経団連の最近の動き

(1995年 3月)

「経団連インフォメーション」の記事より


被災地産業再生に向けた施策を提言

震災対策会議(鈴木精二座長)では、被災地の復興をより確かなものとするためには、被災者の生活基盤となる産業の再生が不可欠であるとの観点から、3月27日、民間専用港湾への公的助成などを求めた「阪神・淡路地域の産業再生のための提言」を取りまとめた。
同提言は、翌28日の理事会において承認を得た後、政府等関係各位に建議した。

持株会社解禁に向け政府が検討開始

3月31日、閣議決定された「規制緩和推進5カ年計画」において、独占禁止法の持株会社の禁止規定の見直しと、97年度末までに結論を得ることが明記された。
経団連では、自ら主たる事業を行わない純粋持株会社を禁じる独占禁止法第9条について、一律禁止を弊害規制に改めるよう働きかけてきており、今回の閣議決定を受け、持株会社禁止の具体的見直しに向けて、商法、税法等の関連法制を含め、検討を進めていくこととしている。

大詰めを迎える規制緩和推進計画

3月末の規制緩和推進5カ年計画の取りまとめに向けて、政府における策定作業が最終段階を迎えている。
経団連では、3月20日、豊田会長が村山首相、河野副総理・外務大臣、橋本通産大臣、山口総務庁長官、五十嵐官房長官を訪問し、
  1. 3月10日に中間発表された約700項目の規制緩和方策に加え、さらに積み増しを図ること、
  2. 計画策定後のフォローアップ体制を整備すること、
を強く働きかけた。
4月以降は、計画の着実な実施が求められる。経団連では、日本商工会議所、日本経営者団体連盟、経済同友会、関西経済連合会とともに、4月5日に行革五人委員会(5団体長で構成)を開催し、行政改革委員会の飯田委員長、竹中委員長代行に、計画の実施状況の監視をはじめ国民の期待に応えた活動を展開するよう、要請することにしている。

科学技術基本法の早期制定を要望へ

現在、自民党を中心に超党派で、科学技術振興をわが国の最重要政策課題として明確に位置づけるために、「科学技術基本法」を議員立法で制定する取組みが進んでいる。
経団連は数年来、わが国の科学技術基盤強化を主張してきた。同基本法は、まさにこの主張に沿うものであり、近く同法の早期制定を要望する予定である。

第2次ASEAN・ミッションを派遣

経団連では、2月の第1次ミッションに引き続き、4月10日から18日まで、フィリピン・マレーシア・インドネシアに、豊田会長を団長とする第2次ASEAN・ミッションを派遣する。ラモス・フィリピン大統領、マハティール・マレーシア首相、スハルト・インドネシア大統領をはじめ各国の政府・経済界首脳との間で政策対話を行う。

タイの対日食品輸出促進に協力

日タイ貿易経済委員会では3月15日、タイ食品加工業調査ミッション一行と懇談し、タイの対日食品輸出促進策について意見交換した。タイ側は、日本の食品衛生法等に定められた規準・規格に合致するように努め、より品質が高く、付加価値のある食品を日本に輸出したいと述べた。
同ミッションは、帰国後に報告会をかねて、食品加工業者や農業関係者など原材料供給者を対象としたセミナーを開催する予定である。

ギニア虫症撲滅計画に協力

経団連では、途上国における日米民間経済協力の新しいモデルとして、カーター元米国大統領の主催するカーターセンターがアフリカで実施する「ギニア虫症(一種の寄生虫による伝染病)撲滅計画」に協力することとし、現在、経済協力、北アフリカ、サブサハラの各委員会を中心に会員企業に募金を呼びかけている。同事業には、わが国政府開発援助からの協力が行われる。

震災緊急アンケート調査を実施

阪神大震災に対する経団連会員企業の支援に関してアンケート調査を行なったところ、震災発生1カ月後の2月17日の時点における回答会社510社の支援状況は、義援金総額120億円、救援物資61億円(金額換算した225社分のみ)、施設の提供187件、ボランティア休暇制度等の整備116社であることが明らかとなった。
3月下旬には、アンケート調査の最終結果を取りまとめる予定である。

会長・副会長会議を開催

3月6日、第308回会長・副会長会議を開催し、重要テーマとして、
  1. 為替安定化と円の国際化
  2. 証券市場低迷の打開策
  3. 規制緩和
について討議した。

コロンビアで合同会議を開催

経団連では3月22日〜23日、コロンビアの首都サンタフェ・デ・ボゴタで第2回日本コロンビア経済委員会合同会議を開催する(団長:宮岡中南米共同委員長)。
今次合同会議では、日本・コロンビア両国経済人の人的絆の強化を図りつつ、両国経済関係の拡大のための方策について意見交換する。

地方分権推進法案、漸く上程

2月28日、地方分権推進法案が衆議院に上程された。経団連では、昨年10月20日、全国8経済団体と連名で、首相に同法の速やかな制定を求めており、今回の法律案は経済界の要望をほぼ取り入れている。特に推進機関となる地方分権推進委員会については監視・勧告権を付与するとともに、独立の事務局を設ける等、評価すべき内容となっている。今後は、同法の早期成立を図るとともに、地方分権推進委員会における具体的な分権方策等の検討に、経済界としての意見を反映させる必要がある。そのため、経団連としても首都問題委員会地方分権部会において本格的検討を行う。

空港整備のあり方に関して検討中

大規模拠点空港を自国に持てるかどうかが、今後のアジアの経済センターとなる鍵を握るといわれており、アジア各国は競って大規模拠点空港の整備に取り組んでいる。韓国では2020年を目標に滑走路4本を備える新ソウル・メトロポリタン国際空港の建設、香港では滑走路2本を備えるチェック・ラップ・コック国際空港の建設、シンガポールではチャンギ国際空港の拡張が推進されている。
日本政府は、「第7次空港整備5箇年計画」(1996〜2000年)の策定作業に着手している。経団連では、経済界としての意見を取りまとめ同計画に反映させるために、輸送委員会において、2月11日から19日にかけて韓国、香港、シンガポールへ調査団を派遣するなど、具体的な検討を開始した。


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