経団連の最近の動き

(1997年4月)

「経団連インフォメーション」の記事より


「規制緩和推進計画」再改定における経団連要望の実現状況を評価

政府の「規制緩和推進計画」は、さる3月28日に再改定され、新たに890項目を加えて2823項目へと拡充された。今回の改定は、質・量とともに充実した内容となっており、例えば、運輸(国内航空、バス、タクシー事業等の需給調整規制の廃止等)、金融・証券・保険(株式委託手数料の自由化、ストック・オプション制度の一般的導入等)、雇用・労働(有料職業紹介事業取扱業種のネガティブ・リスト化等)、競争政策(純粋持株会社の解禁等)等の措置が盛り込まれたことの意義は大きい。
経団連では、今回の改定に向けて、昨年10月「規制の撤廃・緩和等に関する要望」(18分野886項目)を、また今年2月には再要望(725項目)を取りまとめ、政府・与党、行革委員会等関係方面に建議し、実現を働きかけてきたが、半数を上回る444項目について何らかの措置が講じられることとなった。
今後、経団連としては、
  1. 「計画」に盛り込まれたものの、措置の内容や実施時期が不明確な項目の早急な具体化、
  2. 今回の改定では取り上げられなかった項目や新たな要望項目の検討、
  3. 来年3月に期限を迎える「計画」後の新たな規制緩和推進体制の検討、
を政府に働きかけていく予定である。

ジンバブエ投資セミナーを開催

南部アフリカ諸国では、1990年代に入って以来、経済の自由化を積極的に推進している。南部アフリカ第2の規模をもつジンバブエは、フェロクロームをはじめとする鉱物資源、ヴィクトリアの滝をはじめとする観光資源にも恵まれ、周辺諸国とも手を携えて、投資環境の改善や在京大使館の機能強化を通じた投資誘致にも積極的に取組んできている。
そこでモンベショーラ・ジンバブエ鉱物大臣の訪日を機に、『ジンバブエ投資セミナー』を5月8日(木)に開催する。

第3回フィリピン高校教師日本招聘事業を実施

ASEANとの文化交流活動の一環として、経団連では毎年、フィリピン日本人商工会議所および同国文部省の協力により、高校教師を日本に招聘し、民間企業による文化交流活動を行なっている。
本年は5月10日(土)〜24日(土)にかけて実施する。フィリピン全土から選抜された優秀な高校教師10名を招き、日立製作所、三井物産、トヨタ自動車などの企業見学を通じて、わが国企業人との交流を深めるとともに、茶道や陶芸など日本文化に触れる機会も提供する。帰国後は、日本での体験をフィリピンでの教育に役立ててもらうことを期待している。このプロジェクトは日立製作所を中心に、15社が参加しており、毎年企業からたいへん好評を得ている。

環境税を巡って各省庁の動きが活発化

本年12月にCOP3(気候変動枠組条約第三回締約国会議)が京都で開催され、2000年以降の地球温暖化対策の国際的枠組みが決定される予定である。これに対応して、環境庁をはじめいくつかの省庁が、温暖化対策を名目にした税や課徴金導入に向けた動きを活発化させている。
具体的には、環境庁は、昨年7月に、炭素トン当たり3,000円程度の炭素税(年間税収約1兆円)と補助金の組み合わせにより、環境保全上の所定の目標が達成できると結論づけた報告書を公表し、積極的にPRに努めている。また、建設省は先月、道路審議会財源小委員会の報告書を発表したが、その中で、地球温暖化対策の視点も含めた税負担のあり方を検討していくことが必要としている。さらに運輸省でも、今月、運輸政策審議会総合部会報告書で、
  1. 運輸部門で炭素税を導入することは炭素税のメリットに照らして十分検討に値する、
  2. 運輸部門のみで導入するという考え方も十分念頭に置くことが必要、
と環境税導入に前向きな姿勢を示している。
これに対し経団連は、かねてより、炭素税を一部の国で導入した場合、エネルギー効率の悪い途上国に生産が移転し、世界全体としては二酸化炭素排出量が増加しかねないなど、メリットよりもデメリットの方が大きいとして反対するとともに、温暖化対策について、産業界の自主的な取り組みの重要性を訴えてきた。今後とも、関係省庁の動きに対応して、環境税の考え方をまとめていく予定である。

「わが国の高コスト構造の是正−新たな経済システムの構築を目指して−」をとりまとめ

経済の成熟化、少子・高齢化、グローバル・コンペティションの進展などの大きな流れの中で、従来の日本型経済システムは見直しを迫られており、わが国の高コスト構造は日本型経済システムのもたらす弊害の一例として、強くその是正が求められている。こうした観点から、経済政策委員会では、経済構造部会において検討を重ね、上記報告書をとりまとめた。本報告書では、輸送、公共投資、公共料金、金融の各分野について具体的な是正策を示すとともに、新たな雇用制度・慣行の構築の必要性とその方策を指摘した。さらに、構造改革を進めるにあたっては、真に実効ある改革を貫徹するとともに、改革のスピードアップを図ることが最も重要であることを強調した。


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