経団連の最近の動き

(1997年3月)

「経団連インフォメーション」の記事より


政府開発援助(ODA)の改革に関する提言のとりまとめ

内外の急激な情勢変化に対応し、ODAを通じて国際社会からの期待に応え、わが国の国民的利益を追求していくためには、今まさにODAのあり方を再度問い直し、抜本的な改革に取り組むことが求められている。こうした認識の下、経団連国際協力委員会(委員長:熊谷副会長・三井物産会長)では、ODA推進体制の改革、ODA事業の全面的見直し、質の充実を目指した援助実現の方策について、官民のパートナーシップ、ODAと民間協力、ODAの各種形態(有償、無償、技術協力)内のパッケージ等を通じて、効率的で効果的な援助を推進すべきである旨を提言に盛り込むこととし、4月の理事会に向けて、現在、意見書「ODAの改革に関するわれわれの考え」を取りまとめつつある。

APECとASEMのあり方に関するアンケート調査を実施

経団連アジア・大洋州地域委員会では、関係委員会のメンバー471社を対象に『APECとASEMのあり方に関するアンケート』調査を実施し、117社から回答を得た(回答率24.0%)。
先のAPECフィリピン会議で重要性が強調されたAPECへの民間参加についての設問に対して、回答企業の8割がこれまで民間経済界の意見はAPECの活動に十分反映されていないと答え、今後一層の官民連携を求めていることが判明した。
また、APECが採用している各国・地域の自主性に任せる非拘束性の原則については、その原則の維持を支持する企業が約9割を占めた。APECにおいては、各国の遵守を義務づけて確実に自由化を行うWTOのような形式よりも、各メンバーの自主性とメンバー間の協調を重視する非拘束性の原則を支持する企業の姿勢が明らかになった。

「魅力ある日本」の創造のために21世紀政策研究所設立

現在、高度情報化、地球環境保全、メガコンペティション、高齢化・少子化といった諸課題に直面している折、わが国が健全で活力に満ちた経済を回復するには、「官」から「民」への流れの中で、民間が戦略の構築、具体的政策の立案、遂行に主導的役割を果たしていく必要がある。
経団連では、これまで各分野にわたり様々な政策提言活動を行ってきたが、この度、標記政策研究所を設立し、内外の英知を結集して本格的な政策研究を行い、魅力ある日本の建設と世界の平和と発展への貢献方策について、より客観的で長期的視野に立つ政策構想を国民に提示することとした。本研究所は、その時々の課題に取り組み、時代の要請に応える政策提言を、理論的実証的に十分な検証を経てとりまとめる。それによって国民の一層深い理解と支持を得られることが期待される。また、国際社会におけるわが国の知的貢献への期待に応えることが可能となるばかりでなく、経団連としても、本研究所での成果を踏まえ、政策提言力の一層の充実、政策推進活動の強化も図ることとした。
本研究所の設立については、昨年11月に21世紀政策研究所設立準備懇談会(座長:那須副会長)を設置して、合計10回にわたる会合を開き、政策研究に精通した主要シンクタンク幹部や大学教授等の専門家からヒアリングを行うとともに、経団連が設立するにふさわしい研究所のあり方につき検討を重ねてきた。その結果は3月10日の会長・副会長会議ならびに18日の理事会において了承された。
本研究所は主に以下の5つの特徴を持つ。
  1. 弾力的・機動的な対応が可能となるよう、非営利組織として発足する。
  2. 研究テーマ毎に「タスクフォース」を設け、「研究主幹」(大学の教授、助教授をはじめとする内外の有識者、実務者等の中から運営委員会で選任)を中心に複数の研究員が研究を推進する。研究主幹等の研究者はテーマ毎の契約とし、成果がまとまり次第タスクフォースは解散する。
  3. 研究テーマの設定、研究主幹の選任等重要事項については、「運営委員会」(経団連会長、および経団連副会長、評議員会議長・副議長等経団連首脳、研究所の理事長、特別顧問、事務局長、学識経験者から構成)において決定する。
  4. 「研究諮問委員会」(マスコミ関係者、実務家、学識経験者および経団連委員会関係者等から構成)を設け、研究主幹から研究過程において定期的に成果の報告を受け、意見交換を行うことで、研究成果の現実性、有効性を高める。そのほか、最終的な研究成果に対して厳正な評価を行う仕組みを設ける。
  5. 内外のシンクタンクとネットワークを形成し、随時、意見交換や研究評価を行うほか、テーマによっては研究の一部を内外シンクタンクに発注し、その成果を活用するなど、効率的な研究を行う。
なお、本研究所は、4月1日の設立を予定している。
本件に関する詳細は総合企画グループまで。

独占禁止法改正法案について公正取引委員会からの説明を聞く

経団連が長年にわたり主張してきた持株会社の解禁は、2月25日の与党独禁法協議会での取りまとめを経て、さる3月11日閣議決定され、国会に上程された。
そこで、競争政策委員会(委員長:弓倉礼一旭化成工業社長)は、来る3月28日に委員会を開催し、公正取引委員会塩田経済取引局長から、独占禁止法改正法案ならびに公取委がこれから策定する持株会社についてのガイドラインの内容について、説明を聞くとともに意見交換を行なう。

加藤税制調査会長との懇談会を開催

税制調査会では、今年1月に「これからの税制を考える−経済社会の構造変化に臨んで−」と題する報告書を公表し、今後の税制のあり方について広く国民に対し問題提起をしているが、税制委員会(委員長:久米副会長)では3月11日、加藤寛税制調査会長を招き、法人税制のあり方を中心に今後の税制のあり方について忌憚のない意見交換を行なった。
経団連側からは、加藤会長に対して、これまでの税制改正、財政構造改革、ならびに社会保障制度改革に関する提言を踏まえて、税調報告書に対する考え方を示し、法人税の実質的減税、連結納税制度の早期導入、土地税制の抜本的見直しなど経済活性化のための税制改革の実現を求めた。

小杉文部大臣との懇談会を開催

橋本首相は年頭に行政改革、経済構造改革等の5大改革に教育改革を加えた6大改革に取り組むとの方針を示した。文部省では、昨年来、中央教育審議会等の各審議会において、中高一貫教育の導入、教育内容の厳選などの具体化に関する検討をしてきたが、去る1月24日に、改めて今後の教育改革に関する具体的な課題等を示した「教育改革プログラム」をとりまとめている。
21世紀にむけた教育改革を実現するためには、社会の理解と支持が必要であるため、文部省より、教育改革に関する幅広い意見交換を、経団連等、経済団体と行ないたい旨の申し入れがあった。
そこで、創造的人材育成協議会(会長:末松さくら銀行会長)では、来る3月10日、標記懇談会を開催し、21世紀を展望した教育のあり方や、今後の教育改革の推進方策などについて、幅広く意見交換する。

重油流出事故支援に関するアンケートのお願い

経団連社会貢献推進委員会、1%クラブでは、ロシアタンカー重油流出事故被害に対する各社の支援状況を調査するためアンケートを実施する。同調査については、その結果を広く公表するとともに、今後の活動の参考に供したい。ご協力願いたい。
なお、重油回収作業については、市民を動員しての一斉作業を3月上旬で打ち切る市町村が増えているが、継続してボランティアを受け付ける地域もある。義援金は各自治体、各市民団体とも継続して受け付けているが、たとえば石川県珠洲(すず)市の目的別義援金口座など、ほとんど募金が集まっていないものもある。詳細については経団連・1%クラブ事務局まで。

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