表紙イメージ 経済Trend ロゴ2011年4月号

TPP交渉への早期参加が日本の未来を切り拓く
今月の表紙: 大谷絵美 作 「花のじゅうたん」 (アートビリティ登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い作品を厳選してご紹介しています。

巻頭言

国を開く
米倉弘昌 (日本経団連会長)

未曾有の震災からの早期復旧に向けた緊急アピール


特集
TPP交渉への早期参加が日本の未来を切り拓く

日本経済が持続的な成長を遂げ、国内雇用の拡大、国民生活の向上を図っていくためには、経済連携協定を積極的に締結し、急速に成長を遂げているアジア太平洋諸国のダイナミズムを取り込んでいかなければならない。その観点から、日本は、現在進められているTPP(Trans Pacific Partnership)交渉に参加することが求められる。乗り越えなければならない課題は少なくないが、国民の総意をまとめるためには、政治のリーダーシップが不可欠である。
座談会
強い日本をつくるための覚悟と決断
佐々木幹夫 (日本経団連副会長・貿易投資委員長/三菱商事取締役 相談役)
日本が持続的成長を遂げるためには、成長著しいアジアをはじめ、外需に活路を求めることが不可欠である。日本政府には、WTOを中心とする多角的自由貿易体制の維持・強化とともに、一刻も早いTPP交渉への参加と、「平成の開国」に向けた一丸となった取り組みを強く求めたい。日本経団連としても、「行動する経済団体」として、国民的な理解の促進に努めるとともに、米国をはじめとする各国経済界とも連携していきたい。
渡辺捷昭 (日本経団連副会長/トヨタ自動車副会長)
自動車メーカーが、グローバルなサプライチェーンを構築するには、関税その他の障壁に妨げられることなく、国境を越えて自由に部品や車両を供給できることが重要である。昨年から、政府が高いレベルの経済連携強化に向けて取り組み始めたことを歓迎する。TPP参加にあたって、経済界は、強い農業の実現に向けて、農業界と知恵を出し合って課題を解決していくべきであろう。
小林栄三 (日本経団連農政問題委員会共同委員長/伊藤忠商事会長)
「平成の開国」によって大きな影響を受ける国内産業、とりわけ農業をどうするかは大きな問題である。国民生活を守る意味でも、食料の安心・安全を確保していかなければならない。従来の国の政策を検証しつつ、農業を持続可能な産業とするための具体的な対策を練っていくべきであろう。
下村節宏 (三菱電機会長/電子情報技術産業協会(JEITA)会長)
日本がTPP交渉に参加することにより、EUや中国とのEPAも進めやすくなるだろう。反対に、もし参加が遅れれば、諸外国との経済連携が滞ることになる。電機・電子分野では、技術規格・基準の調和の推進が重要である。世界的に優れた省エネ技術を活かし、冷蔵庫などの家電製品で、日本がリーダーシップを発揮し、省エネ基準などの国際標準化を目指していきたい。
小寺 彰 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
21世紀に入り、日本はいくつものEPAを締結してきたが、ここに来て行き詰まっている。この行き詰まりは、農産品の問題に起因している。米韓FTA交渉で農産品問題を克服した韓国に差をつけられている。日本も、TPPを足がかりに次のステップへ進まなければならない。政府には、交渉への早期参加を決断してほしい。また、経済界には、米国経済界との連携を模索してもらいたい。
久保田政一 (司会:日本経団連専務理事)

●今後、どのような通商戦略を採るべきか

●いまなぜTPPか

●「平成の開国」に向けて何をすべきか

●日本政府に何を望むか、経済界として何をすべきか

TPPは改革と統合のツールとなる
ジョン・キー (ニュージーランド首相)
21世紀の協定の創出に向けて
カルマン・コーエン (TPP米国産業連盟事務局長・米国貿易緊急委員会代表)
TPPにどう臨むか
〜新しいルールづくりに早期参加を
大橋洋治 (日本経団連副会長・経済連携推進委員長/全日本空輸会長)
力強い農業の実現に向けた提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/010/index.html
小林栄三 (日本経団連農政問題委員会共同委員長/伊藤忠商事会長)
廣瀬 博 (日本経団連農政問題委員会共同委員長/住友化学副会長)
日本農業の活路
〜あらためて農業・農政のあり方を考える
生源寺眞一 (東京大学大学院農学生命科学研究科長・農学部長)

各国官民と協力しアジア成長戦略を実行する
〜インドネシア、タイ、シンガポールの官民首脳と地域経済統合やインフラ整備で意見交換
米倉弘昌 (日本経団連会長)
「採用選考に関する企業の倫理憲章」の改定
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/015.html
篠田和久 (日本経団連評議員会副議長・雇用委員長/王子製紙社長)
循環型社会の形成に向けた産業界の取り組み
〜環境自主行動計画(循環型社会形成編)2010年度フォローアップ調査結果
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/018/index.html
天坊昭彦 (日本経団連環境安全委員会共同委員長/出光興産会長)
米国の防衛産業政策に関する調査ミッション
〜米国の政府機関や防衛関連企業の取り組みを調査
岩崎啓一郎 (日本経団連防衛生産委員会基本問題ワーキンググループ主査/三菱重工業執行役員 航空宇宙事業本部副事業本部長兼企画管理部長)
国際生物多様性年における自然保護協議会の取り組み
〜経団連自然保護協議会2010年度活動報告
大久保尚武 (日本経団連評議員会副議長・経団連自然保護協議会会長/積水化学工業会長)
ジャパン・プラットフォームによる緊急支援への取り組み
〜1%クラブを通じて支援をいただいた皆様方への2010年の活動報告
有馬利男 (ジャパン・プラットフォーム共同代表理事/富士ゼロックス相談役特別顧問)

● 経営者のひととき
笑顔と絆
亀井 淳 (イトーヨーカ堂社長)
● あの時、あの言葉
リーダーの責務
松本正義 (住友電気工業社長)
● エッセイ「時の調べ」
時間と空間
隈 研吾 (建築家)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
英米語を超えた国際英語の教育を志して
日野信行 (大阪大学大学院言語文化研究科教授)
● NEW FACE 新会員紹介
シンジェンタジャパン

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