日本経団連タイムス No.3024 (2010年12月14日)

衛星におけるPFIの活用で説明聞き意見交換

−宇宙開発利用推進委員会宇宙利用部会


日本経団連は11月26日、東京・大手町の経団連会館で、宇宙開発利用推進委員会宇宙利用部会(西村知典部会長)を開催した。当日は、内閣府民間資金等活用事業推進室の上田洋平参事官と気象庁観測部気象衛星課の山田輝希衛星運用事業管理官から、衛星におけるPFIの活用について説明を聞くとともに意見交換を行った。会合の概要は次のとおり。

■ 上田参事官説明

PFIとは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う手法である。従来型の公共事業より、コストが下がり、上質のサービスが提供され、VFM(Value for Money=支払いに対するサービスの価値)が出ることが一つの目的である。事業スキームは、国や地方公共団体など公共施設等の管理者、建設会社などのSPC(選定事業者)、金融機関で構成される。

今年6月に政府が策定した「新成長戦略」では、2011年にPFI制度の拡充を行い、PFI事業規模を2020年までにこれまでの累計の4.7兆円の2倍以上、約10兆円以上を目指すこととなった。

現在、来年の通常国会に向けてPFI法の改正を検討している。PFI事業の対象施設として、公共施設や公用施設に加えて、新たに人工衛星等の移動施設や、人工衛星を打ち上げる地上施設を追加したい。

■ 山田管理官説明

静止気象衛星システムは、上空(高度3万6千kmの静止軌道)から、日本全国を超える広域を対象に24時間365日、不休の観測を行う。防災、国民生活、環境、交通安全等の分野で貢献している。

次期静止気象衛星では解像度が倍増し、観測や防災予報の精度が向上する。人員、施設、多額の予算の効率化を進めるため、気象衛星センターと衛星の間での観測指示の送信やデータの受信について、PFIを活用する。事業期間は、2010年9月から2030年3月まで、事業者による衛星運用開始は2015年4月を予定している。

衛星運用の特徴として、宇宙空間では衛星が故障したときの修理が事実上不可能である点が挙げられる。今後は、発注者である気象庁、SPC、衛星製造やロケット打ち上げを実施する事業者の協力や連携が課題である。

■ 意見交換

PFI法改正に関する質問に対し、上田参事官は、「民間資金導入のための官民連携インフラファンド(仮称)が改正法案に入れば、予算関連法案として年度内の前後に、入らない場合は通常国会の会期末の来年7月ごろに成立する予定である」と答えた。

【産業技術本部】
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