経団連タイムス No.3072 (2012年2月2日)

経団連労使フォーラム開催

−「再生日本に向けて労使がなすべきこと」テーマに


「再生日本に向け労使がなすべきこと」をテーマに
約350人が参加して開催された経団連労使フォーラム

経団連と日本経団連事業サービスは1月25、26の両日、東京・大手町の経団連会館で「第115回経団連労使フォーラム」を開催した。全国各地から企業経営者や人事労務担当者ら約350人が参加、「再生日本に向けて労使がなすべきこと」をテーマに、グローバル競争に打ち勝つための経営戦略や人材戦略、春季労使交渉に向けての課題・対応策などを探った。

冒頭、開会あいさつと基調講演を行った米倉弘昌会長は、民主導の経済成長の実現に向けた経済界の取り組みを紹介するとともに、グローバル人材育成の必要性やグローバル化が加速するなかでの労使関係のあり方について語った。また、今次労使交渉・協議においては、企業を取り巻く環境について労使が認識を共有するとともに、競争力の強化を通じて収益を高め、成長を実現することで、より豊かな生活につなげていく観点から、建設的な議論が行われることに期待を示した。

経団連労使フォーラムでは、米倉弘昌会長の基調講演に続き、大和総研理事長の武藤敏郎氏が「2012年・日本経済の行方」と題して講演。武藤氏は、今年の日本経済について、2%前後の成長が見込まれるとしたうえで、(1)電力不足(2)海外経済の下振れ(3)円高――の3つのリスク要因が経済成長に及ぼす影響に言及した。

「2012年版経営労働政策委員会報告」 【目次のみ掲載】の要点解説に続き、「危機をチャンスに変える経営」をテーマに、東日本旅客鉄道の大塚陸毅会長、日本郵船の宮原耕治会長、明治大学大学院の野田稔教授が鼎談。「地域の特色を活かした産業の振興と、あらゆる分野でのイノベーションが必要」「新たな産業をつくることによって『創意』を発揮し、日本を再生していく」などの考えが示された。

1日目の最後には、連合の古賀伸明会長が、「いま労働組合に求められるもの」をテーマに講演。「働くことを軸とする安心社会」を実現するため、厚みのある中間層を基盤とした社会の構築を目指すとともに、従来の延長線上ではない新たな価値観をつくっていくことが責務であると述べた。

2日目はまず、企業の労務担当役員と産別労組リーダーが「今次労使交渉に臨む方針」について、それぞれ講演した。進藤孝生・新日本製鐵副社長、藤田正美・富士通副社長の2氏は、グローバル化や急速な円高の進行などの経営環境の急速な変化を踏まえ、労使の対話によって人材育成、国際競争力強化に取り組んでいきたいと説明した。一方、眞中行雄・JAM会長、西原浩一郎・自動車総連会長、神津里季生・基幹労連中央執行委員長の労組リーダー3氏は、デフレ脱却には家計への成果配分が不可欠と主張したうえで、賃金のみならず人材育成や非正規労働者の処遇についても協議の対象としたいと述べた。

続いて「高齢者活用の新たな可能性」をテーマに、水永正憲・旭化成取締役兼常務執行役員、安田洋子・高島屋執行役員総務本部副本部長兼人事部長、庄司哲也・日本電信電話取締役総務部門長をパネリストに、佐藤博樹・東京大学大学院情報学環教授のコーディネートのもとパネルディスカッションを実施。各社の活用事例をもとに、目指すべき方向性や課題について討議した。

特別講演「世界の潮流をどうとらえるか」では、元外務審議官で日本総合研究所国際戦略研究所理事長の田中均氏が、中国をはじめ新興国の台頭により多極化する世界情勢のなか、日本の成長をアジアの成長とリンクさせるうえで、米国との関係が重要であることを説明した。

【日本経団連事業サービス】
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