経団連の最近の動き

(1997年2月)

「経団連インフォメーション」の記事より


「国際熱核融合実験炉(ITER)計画推進国民会議」が発足

国際熱核融合実験炉(略称はITER、イーター)計画を国民の総意を得て推進していくため、豊田経団連会長ら各界の有識者が呼びかけ人となって標記会議を発足させ、2月25日に第1回会議を開催した。当日は会場の経団連会館にグレゴリー・クラーク多摩大学学長ら各界の有識者や会員企業・団体の代表者など約150名が駆けつけた。
米国、EU、ロシアおよび日本の四極の協力の下に進められてきた国際熱核融合実験炉の工学設計活動も最終段階を迎え、昨年7月には建設のための準備協議がスタートするなど、建設に向けた動きが本格化している。こうした動きを受けて、わが国政府も社会・経済的側面や国際社会におけるわが国の果たすべき役割などの観点から原子力委員会のもとに「ITER計画懇談会」を設置し、審議を開始したところである。
国民会議では、シンポジウムの開催やパンフレットの作成等の活動を通じて、ITER計画実現に対する国民の理解増進のための諸活動を展開していく。

持株会社の解禁について与党3党の合意

2月25日の与党独禁法協議会(座長:山崎自民党政調会長)では、今国会において持株会社解禁を主な内容とする独禁法改正法案を提出することを決定した。
経団連では、長年にわたり企業経営の選択肢を広げるために、独禁法第9条により禁止されてきた持株会社の解禁を求めてきたところである。
この度の与党合意内容によると、事業支配力の過度の集中にならない限り持株会社の設立は自由になる。
禁止される持株会社や設立された持株会社の監視方法については、法案成立後に公正取引委員会が策定するガイドラインによって明らかになる。
経団連としては、今後、競争政策委員会(委員長:弓倉旭化成工業社長)を中心に改正法案ならびに公正取引委員会が策定するガイドラインについて、必要に応じて経済界の意見を反映させていきたい。

「女性の社会進出に関する部会」がアンケート調査結果を発表

経団連企業行動委員会「女性の社会進出に関する部会」(部会長:坂本西友専務取締役)では、1995年2月に発表した部会レポートのフォローアップの一環として、昨年秋、具体的施策の実施状況を中心に調査を実施した(調査対象:経団連全会員企業人事担当部長、回答率27.4%)。
採用時の選考基準において「男女間で差をつけることがある」「場合によっては若干差をつけることがある」とする回答を合わせると25.8%となり、福利厚生面で「女性対象の社宅・寮が未整備のため原則自宅通勤」などの条件が付されることがある。また、「女性社員(特にいわゆる総合職)は使いにくいという一般的な風潮がある」という指摘も36.2%あった。
なお、1995年度の総合職の採用実績は男女比が8対1との回答であった。
今後、採用、配属、昇進、社内福利厚生制度、労働基準法上の女性保護規定などの制度面および意識面でのより一層の改善が必要と思われる。
詳細な調査結果については、下記までご請求いただきたい。

大詰めを迎える多国間投資協定交渉

OECD(経済協力開発機構)では、本年5月の閣僚理事会での合意を目指して、多国間投資協定(MAI)交渉を行なっている。本協定が成立すれば、投資自由化、投資保護、紛争処理の規定を含む、初の包括的な多国間の投資協定となる。
現在、協定の主要部分につき条文が確定しつつある。経団連は、MAIワーキング・グループ(座長:山本トヨタ自動車副社長)を中心に、1996年4月に「国際投資環境のあり方とわが国の対外・対内投資〜多国間投資協定交渉に望む」と題する意見書(「経団連くりっぷ33参照」)を取りまとめ、OECD日本政府他、関係方面に提出したが、その後も同ワーキング・グループでの議論を基に、協定案の個別具体的な論点に対してコメントを提出してきた。
また、米国の主張により、本年2月末から自由化留保項目の削減交渉(自由化コミットメント交渉)が行なわれることとなっており、5月末に向けて、交渉は大詰めを迎えると見られる。
経団連としても関係省庁からのヒアリングなどを通じてフォローを続けていく。

気候変動枠組条約事務レベル会合で環境自主行動計画を発表へ

3月3日から7日まで、本年12月に京都で開催される気候変動枠組条約第3回締結国会議(COP3)の事務レベル準備会合がボンで開催される。
COP3では、2000年以降の地球温暖化対策として法的拘束力を持つ国際目標が決定される可能性が高く、国際的に極めて高い関心を呼んでいるが、今回の会議では議長から議定書案のたたき台となる文書が提出される。
交渉の焦点は、2000年以降の二酸化炭素の排出目標について、一率削減か選択式かにある。一率削減となると、日本をはじめ、すでにエネルギーの利用効率を高めてきた国にとっては極めて厳しいものとなる。
経団連では、昨年、経団連環境アピール産業毎の自主行動計画を発表したが、この準備会合に参加し、日本の産業界の自主的取組みの現状を説明し、各国産業界に同様の取組みを呼びかける予定である。

重油流出事故支援について(No.4)

悪天候や地元関係者の疲労などの関係で、しばらく回収作業を中止する地域が増えてきている。また、物資の受入れについても休止する箇所が増えてきた。
重油回収作業は人手に頼らざるを得ない状況であるが、遠隔地からのボランティアが地元に負担をかけているという報告も増えている。ボランティアによる支援については関係方面とも相談し、今後の対応を考えていきたい。
なお、これまでに当会宛報告のあった企業のほか、東京電力、三菱電機、東レ、安田火災、豊田工機、岩谷産業、日本ゼオン、NTTデータ、住友ゴム、興亜火災、ダイハツ、日薬連、日本電線工業会、第一勧銀、大正製薬、三菱商事、東洋インキをはじめ、多数の企業から物資・義援金、ボランティア等の協力状況についてご報告をいただいた。

第2回経団連・世界銀行年次会合を開催

経団連国際協力委員会(委員長:熊谷三井物産会長)では、来る2月19、20の両日、経団連ゲストハウスにおいて、標記会合を開催する。
経団連と世銀グループは、1995年10月にワシントンDCで第1回年次会合を開催し、同会合で採択されたアクションプランをもとに、人事交流、地域・テーマ別政策対話の実施、各種情報交換などに取り組んできた。
今回は、双方の知識、情報、経験に基づく率直な議論を通じて、世銀グループとの具体的な連携の可能性を探る。そこで、主要テーマを民活インフラおよび関連問題にしぼり、一般論から各論へ、意見交換から共同作業の実施へと世銀グループとの関係の拡大、深化を目指す。
世銀グループからは、フランク専務理事、リシャール副総裁、福井副総裁、リンドベックIFC長官、ハリウッドMIGA副長官等が参加する。経団連からは、熊谷委員長、松本東京三菱銀行顧問、北川千代田化工建設社長、児玉JAIDO社長、荒木日商岩井顧問ほか、20名程が参加する。

経団連「財政構造改革ビジョン」を発刊

財政制度委員会(委員長:伊藤日本生命社長、共同委員長:福原資生堂社長)は、今般、標記資料を発刊した。
同資料は財政構造改革に対する経団連の基本スタンスを示したはじめての資料であり、中身は2部構成となっている。第1部は総論部分にあたり、財政状況の分析、見通しに基づいて、国・地方・財投を一体として捉えた財政構造の総合改革の必要性を強く訴えている。第2部の各論部分は、社会保障制度改革の基本方向と、それに基づく医療保障制度改革、高齢者介護のあり方、年金制度改革を提言している。
同資料は経団連会員代表者に送付するほか、1部1,000円で頒布している。


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