経団連の最近の動き

(1995年 5月)

「経団連インフォメーション」の記事より


日米関係の重要性を再確認
─ BRT首脳と懇談

経団連は、5月20〜21日、福島県新白河において米国ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)との第2回合同会議を開催した。
会議では、今後の日米関係を左右する重要課題について討議し、(1)グローバルな自由貿易の支持、(2)日米関係の重要性の再確認で一致した。
強固な信頼関係の下に、今後も相互理解の促進に努めることとし、次回会合を、来年5月にアメリカで開催することで合意した。

サミットで目標相場圏を議論すべき
─ バーグステン国際経済研究所長と懇談

経団連では、5月18日、バーグステン国際経済研究所長と懇談した。
席上、経団連側からは、現在の円高・ドル安は行き過ぎであり、適正水準で安定させる必要があると指摘した。
これに対し、バーグステン所長からは、
  1. ドルは円に対しては安くなったが、他の通貨を含めた実効為替レートでは下がっておらず、アメリカ側にドル危機は存在していない、
  2. アメリカの経常赤字を1000億ドル程度に削減するためには、ドルの実効為替レートをさらに10%引き下げる必要がある、
  3. 円・ドル相場の安定のためには、90円±10%の目標相場圏が必要で、来月のサミットでも、これについて議論すべきである、
等の発言があった。

阪神復興へのメッセージ
─『月刊 keidanren』増刊号を発刊

『月刊 keidanren』では、阪神・淡路大震災による被災地の復興を支援し、企業の危機管理・防災体制づくりの参考に資するため、25日、増刊号「復旧から復興へ」を発刊した。
本号では、豊田会長の巻頭言「安全・安心な国土づくりを目指して」のほか、平岩名誉会長、鈴木震災対策会議座長の新しい神戸への期待、亀高神戸製鋼社長、川上関経連会長、貝原兵庫県知事の復興への決意などが掲載されている。その他、各社取材による震災の検証、松下電器、大阪ガス、ダイエー、日通、NEC、三菱ガス化学などの企業トップが語る危機管理策や、復興プランの提言、企業ボランティアの体験談なども掲載されている。

今後の空港整備のあり方について提言

経団連では、「第7次空港整備五箇年計画」の策定作業に合わせ、5月16日、「今後の空港整備のあり方−大規模拠点空港に重点を置いた空港整備計画の策定を求める−」をとりまとめ、関係方面に建議した。この意見書では、計画期間内に、増大する航空需要に対応できるキャパシティを備え、内外のニーズを満たす複数の大規模拠点空港の整備を軌道に乗せ、多重的ネットワークを構築するよう、所要財源の確保と空港整備制度の見直しを訴えている。
そのためにまず、従来の公共事業費の配分の見直しにより、空港整備に対する純粋一般財源の投入を拡大するとともに重点化を指向した空港整備計画を策定するよう求めている。
また、開発利益の吸収・還元等についても具体的に提言を行っている。

経済調査委員会が韓国調査団を派遣

経済調査委員会企画部会による報告書「日本企業の競争力」「2000年への日本経済」は、いずれも韓国で翻訳され、好評を博している。先般、チョ・キュウハ全羅南道知事から、同部会に対し、同地域への内外企業の誘致ならびに同地域の発展の可能性について、調査依頼の申し入れがあり、水口弘一企画部会長を団長とする調査団が、5月8〜11日、大佛工業団地、三湖工業団地、浦項総合製鉄光陽製鉄所等を視察した。
また、イ・デスン湖南大学総長より、企画部会のメンバーを講師に招き、日本経済の展望ならびに今後の日韓地域経済協力に関するシンポジウムを開催したいとの提案があり、そのための打合せを行った。

「企業で男女が、はつらつと働くための方策を探る」をテーマに
ゲストハウス・フォーラムを開催

85年に雇用機会均等法が制定され10年が経過した今日、男女がよりよい形で共に働くことができる環境づくりが、改めて社会的テーマとなっている。このような動きをとらえ、経団連では、5月22〜23日、御殿場の経団連ゲストハウスにおいて第50回ゲストハウス・フォーラムを開催する。
当日は、男女がはつらつと働ける企業づくりにむけてのレポートをとりまとめた経団連「女性の社会進出に関する部会」の坂本春生部会長、労働省の坂本婦人政策課長、慶応義塾大学の清家教授を招き、今後の男女共働型の企業社会の将来像と課題について聞く。

防衛の「あるべき姿」のための防衛力整備計画の策定を要請

経団連は、5月11日に「新時代に対応した防衛力整備計画の策定を望む」を公表した。現在、政府では、1976年に策定された「防衛計画の大綱」に代わる新しい防衛力のあり方と防衛力整備について検討が行われている。今回の提言は、これに対応して、今後の防衛力整備に関する産業界としての要望を取りまとめたものである。
提言では、政府は、(1)国民生活の安定・安全、国際社会への貢献に照らした日本の防衛の「あるべき姿」の明確化、(2)それを受けた中期防衛力整備計画の策定、(3)国民の理解と支持を求めながら防衛力の整備を着実に行うことを指摘した上で、国内防衛生産・技術基盤の維持・強化を図る施策の実現と、米国との協力拡大のための環境整備を求めている。

第1回フィリピン高校教師日本招聘事業を開始

国際文化交流委員会(委員長:西尾信一氏)では、ASEAN諸国との文化交流事業の一環として、フィリピンの高校教育における日本理解を促進する観点から、フィリピン日本人商工会議所と協力して、標記事業(参加企業懇談会座長:三田勝茂氏)を開始する。
具体的には、5月20日〜6月3日の期間、フィリピン日本人商工会議所が選考した高校教師10名を日本に招聘し、日本の社会、経済、教育、文化などについての理解を深めてもらい、帰国後は、日本で得た知識を教育の現場で活かしてもらう。
本プロジェクトは、今後5年間継続する予定である。

欧州産業廃棄物事情調査団を派遣

近年、廃棄物の排出量増大と多様化が進む中で、官民挙げて産業廃棄物の減量化・再資源化、処理場の確保・整備に努めているが、いずれにおいてもなお、一層の取り組みが不可欠である。
そこで環境安全委員会廃棄物部会では、欧州各国における産業廃棄物処理に関する制度・仕組み等を調査し、今後のわが国の産業廃棄物問題への取り組みの参考とすることを目的に、(財)産業廃棄物処理事業振興財団の協力を得て、5月14日〜27日の日程で、欧州産業廃棄物事情調査団(団長:西室泰三環境安全委員会廃棄物部会長)を派遣する。
調査団は、EU本部ならびにイギリス、ドイツ、フランス、デンマークの環境省、地方自治体、経済団体、産業廃棄物事業者等を訪問する予定である。


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