経団連の最近の動き

(1995年 9月)

「経団連インフォメーション」の記事より


経団連訪韓代表団を派遣

経団連は、相互理解と友好・親善促進の観点から、1983年以来毎年、韓国の全経聯(全国経済人聯合会)との間で、両団体首脳による相互訪問を実施している。
本年は、10月5日〜7日の日程で、豊田会長を団長とする経団連代表団がソウルを訪問する。
ソウルでは、崔鍾賢会長はじめ全経聯首脳との定期懇談会を開催し、OECD加盟に向けた韓国の準備状況や、今後の日韓産業協力などについて意見交換を行う予定である。
また、金泳三大統領ほか韓国政府首脳を表敬訪問することとしている。

多国間投資協定に関する検討を開始

経団連では、OECDが、1997年を目処に国際投資に関する包括的で拘束力のある枠組みとなる多国間投資協定(MAI)を策定すべく、実質的な交渉を開始したことを受けて、国際産業協力委員会の下に、多国間投資協定(MAI)ワーキング・グループを設置することとなった。
同ワーキング・グループでは、MAIがわが国経済界に与える影響を踏まえて検討を行い、OECD諮問委員会等を通じて適宜意見を提出していく予定である。
なお、第1回会合を、10月5日に開催する。

第7回評議員懇談会を開催

経団連では、春と秋の年2回、評議員懇談会を開催し、経団連が直面する諸課題について検討している。
10月11日に開催される第7回会合では、
  1. 新産業・新事業の育成、
  2. 税制改正、
  3. さらなる政治改革と政治資金のあり方
をテーマに取り上げ、3つの分科会で意見交換を行う。

豊田会長、李鵬首相と会談

日中経済協会の最高顧問として中国を訪問中の豊田会長は、19日午前、中国の李鵬首相と会談した。
冒頭、豊田会長から、「改革・開放政策がさらに成果を上げ、中国経済の国際化が一層進むことを期待する。日本経済も中国経済のような活力を持ちたい。インフラ整備に期待したい。APECへの江沢民主席の来日を歓迎する」との挨拶があった。
これを受けて、李鵬首相からは、中国経済の大きな課題となっているインフレについて、「今年は15%(昨年20%)に抑制できる。GDPを2000年までに80年の4倍にするという目標を今年中に達成できる」など、中国経済が順調に発展しているとの紹介があった。
また、改革・開放路線の堅持を強調するとともに、「第9次5カ年計画においては、8〜9%の成長目標を掲げ、計画経済を市場経済に移行させていく。量から質への転換を図る」とした。
さらに、中国の核実験とわが国の無償援助の凍結に絡む問題については、「唯一の被爆国である日本の国民感情も理解できるが、中国人民の立場も理解してもらいたい。経済手段で威嚇することは、非友好的である」との発言があった。
これに対し、豊田会長は、「核兵器の廃絶は人類共通の悲願であり、唯一の被爆国である日本国民の核兵器廃絶への願いは強いものがある」「日中の友好・協力関係は極めて重要である」と発言した。

為替の適正化・安定化に関する報告書を公表

国際金融・資本交流委員会企画部会(部会長:塩谷三菱銀行常務取締役)では、今後わが国政府、経済界が、為替の安定化に取り組んでいく上での参考に資すべく、為替相場をめぐる諸問題に対する経済界の基本的考え方や議論を整理し、報告書としてとりまとめ、9月19日の理事会で報告した。

経常収支黒字削減計画の設定に関する報告を公表

経済調査委員会・経済分析研究会(部会長:平尾日本長期信用銀行副頭取)では「経常収支黒字削減計画の設定に関する報告」をとりまとめ、9月13日の経済調査常任委員会において、宮崎経企庁長官に対し、経済審議会で審議中の新経済計画に経常収支削減のための計画を盛り込むことを求めた。
この報告では、政府は、自主的な努力目標として、経常黒字の対GDP比を3年間で1%台へ縮小させていくとともに、3%成長を目指す必要があることを指摘し、そのためには公共投資の前倒し、税制の改正、規制緩和の推進等が重要であることを提言した。

河毛委員長がロシア極東を訪問

河毛日本ロシア経済委員長は、9月22〜28日の日程でロシア極東を訪問する。
一行は、ハバロフスク、沿海両州知事らと、両国経済交流や懸案の港湾開発・石炭開発プロジェクトの進め方等について意見交換を行う予定である。

緊急経済対策を提言
−村山首相に申し入れ

景気の停滞状況が続き、経済構造改革が進まない中、経営者の間に、日本経済の先行きに対する危機感が高まっている。経団連では、こうした状況を打破すべく「閉塞状況を脱し、日本経済への信頼感を回復するための経済対策を求める」と題する提言をとりまとめた。
9月11日、豊田会長は村山首相を訪れ、現在政府が策定中の新経済対策に、
  1. 法人の税負担の軽減など税制抜本改革の早期実施、
  2. 真水5兆円以上の大規模な補正予算の編成、
  3. 規制の撤廃・緩和の一層の推進
等を盛り込むよう強く要請した。これに対し、村山首相は、経団連の要望を、経済対策など今後の政策運営の参考にしたいと述べた。

流通構造変革に伴う今後の課題について提言

経団連は、9月19日に「消費者志向型の流通システムの確立に向けて」を提言する。
この意見書は、現在流通分野で起きている構造変革は、内外価格差の縮小や雇用創出など様々な効果を生んでいることを評価した上で、変革を円滑に推進する観点から、官民が取り組むべき課題について、提言をまとめたものである。具体的には、
  1. 変革の原動力となっている民間事業者の事業革新を促がすための一層の規制緩和、
  2. 個店支援を中心とした中小流通政策の展開、
  3. 競争政策の適切な運用と商慣行の是正、
  4. 環境・廃棄物対策、
  5. 情報化の推進、
  6. 消費者対応の充実の必要性
を訴えている。

経済活性化のための自己努力について呼びかけ

経団連では、経済活性化のため、民間の自己努力策をまとめ、9月19日の理事会で会員企業に実行を呼びかけることとした。
内容は、
  1. 規制緩和の成果の積極的活用、
  2. 株式市場の活性化、
  3. 不良債券問題への対応、
  4. 為替の適正化・安定化に向けた取り組み、
  5. 新産業・新事業の育成
の5項目からなる。
昨13日に豊田会長が記者会見して発表した。

「魅力ある日本」−21世紀の経済社会の基本構想−を検討中

ご高承のように、経団連では本年末を目途に「21世紀の経済社会の基本構想」の作成を検討中である。これはわが国の現在の閉塞状況を打破し、「魅力ある日本」を創造するためのグランドデザインを広く内外に提示しようという経団連としては初めての試みである。
今後30年(西暦2025年)を念頭におき、日本が目指すべき目標を示すとともに、「経済」「企業」「政治・行政」「教育」「外交」の5つの分野について、それぞれの望ましい姿とその実現のための具体的な課題・改革を提言していくこととしている。特に、基本的な理念としては、内にあっては「真に豊かで、活力ある市民社会」の構築、対外的には「世界の平和と繁栄に貢献する国家」を確立することを通じ、「世界から信頼され、尊敬される」ことを目指すとしている。

『KEIDANREN REVIEW』を電子ジャーナル化

広報委員会(委員長:関本副会長)では、本年1月にインターネット・サーバーを設置して以来、海外広報を強化する視点から検討を行ってきた。
そこでこの度、その一環として、内容の大幅拡充、伝達の迅速化をはかるため、英文広報誌『KEIDANREN REVIEW』を発展させ、インターネット・サーバー上に電子ジャーナルとしての「KEIDANREN REVIEW」を開設した。電子ジャーナルには、経団連の全意見書、主な役員のスピーチ、『月刊 keidanren』の巻頭言などを訳して随時掲載する。そのうち重要なものについては、経済広報センターの協力を得て、印刷媒体による広報を継続する。

『Access to Japan』改訂版が完成
─インターネット・サービスも開始

経団連では、9月8日より、対日輸出の一層の促進を目的として、わが国主要企業約 400社の海外調達窓口リスト『Access to Japan』を、インターネットで紹介するサービスを開始する(http://www.keidanren.or.jp)。
本リストは、外国企業が自社製品を日本企業に売り込むための実務的な手助けとなることを期待して作成されたものであり、93年の発行の際に、日米構造問題協議をはじめ、内外から高く評価されたことを受けて、今般、改訂・拡充を図ったものである。
なお、このリストは書籍の形にもなっており、無料で配付しているので、ご関心のある方はご一報いただきたい。

『消費者・生活者の望む規制緩和・見直し』アンケート実施

消費者・生活者委員会(委員長:鈴木敏文委員長)では、消費者・生活者に望ましい経済社会を構築するという観点から、個人をとりまく諸政府規制や業界団体などの民間の商慣行についての問題点を検討し、その解決策を探っている。
そこで「こうなるとよい」「これは不便」という点について、消費者・生活者の意識や要望をたずねるべく、経済広報センターほかの協力をえて、広く消費者・生活者を対象に標記アンケートを実施することとした。

民間企業の調達活動に関するセミナーを開催する

日米包括協議の対日投資ワーキング・グループ合意を受け、経団連は、在日米国商業会議所と共催で、民間企業の調達担当者から、部品・資材等の調達活動の方針、実際の調達方法などを説明するセミナーを開催する。このセミナーには多数の在日外国企業や在日大使館が参加を予定している。また併せて、わが国主要企業の対外調達窓口リストを掲載したAccess to Japanを改訂・配付する。
このようなセミナーを通じて、わが国民間企業の調達活動の、より一層の透明化を図るとともに対外理解を促進していきたい。


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