日本経団連タイムス No.3023 (2010年12月2日)

2010年版防衛白書に関する説明会開く

−防衛生産・技術基盤の重要性に言及


日本経団連は11月18日、東京・大手町の経団連会館で、2010年版防衛白書に関する説明会を開催した。当日は、防衛生産委員会基本問題ワーキング・グループの岩崎啓一郎主査が司会を務め、防衛省の前田哲大臣官房報道官から防衛白書について説明を聞き、意見交換を行った。前田報道官の説明概要は次のとおり。

昨年11月に白書の作成に着手した。民主党政権になったが、基本的な防衛政策の骨格は変わっていない。白書の目標は、防衛について国民の理解を深めることと、防衛政策の透明性を担保することで諸外国の理解と信頼を高めることである。原則として、今年8月中旬までの事象を記述した。

■ 国際情勢

国際的な安全保障環境は複雑で不確実である。こうしたなか、国際社会における安全保障上の主な課題の第1に、昨年4月のオバマ米大統領の演説以後の国際社会の核不拡散・核軍縮の取り組みを記述した。また、各国で多発しているサイバー戦について節を新設した。米国、NATO、豪州、韓国はサイバー戦に対する取り組みに力を入れている。

米国については、安全保障政策や核戦略などに関する戦略的文書が多く出され、全面的に書き換えた。

北朝鮮の核問題には大きな動きがないが、今年3月の韓国哨戒艦沈没事件は重要であるため、事件の経緯やわが国の果たした役割などについて、コラムを交えて詳細に記述した。

中国の国防政策は不透明であり、白書では軍事力の動向とあわせてわが国を含む地域・国際社会にとっての懸念事項と明記した。中国の国防費は毎年急激に伸びており、20年間で約18倍になった。さらには中国海軍の活動が活発化している。

■ わが国の防衛政策

今年末に行われる防衛計画の大綱の見直しに向けて、有識者懇談会の報告書が8月に出された。

防衛力整備については、南西諸島では、宮古島より西に部隊は配備されておらず、防衛上の一種の空白地域になっているため部隊配備を含めて検討している。また、在日米軍の駐留の意義と在沖縄米海兵隊の意義について記述するとともに、防衛力を支える基盤として、防衛生産・技術基盤の重要性について詳しく解説した。

【産業技術本部】
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