日本経団連タイムス No.3041 (2011年5月19日)

「電力対策自主行動計画」の策定状況を取りまとめ


日本経団連は17日、「電力対策自主行動計画」の策定状況を取りまとめ公表した。
東京電力・東北電力管内においては、今夏、電力需給の大幅なギャップが予想されている。国民生活や事業活動に多大な影響を与える大規模停電や計画停電を回避すべく、経済界は、率先して主体的な取り組みを行う必要がある。
そこで、経団連では4月11日、「電力対策自主行動計画」の策定を会員企業・団体に呼びかけるとともに、効果的な実施方法等をめぐり説明会や情報交換を重ねてきた。
その後、多くの会員企業・団体において具体的な計画の策定作業が進められた。4月28日時点の策定状況は次のとおり。

■ 参加者数

計637社・グループが計画を提出した(うち、製造業は318社・グループ)。なお、複数企業が協力して計画を策定する場合は、1グループとしてカウントしている。

■ 節電目標の内訳

東京電力・東北電力管内ともに、約8割が25%以上の目標を掲げている。

■ 主な取り組み事例

大口需要家による最大使用電力削減策として、操業形態に関する取り組み(夜間・早朝操業、土日の活用、圏外シフト)、休日・休暇に関する取り組み(企業・業界・職場の各単位での輪番休業、夏季休暇の大型化・分散化)、照明・エアコンの調整、エレベーターの間引き運転、使用電力の大きな機器のピーク時からのシフト、蓄電池の活用等が報告された。
自ら行う削減以外にも、小口需要家への節電のコンサルティングや自家発電の貸与、社内通達やイントラネットを活用した従業員の啓発、自家発電設備の活用による電力会社への電力供給の増加、テナントによるビルオーナーの取り組みへの協力等が挙げられた。

■ 主な規制改革要望

自主行動計画を推進していくうえで緩和すべき規制として、自家発電設備にかかる地方自治体のNOx規制の緩和や、室内の空気環境および照明照度基準の緩和等が寄せられた。これらを政府に提出したところ、13日に政府の電力需給緊急対策本部が公表した、「電力需給対策に関する制度見直し」のなかに、多くが盛り込まれた。

■ 今後の取り組み

今般政府が取りまとめた「夏期の電力需給対策」においては、削減目標は、大口、小口、家庭とも、一律「15%」とされた。
電力事業会社等の努力により、電力の供給力は着実に強化されているものの、需給ギャップの解消には至っておらず、需給両面でさまざまなリスク要因がある。
停電を確実に回避するため、経済界として、自ら率先して主体的な取り組みを推進し、これを国民運動にもつなげていく必要がある。他方で、過度の節電対策により、生産活動の縮小などを余議なくされれば、大震災からの復興の妨げにもなりかねない。
企業は、必ずしも「25%」にこだわる必要はないが、これを一つの目安に、自らの判断で、生産や事業活動への悪影響を極力抑えられる範囲で、野心的な目標を掲げ、引き続き最大限の電力対策に努めるべきである。
経団連は、会員企業・団体による自主行動計画の円滑な実施がなされるよう、関連情報の発信、会員間の情報交換の促進、労働組合との対話の強化、政府・自治体に対する規制改革要望、テレビ等による電力需給状況のリアルタイム発信などの実現に努めていく。

【環境本部】
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