経団連タイムス No.3059 (2011年10月13日)

第27回企業広報賞

−経済広報センターが表彰式開催


経団連の関連組織である経済広報センター(米倉弘昌会長)は4日、東京・大手町の経団連会館で第27回「企業広報賞」の表彰式を開催した。米倉会長から企業広報大賞を受賞したヤマトホールディングスの木川眞社長ら各賞受賞者に表彰状・トロフィーが授与された(各賞の趣旨、受賞理由は8月4日号既報)。

主催者を代表してあいさつした米倉会長は冒頭、東日本大震災後、多くの民間企業による被災地支援の動きが全国に広がり、義援金や支援物資の提供、現地でのボランティア活動、本業を通じた支援などさまざまな取り組みが現在も続けられていることを紹介。社会における企業の役割があらためて認識されたと語った。そのうえで、企業は社会の重要な構成員であり、事業やCSR活動を通じて積極的に社会に貢献し、社会とともに持続的な発展を実現していかなければならないと強調。明確な経営理念に基づき、さまざまなステークホルダーに対し情報を発信し、広く社会の理解を得ていくと同時に、社会の声に真摯に耳を傾け、その声を日々の経営に反映させていくことが必要不可欠であると指摘した。

受賞者に対しては、「大変厳しい事業環境のなか、良好なコミュニケーションを通じて社会の信頼と共感を得るという企業広報の役割を的確かつ戦略的に果たしてきた。“社会からの信頼と共感を得られる経営”を目指す経営者や広報担当者の参考となり、励みとなるよう願っている」と称えた。

表彰状・トロフィーの贈呈に続いて、選考委員長を務める一橋大学大学院商学研究科教授の伊藤邦雄氏が講評を行い、各賞の選考のポイントなどを説明。その後、受賞企業代表・受賞者があいさつした。あいさつの要旨は次のとおり。

受賞企業代表・受賞者あいさつ

■ 企業広報大賞

<ヤマトホールディングス社長・木川眞氏>

2019年に創業100年を迎える当社の経営理念は「満足創造経営」、すべての人の満足をいかに創造するか、である。東日本大震災後もこうした考え方に基づき何をすべきか考え続けてきたが、この震災のなかで一人ひとりがその役割を果たしてくれ、社内でも非常に意気が上がっている。受賞理由のなかで、震災後におけるわれわれの活動が、企業広報という観点から、グループ全体の広報意識を高めて、一致団結して事に当たるという点を評価いただいたことをありがたく思う。

■ 企業広報経営者賞

<出光興産会長・天坊昭彦氏>

「約束は守る」「逃げない」「大切なことは何度でも言う」の3つを広報にあたって心がけてきた。いちばん大事なのは信頼を得ることであり、当社の経営理念は「人間尊重の事業経営」という言葉に集約できる。事業を通して社会や地域に貢献すると同時に信頼される人を育てることが大事だ。今年当社は100周年を迎えることができたが、これからも社会で信頼される人を育て、社会に貢献できる企業であり続ける努力をしたい。

<日本マクドナルド会長兼社長兼CEO・原田泳幸氏>

日々の活動のなかで、いちばん時間をかけているのがコミュニケーションである。これは変化のときこそ、社内外のコミュニケーションが必要との考えによるものだ。すべてのステークホルダーの価値、視点に立って物事を考えること、複雑なことを簡単に伝えること、また、危機対応という点では、潜在的な課題を顕在化していくこと、これが最も大事なトップの姿勢である。トップ自らがコミュニケーションのリーダーシップをとるという姿勢であるべきだ。

■ 企業広報功労・奨励賞

<東レ専務取締役・斉藤典彦氏>

これまで27年間、広報を担当してきた。今回の受賞は広報に理解のある歴代トップをはじめ、グループ全社員の広報マインドが対象であると考えている。企業広報は企業の個性を磨き上げる技術であり、広報のあり方は各社各様でよい。いちばん言いたいのは、いま広報に携わっている若い人たちに、企業広報に対する熱い思いを引き継いでほしいということである。

<富士フイルムホールディングス経営企画部広報グループ長兼富士フイルム広報部長・吉澤ちさと氏>

当社は映像のデジタル化という技術革新のなか、「第2の創業を目指すとき」との強い決意で新規事業への転換を図った。この間、もっと新しい価値を継続して届けることができる会社だということを伝えてきた。一方、人にとって大切な写真文化を守るとの思いから、写真事業を継続している。震災以降、写真を洗浄するプロジェクトを通じて写真の大切さを再認識した。活動は道半ばだが、企業の姿勢や経営の意思、社員の思い、事業や技術の特徴などを引き続き伝えていきたい。

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