経団連の最近の動き

(1996年10月)

「経団連インフォメーション」の記事より


ミャンマーとの経済交流拡大に向けて日本ミャンマー経済委員会が活動を開始

ミャンマーでは、今年10月から「ミャンマー観光年」のキャンペーンをスタートさせ、これを機に近隣諸国との関係強化に努めている。ASEAN正式加盟を睨んで、民間経済活動の活性化を促しており、貿易や投資など今後ミャンマーと諸外国との経済交流が大きく進展することが期待される。
経団連では、日本とミャンマーとの経済交流の拡大に向けて、今年5月の総会で日本ミャンマー経済委員会(委員長:鳥海巖丸紅社長)の新設を決定した。今般、同委員会への参加申込みが80社を超えたことから、設立総会を開催し、ソー・ウィン駐日ミャンマー大使から、最近のミャンマー情勢などについて聞く。また、翌週にはミャンマーの経済界関係者を招き、「ミャンマー経済フォーラム」を開催し、ミャンマーの投資環境やビジネス・チャンスなどについて聞くとともに意見交換する。

医療保険制度改革に関する提言を検討

財政制度委員会社会保障制度専門部会(部会長:高野盛久三菱化学常務取締役)では、現在、医療保険制度改革に関する提言を検討中である。
組合健保、政管健保の財政は、保険料収入の伸び悩みと老人保健拠出金の急増により、赤字に転落し、今後とも赤字は拡大の一途を辿ることが確実である。そこで、老人保健制度を含めた医療保険制度の抜本的な改革が急務となっている。
同専門部会では、次の3点を柱に検討を進めているところであり、11月半ばには提言を公表する予定である。
  1. 老人医療の自己負担の定率化、被用者保険の自己負担率を2割に引き上げる。
  2. 老人保健制度の抜本的な見直しを行う。
  3. 保険者機能を高めることにより、医療分野にも競争原理を導入する。

金融行政調査ミッションの派遣を決定

今般の不良債権問題などを契機に、わが国の金融行政のあり方が問われている。
そこで、経団連では、11月14日(木)〜22日(日)の日程で、奈良久彌・金融制度委員会企画部会長(三菱総研会長)を団長とする金融行政調査ミッションを、欧米に派遣する。一行は、ドイツ・フランス・イギリス・アメリカの金融行政機関ならびに中央銀行を訪問し、検査・監督体制をはじめとする欧米の金融行政の実態を調査することとなっている。この調査結果をもとに、金融制度委員会(樋口廣太郎委員長、石川武共同委員長)では、わが国の金融行政のあり方について議論を深めていく予定である。

米国国際ビジネス協議会・カナダ国際ビジネス協議会と競争政策に関する国際会合を開催

経団連競争政策委員会では、10月29日、ニューヨークにおいて、USCIB(米国国際ビジネス協議会)、CCIB(カナダ国際ビジネス協議会)と、競争政策に関する国際会合を開催する。
経団連では、BIACの場を通じ競争政策に関する意見を国際社会に伝えてきたが、OECDのみならずWTOでも競争政策分野が取り上げられつつあり、新たに、米加の民間団体との間で競争政策に関する独自の対話の場をもつこととした。
今回の会合では、
  1. 各国における競争政策の課題、
  2. 国際的な競争政策の収斂、
  3. 貿易と競争、
  4. OECDにおける競争政策の議論の動向、
について意見交換を行う予定ある。
経団連からは、弓倉礼一競争政策委員長ほか7名が出席する予定である。

経団連ホームページをリニューアル

インターネット上の経団連ホームページを10月より機能アップした。蓄積された情報が迅速に検索できる機能を導入するとともに、トップページの内容を見直し、利用者が求める情報を的確・迅速に入手できるよう改善した。現在、提言・意見書、豊田会長の講演記録、経団連くりっぷの記事等を日本語と英語で提供している。
1995年1月の情報提供開始以来、9月末までの総アクセス件数は約65万件であり、本年9月のアクセス件数は約6万であった。海外からの利用も多く、全体の4割を占めている。これまでに、アメリカ、韓国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、イギリス、シンガポール等世界90カ国から利用されている。
(経団連ホームページのURL http://www.keidanren.or.jp/)

IUCN総会にミッションを派遣

経団連自然保護基金運営協議会では、10月15日〜22日までモントリオールで開催されるIUCN(国際自然保護連合)総会に後藤会長を団長とするミッションを派遣する。IUCNは、世界の自然保護団体や各国政府、国際機関を会員に持つ世界最大、かつ国際的な影響力を持つ自然保護NGOである。当協議会は本年4月、NGO会員として日本で15番目に加盟を認められた。事前に各国に配付された総会決議の案文では、環境保全のためには企業との協力関係の強化が重要である旨謳れており、当協議会が会員となったことが好例としてとり上げられている。
なお、本年3月に日本政府も正式な会員となっており、今回の総会には、環境庁、外務省等からも参加する予定。

著作権に関するWIPO新条約議長案について文化庁にメモを提出

国連の専門機関であるWIPO(世界知的財産権機構)では、本年12月をめどに、ベルヌ条約(著作権に関する国際条約)の改正作業を進めている。その議長案が8月下旬に提示され、先般、文化庁より経団連を含む関連200団体に意見照会が行われた。
経団連では、時間的な制約があったため、とりあえず関係企業の専門家の感触、懸念をとりまとめ、9月下旬に文化庁に提出した。

むつ小川原開発への支援強化を

1969年、「新全国総合開発計画」においてナショナル・プロジェクトとして位置づけられた「むつ小川原開発計画」は、2度にわたる石油危機や円高の進行など厳しい経営環境の中で、大規模臨海工業基地として整備を進めてきた。
現在、政府の国土審議会では「新しい全国総合開発計画」の策定作業を進めているが、この機会に、むつ小川原開発の意義を再確認し、同開発への支援を求めるため、経団連では、15日「むつ小川原開発をめぐる当面の課題」を建議する予定である。
内容としては、
  1. ITERなど国家的大型プロジェクトの誘導、
  2. むつ小川原港など各種インフラの整備、
  3. 財投融資の借換え制度の検討、
を挙げている。

官民連携による途上国ヘの知的支援の推進を求める

国際協力委員会では、政策提言「官民連携による途上国への知的支援の推進を求める〜途上国の民間経済活動の活性化を目指して」を取りまとめている。
本意見書は、民間部門の育成を通じて経済活動の活性化を目指す途上国に対して、わが国民間企業の経験、知識、ノウハウなどの移転を推進するため、わが国に官民が連携して、民間企業からの人材派遣を促進する体制の整備などを求める要望と提言を取りまとめたものである。
10月15日の理事会での正式決定後、本提言の実現に向けて関係方面に強く働きかけていく。

WTOシンガポール閣僚会合にむけ意見書を発表

貿易投資委員会WTOスタディグループでは、昨年1月に設立された世界貿易機関(WTO)が本年12月に開催する第1回閣僚会合にむけて「多角的自由貿易体制のさらなる促進を目指して−世界貿易機関(WTO)シンガポール閣僚会合に望む−」と題する意見書(案)をとりまとめた。
本意見書は、WTO活動と世界の貿易秩序に関するわが国企業としての要望と提言を取りまとめたもので、具体的には、
  1. 多角的貿易体制・WTOの支持、
  2. 各国のWTO協定ならびにWTOの精神の堅持、
  3. 「ビルト・イン・アジェンダ」の確実な実行、
  4. 貿易と投資に関する検討の開始、
  5. 中国の早期加盟に対する支持、
の5点をとりあげている。10月15日の理事会での正式決定後、公表の予定。


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