経団連の最近の動き

(1996年12月)

「経団連インフォメーション」の記事より


企業の社会貢献活動1995年度実績調査結果を発表

社会貢献推進委員会および1%クラブでは毎年実施している「企業の社会貢献活動実績調査」の1995年度の調査結果を公表した。
調査結果によれば、寄付金と自主プログラムを合わせた1995年度の社会貢献活動支出額は、一社平均で3億9,600万円となり、前年度に比べて3.8%増加している。また、社会貢献活動支出額が経常利益に占める割合は平均で2.36%であった。
寄付の対象を分野別に見ると、1995年度は、学術・研究が17.0%とトップである。続いて、教育(11.6%)、地域社会の活動(11.5%)等の支出比率が高い。自主プログラムの支出分野で最も多いのは、芸術・文化(26.3%)で、次いで地域社会の活動(18.3%)、環境保全(10.4%)となっている。
さらに、社会貢献活動推進のために各企業で新規に導入された制度についても調査しているが、1995年度については、ボランティア休暇・休職制度(15件)をはじめとして、21社で27件にわたって導入されている。
このような結果から、企業の社会貢献活動は、景気回復の遅れにもかかわらず、着実に根づきつつあることが明らかになった。

シンポジウム「首都機能移転のすべてが見える」を開催

経団連は、1997年1月28日(火)の終日、日経ホールにおいて日経新聞等と共催で、標記シンポジウムを開催する。
当日は、国会等移転調査会の会長を務めた宇野関経連相談役および東商「首都機能のあり方を考える懇談会」座長の河島副会頭からの基調講演の後、誘致に名乗りをあげている九つの地方自治体のプレゼンテーションや「21世紀の日本の行政・産業・文化をどう考えるか−首都機能移転論議を機に」をテーマとするパネル・ディスカッションが催され、まる1日の会議で首都機能移転の主要論点が理解できるプログラムとなっている。

意見書「財政民主主義の確立と納税に値する国家を目指して」を公表

財政制度委員会(伊藤助成委員長・日本生命保険社長/福原義春共同委員長・資生堂社長)では、12月9日、標記意見書を公表した。
標記意見書は、1997年度からの10年間を3期間に分け、具体的な目標とそれを実現するための手法を盛り込んだアクション・プログラムを作成するよう、政府に対し要望している。
第1期の1997〜1999年度には、財政構造改革法(仮称)の制定、情報開示と監視の徹底など財政構造改革の基盤を整備し、歳出入両面の見直し、地方財政の改革に着手する。これによりプライマリー・バランスの達成を目指す。続く2000〜2002年度の第2期は中央省庁の再編を進め、政府事業の民営化等に取り組み、特例公債からの脱却を図る。第3期は地方交付税・補助金制度の抜本改革、地方自治体の再編・統合等を断行し、国、地方、財投等を合わせた公的部門の支出規模の対GDP比率を現状以上に肥大化することを防ぎ、可能な限り小さくしていく。

ハイテクおよび環境技術に関する日独協力評議会ベルリンで会合を開催

1993年の日独首脳会談で設置が合意された「ハイテクおよび環境技術に関する日独協力評議会」は、森亘科学技術会議議員と、ハインツ・リーゼンフーバー元教育・技術・研究大臣が共同議長に就任し、先端技術および環境技術分野における両国産業界の協力の可能性について集中的に論議している。本年11月には日独両国首脳に対し、評議会の活動に関する中間的な報告を行い、高く評価された。来る1月9日・10日、評議会はその第4回会合をベルリンにおいて開催し、各種の共同プロジェクトの可能性や、ワークショップの開催について議論を行う。
なお、評議会は、1997年末に両国政府に対する報告を行ってその活動を終了する。

産業廃棄物に対する責任強化に向けて関係省庁の動きが活発化

瀬戸内海の豊島の不法投棄事件や御嵩町町長襲撃事件等もあって、産業廃棄物に対する社会の目が厳しくなっている。
そうした中で、厚生省では、廃棄物処理法の改正法案を次期通常国会に提出すべく検討を進めており、今般の改正においては、委託先の不適正処理の責任を排出事業者に連帯して負わせる制度や原状回復基金の創設等が大きな焦点となっている。また、環境庁においては、安定型処分場の廃止も念頭において、埋立て処分基準や最終処分場の構造・維持管理基準を検討している。さらに、通産省においては、廃棄物の減量化・リサイクルへの取組みやリサイクル製品の購入に関して法的拘束力のある数値目標を設定しようとする動きがある。
経団連では、
  1. 廃棄物の減量化・リサイクルの実施に関しては事業者の自主的取り組みを重視すべきこと、
  2. 不法投棄等に対する罰則や取締りの強化には全面的に賛成であるが、適正処理を行っている善良なる事業者に対し不当な負担を負わせるべきでないこと、
等を主張してきたが、三省庁の動きを注視しながら、引き続き必要な働きかけを行う方針である。

産業毎の環境自主行動計画の策定について

経団連は地球環境時代の環境対策の基本を「自主的取り組み」に置いており、さる7月、21世紀の環境保全に向けた自主行動宣言として、経団連環境アピールを公表した。12月半ばには、同アピールに沿って「地球温暖化対策」「循環型経済社会の構築」「環境管理システムの構築と環境監査」「海外事業展開にあたっての環境配慮」の4分野における産業毎の環境自主行動計画を中間的に取りまとめて発表する。
12月の発表時点では、経団連の呼びかけに応え、製造業・エネルギー産業だけではなく、流通・運輸・建設・貿易・損保など、31業種(123産業団体)が計画を策定する見込みである。さらに、年度末までには、6業種が追加的に計画を策定する見込みである。これほど裾野の広い取り組みは世界にも例がなく、世界最大の取り組みといえよう。
わが国産業界は世界最高水準のエネルギー効率やリサイクル率を達成しており、さらなる努力は極めて厳しい状況ではあるが、各産業から提出された多くの計画は、地球温暖化対策と廃棄物対策のいずれも数値目標を含む大胆かつ明確な計画となっている。
12月17日の理事会を経て、18日にインターネット等を通じて内外に発表する予定である。


日本語のホームページへ