保障を構築していくことが欠かせない」(森田富治郎副会長)、「法人税率の引き下げに際しては、単年度でペイ・アズ・ユー・ゴー原則を適用するのではなく、わが国経済を中長期かつダイナミックにとらえる必要があり、安易な課税ベースの拡大は厳に慎むべき」(渡辺捷昭副会長)、「環境目的に新たな負担を伴う税を課すことは納得できない。政府はむしろ、世界最高水準の省エネルギー技術の開発・普及を後押しする施策を打ち出すべき」(坂根正弘副会長)、「財政健全化のためには、新成長戦略の具体化による名目成長率の引き上げと税制抜本改革による安定財源の確保が不可欠」(氏家純一副会長)などの発言があった。

これに対し野田大臣からは、「税と社会保障の抜本改革については、政府・与党だけでなく、なるべく早く、与野党で胸襟を開いて議論したい」「法人税率の引き下げについては、ネット減税では予算が組めず、課税ベースの拡大とあわせ検討することとしているが、経済界として『それでは意味がない』ということならば知恵を出す必要がある。本当に効果が出るにはどうすればよいか、議論していきたい」「地球温暖化対策税の使途については、特別会計のあり方に関する検討の状況や諸外国の例なども踏まえつつ、検討していきたい」などのコメントがあった。

【経済基盤本部】
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