経団連の最近の動き

(1994年10月)

「経団連インフォメーション」の記事より


アジア経済界との一層の連携を求む

第6回APEC閣僚会議(インドネシア、11月)など政府間でのアジア太平洋地域の域内協力の動きを受け、経団連では、民間経済界としての域内協力のあり方に関する基本的考えを取りまとめた(11月7日「アジア太平洋地域の域内協力のあり方にに関する基本的考え」として発表)。

南アにミッションを派遣

南アフリカ共和国は、さる4月に全人種参加による初の総選挙を行い、マンデラ ANC議長を大統領に選出し、政治的に軟着陸を果たすとともに、経済的にも回復基調にある。経団連では、南部アフリカ発展の核であり、資源にも恵まれた同国の国家建設に協力していくことが重要と考え、11月27日〜12月1日、経済ミッション(団長:笠原 サブサハラ委員長)を派遣した。

防衛産業の将来を探る

防衛生産委員会では、冷戦終結後の欧州各国の防衛産業の実態と生産基盤の維持方策について各国関係者との意見交換、調査を行うため、10月26日から対欧州ミッション(団長:日根野穣三菱重工常務)を派遣した。一行は、スウェーデン、フランス、ドイツを回って11月4日帰国。

地方分権の実現に向けて

豊田会長をはじめ全国9つの経済団体の首脳は、10月20日、地方分権の推進に向けて、その具体的な成果を求める提言書をとりまとめ、村山首相に直接建議した(「地方分権の実現に向けた政治的決意を期待する」)。

提言では、首相をはじめ政府・国会関係者の強い指導力の発揮を求めるとともに、

の4点について、特に強く求めている。

自然保護基金が支援実行中

経団連自然保護基金では、今年度、以下の17件、総額1億 1,450万円の自然保護プロジェクトを支援している。

自然保護基金では、今後とも募金を呼びかけている。

政治・企業委員会が中間報告を発表

政治・企業委員会(委員長 川勝堅二経団連副会長)では、93年9月に発表した「企業献金に関する考え方」を前提として、その具体化を図るとともに政治改革の一層の推進に資する見地から、海外調査の実施を含め、政治と企業との関わりについて検討し、その結果を中間的に取りまとめ、10月18日に公表した(「政治と企業の関係について─経団連政治・企業委員会中間報告─」)。

自己責任原則を確立し規制緩和の推進を

行政改革懇談会は、10月17日、新党準備委員会の小沢一郎実行委員長と行革の基本的考え方につき意見を交換した。小沢実行委員長からは「今後のわが国の繁栄のためには行革・規制緩和が必要。これらを遂行するには、政治の強いリーダーシップと決断が必要であり、まず国が範を示すべきだ」等の発言があった。

住宅対策の拡充を求める

現在の日本の住宅対策は、社会政策的色彩が強いので、国民各層が豊かさを実感でき、質の高い住宅を自由に選択・取得できる政策に転換させる必要がある。

そこで、土地・住宅政策委員会では、住宅取得促進税制などの支援策の拡充、所得や住宅規模などの制限の緩和、住宅金融公庫の融資枠の確保等に関する意見書を取りまとめ、10月18日の理事会を経て関係省庁に建議した(「住宅対策の拡充を求める」)。

NAFTAのGATT審査について

経団連では、92年11月、地域主義的傾向の懸念が残る NAFTAに対し、GATT上の義務の履行と、多角的自由貿易体制推進への配慮を求め、GATT審査を受けることを米国、カナダおよびメキシコ政府に要望した。

この度、今後行われるGATT審査において留意すべき点(関税・原産地規則・セーフガード・知的財産権・農産物など)を取りまとめ、10月18日の理事会を経て、GATT当局および関係各国政府に要望した(「北米自由貿易協定のGATT審査に関する意見」)。

今後の日・EU経済関係に対する考え方

ヨーロッパ委員会では、EU統合は国際社会の安定と世界貿易の拡大・発展に寄与することが期待され、日本としても、市場開放・環境政策・競争政策・援助政策などで協力すべきである旨の見解を取りまとめ、10月18日の理事会を経て発表した。

規制緩和推進計画策定に民間人を入れた作業部会設置を

10月7日、豊田会長は村山首相に対し「行政改革推進本部内への民間人を入れた規制緩和のための作業部会の設置」「行政改革委員会の早期設置」「地方分権推進法の速やかな制定」など、行政改革の断行に向けた緊急要望を手渡した。

同日行われた行政改革懇談会では、新党さきがけの田中代表代行、菅政策調査会長を招き、同党の行政改革への取り組み等について意見交換を行った。さきがけ側からは「規制緩和推進計画策定にあたって、作業部会を設置することに賛成である。この要望は早速、首相に伝えたい」等の発言があった。


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