経団連の最近の動き

(1996年5月)

「経団連インフォメーション」の記事より


第58回経団連定時総会を開催

5月28日、第58回経団連定時総会を開催した。冒頭、豊田会長は、「2020年を展望して策定した経団連ビジョン『魅力ある日本』を今後の活動の基本とし、その実現に全力を挙げて取り組む」と、在任2期目を迎えての抱負を述べた。
次に事業報告・決算、政策委員会の42から30への再編を含む事業計画・予算に関する議案が審議され、満場一致で可決承認された。
引き続き、役員改選に関して審議を行い、豊田会長ならびに副会長として久米豊氏、関本忠弘氏、那須翔氏、末松謙一氏、青井舒一氏、伊藤助成氏、樋口廣太郎氏、今井敬氏を再任し、熊谷直彦氏、古川昌彦氏、北岡隆氏の3名を新副会長に選任する等の人事を決定した。最後に、決議を採択し、閉会した。
決議では、経団連創立50周年を機に、以下の課題に重点的に取り組む旨を決議した。概要は以下の通り。
  1. 首都機能移転の早期実現。規制の撤廃・緩和の先行的実施。行政改革、地方分権等の総合的な推進。科学技術の推進、情報・交通基盤整備への重点的取り組み。
  2. 歳出・歳入両面にわたる抜本的な構造改革。税制の直間比率の是正。法人課税軽減への早急な取り組み。
  3. 既存事業の競争の強化と研究開発の充実、新産業・新事業の創出・育成等による雇用の確保。阪神・淡路地域における産業復興への企業の先導的な取り組み。
  4. 国際面では、民間ベースでの政策対話の重 視、世銀等国際機関との連携強化、WTO、OECD、APEC等の活動支援、地球環境問題への取り組み、途上国の民活インフラ支援を含む産業協力、教育・人材育成への協力。
  5. 企業人政治フォーラムの設立。政策本位で透明度が高く国際的に通用する政治。

阪神・淡路経済復興シンポジウムを開催

経団連は、大震災被災地の経済復興の推進に協力する観点から、5月22日、関経連、神戸商工会議所との共催により、東京において標記シンポジウムを開催した。
当日は学識経験者や経済人による基調講演、パネルディスカッションの後、「自立的で創造的な復興をめざして」と題するアピールを採択し、即日、橋本総理に申し入れを行った。
なお、シンポジウムの模様は、6月1日(土)午後5時〜5時50分、NHK衛星第1の「BSフォーラム」において放映される予定である。

地方分権の推進に向けて経済界・労働界がフォーラムを開催

経団連はじめ経済5団体は、5月22日に、連合、社会経済生産性本部と共同で「地方分権推進フォーラム」を開催した。
経団連からは、河野首都問題委員長が経済界代表として挨拶し、地方分権をはじめとした構造改革への取り組みと、そのテコになる首都機能移転の必要性を訴えた。

訪ウクライナ経済使節団、25日に出発

日本NIS経済委員会では、94年10月にウクライナ研究会を発足して以来、日本ウクライナ経済関係等について検討を重ねてきた。その間、95年3月にはクチマ大統領と両国経済交流について、また、7月には、そのフォローアップとして来日した経済ミッションと経済交流の促進をめぐり意見交換した。
こうした背景をもとに、本年1月に発足したウクライナ日本経済委員会(委員長:キナフ副首相)の招聘を受けて、河毛日本NIS経済委員長を団長とする使節団を派遣する。
今次訪問の目的は、(1)ウクライナ経済・産業の実情と課題についての理解促進、(2)対日経済交流に対するウクライナ側の考え方・期待の把握、(3)ウクライナ企業人との交流促進である。
派遣期間は5月25日〜6月2日、ウクライナ政府、オデッサ州・市、ドネプロペトロフスク州の要人、経済界代表などと懇談する。

消費者・生活者委員会報告書を公表

消費者・生活者委員会では、企画部会を中心に、昨年5月より消費者・生活者の視点からみた規制緩和や民間慣行の見直しについて検討を重ねてきた。具体的には、昨年秋と今春の2回にわたるアンケート調査や有識者とのヒアリング等を通じ、消費者・生活者に身近な規制や慣行の問題点を検討し、今般、その結果を「選択可能な社会をもとめて−行政、企業、生活者の課題」と題する報告書にまとめた。同報告書では、10の原則に基づき、郵便サービス、行政サービス、銀行サービスなど23分野から27件の具体例をあげて消費者・生活者の選択肢を増やす方法を提案している。

金融・資本市場の空洞化対策に関する提言をとりまとめ

経団連財政金融委員会では、このほど「我が国産業の活性化と、金融・資本市場の空洞化対策」と題する提言をとりまとめた。
バブル崩壊後、金融・資本市場の空洞化が進み、さらに今後とも金融機関は不良債権処理に追われることから、空洞化が一層進展しかねない。その結果、情報機能や資金供給機能の低下を通じて、産業空洞化ひいては日本経済全体の空洞化につながるとの危機感が高まっている。
提言では、(1)ニューヨーク市場のような国際金融センター、(2)円の国際化を柱とする将来ビジョンを掲げ、そのうえで、(1)規制撤廃・緩和、(2)税制改革、(3)短期金融市場の整備、(4)公的金融の見直しをはじめとする環境整備を進めることを打ち出している。

科学技術基本計画の策定まであと1カ月

経団連では、4月16日に提言「科学技術基本計画の策定に望む−日本を魅力ある国にするために」を関係方面に建議するとともに、中川科学技術庁長官、奥田文部大臣、加藤自民党幹事長はじめ関係方面に直接申し入れを行ってきた。6月11日には、大阪で報告会を開催する予定である。
科学技術基本計画は、6月中に科学技術会議(議長:総理大臣)でとりまとめられ、閣議決定される予定である。

第14回日本・インドネシア合同経済委員会を開催

日本・インドネシア経済委員会では、インドネシア商工会議所連合(KADIN)との間で1979年以来、日本・インドネシア合同経済委員会を開催し、両国間の経済交流の拡大に向けて意見交換を行ってきた。
今次会合は、6月5〜6日、インドネシアのジャカルタで開催され、(1)貿易・投資分野等における二国間協力、(2)両国の規制緩和(インドネシアの国民車構想等)、(3)グローバルな課題に対する協力(AFTA,APEC,BBC/AICO,WTO等)について議論する。また、インドネシア側からは、ハルタルト生産・流通担当調整大臣、アリウィボウォ商工業大臣ほかが出席の予定である。

ビジネス・ラウンドテーブルとの会議が終了

米国の経済団体ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)との会議が、5月5〜6日、米国ウェスト・バージニア州で開催され、経団連からは、豊田会長ほか7名が、米国側からはスノーBRT会長ほか10名が参加した。
日本の政治・経済情勢、大統領選挙の年の米国社会の状況、日米両国の教育問題、規制撤廃・緩和などをテーマに、米国側3人のゲスト・スピーカーを交えて、2日間にわたり懇談した。
会議では、米国の議会や国民の間に、自由貿易や国際投資は、米国の利益にはならないという保護主義的、経済孤立主義的な考えが出ているとの警告もあった。
また、教育問題では、両国の長所・短所が対照的であること、経済界の果たす役割が大きいということで意見が一致した。
7日には、ワシントンでルービン財務長官、タイソン国家経済会議議長、米国の不良債権処理にあたったシードマン元RTC(整理信託公社)総裁とも意見交換を行った。

「日米経済ハンドブック」英語版を刊行

経団連アメリカ委員会では、3月11日に、主要21業種の現状、各業界における日系企業の米国での活動状況、米国系企業の日本での活動状況、業界間の提携関係などについて紹介した標記ハンドブックの日本語版を刊行したが、4月30日、その英語版を刊行した。
本書も日本語版同様、経団連会員代表者に送付するほか、1部 1,000円で頒布している。


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