経団連の最近の動き

(1997年10月)

「経団連インフォメーション」の記事より


今後の広報活動の強化に向けて

経団連広報委員会企画部会(部会長:張富士夫トヨタ自動車専務取締役)、同ワーキング・グループ(座長:渋谷高允東レ常務取締役)では、経団連広報活動の戦略化と活発化に向けて検討を重ねてきた。その活動を踏まえ、10月20日の広報委員会(委員長:樋口廣太郎副会長・アサヒビール会長)において、広報活動の強化に向けての今後の指針をとりまとめた。
その柱は、
  1. 広報の戦略化、
  2. 情報発信機能の強化、
  3. 海外広報の強化、
であり、より幅広い層を対象に深く掘り下げた内容をわかりやすく伝えることをめざしている。具体的には、広報課題として税制改正、行政改革、エネルギー・地球環境問題の三点に重点を置くとともに、新聞・テレビ等マスメディアへの広報強化、外国メディアへの情報発信、企業の社内報との連繋、インターネットの活用などである。
本方針は、11月の会長・副会長会議に報告の予定。

アップウィズピープル“ふれあいツアー'97”との交流会を開催

海外事業活動関連協議会(CBCC)では、草の根レベルでの若者の国際相互理解に寄与すべく、従来よりUp With People(本部:米国コロラド州)への支援を行なっている。
昨年に引き続き、世界20カ国、131名の若者が来日し、国内8都市において地域の人々との「ふれあい」をテーマに交流活動を行なったのを機に、10月29日、経団連会館においてUp With Peopleとの交流会を開催した。
Up With Peopleの若者は、年間3万マイル、5カ国を旅し、約100の家庭でホームステイしながら、ショーパフォーマンスと地域貢献活動を行なう。プレゼンテーションに立った5人のメンバーからは、「異文化を理解する能力、忍耐力と思いやり、地域の一員としての自覚、達成感、問題解決力」等を身につけることができたとの紹介があった。
アップウィズピープル日本委員会会長でもある立石信雄CBCC会長は、「一人でも多くの若者がこのような活動に参加することがより良い国際社会実現への早道かもしれない」と述べた。

「緊急国民経済対策」の着実な実行を

10月21日、自民党では「緊急国民経済対策」を取りまとめた。経団連では自民党臨時経済対策協議会において、櫻井孝頴経済政策委員長(第一生命保険会長)が規制緩和、税制改革、土地対策の推進を訴えるなど、精力的な働きかけを行なった結果、同対策には、多くの要望が盛り込まれた。
なかでも土地問題への対応については、地価税の廃止または凍結、法人の長期・超短期譲渡益重課の撤廃などの方向性が盛り込まれたほか、土地取引事前勧告制の事後報告制への制度改善への着手、赤字建設会社の公共入札指名排除の是正、定期借家権制度の導入、不動産の証券化に向けた法整備など、土地の有効利用に向けた施策が総合的に提示された。
政府では、これを受け、11月中に経済対策を取りまとめる。
経団連では今後も実効ある土地対策の推進を働きかけ、それを通じて魅力ある都市づくりを進めていくとともに、わが国経済の明るい見通しを切り拓いていく。

「総合科学技術会議(仮称)に関する要望」をとりまとめ

本年9月に公表された国の行政改革会議中間報告では、内閣府に「総合科学技術会議(仮称)」を設置することが言及されたものの、その中身について必ずしも十分な議論がなされていない。そこで産業技術委員会(委員長:金井務日立製作所社長)では、急遽、産業界の要望を取りまとめて、10月21日に、自民党や国の行政改革会議に提出するとともに関係方面に建議した。
提言では、総合科学技術会議が強力な調整機能を発揮するために、
  1. 役割の明確化(積極的に政策提言できる総合調整機関、特に社会的経済的ニーズに即した科学技術戦略の構築、科学技術基本法・基本計画の推進、国の行なう重要な研究開発プロジェクトの方向付け・規模等に係る調整等)、
  2. 質の向上(専門家集団の強化・育成、事務局の調査・企画立案機能の強化)、
  3. これらを実効あらしめるための施策(法律、予算、運営の透明性等)、
を要望した。

欧州にエネルギー調査団を派遣

わが国は二度にわたる石油危機を契機に、世界でも最高水準のエネルギー利用効率を達成したが、現在、環境問題とエネルギー問題の調和という極めて困難な問題に直面している。従来の延長線上の政策の拡大強化だけでなく、エネルギー需給構造ならびに社会システムや生活様式の大きな転換を迫られている。産業界においても、従来とは異なった、新たな視点での取組みが必要である。
そのような状況に鑑み、経団連資源・エネルギー対策委員会では、11/2〜11/12の予定で、原子力を重視している欧州に、篠崎昭彦委員長(住友金属鉱山会長)を団長とするエネルギー調査団を派遣し、各国の政策ならびに産業界の取組み状況について調査を行なうこととした。

借地借家法改正に関する提言(借地借家法部会)をとりまとめ

規制緩和の一環として、経団連経済法規委員会借地借家法部会(部会長:名原日本生命副社長)では、一昨年より定期借家権の導入を柱とした借地借家法の改正を再三に亘り求めてきたが、自民党での議員立法の動きが見られる中、改めて、標記提言をとりまとめた。同提言は、10月17日に経済法規委員会(委員長:安西東京ガス社長)で承認された。
提言は、法改正はニーズに合った借家供給をもたらす経済活性化策であり、賃借人と賃貸人の双方にメリットが大きいとして、次の3点を要望している。
  1. 定期借家権の創設を早急にすべきこと、その際、存続期間や建物の用途、面積、地域などによる適用範囲の限定はすべきではないこと、
  2. 正当事由の見直しとして、現行の正当事由を明確化すること、都市開発事業により借家関係を継続することが困難と認められる場合を追加すること、非居住用建物の場合には正当事由を適用除外とすること、
  3. 定期借地権の最短期間の短縮(現行50年→30年)を行なうこと、
である。なお、以上は新規の契約に適用することを併せて提言している。

企業努力と構造改革で活力ある日本を
〜経済政策部会にて景気ディスカッション

10月13日、経済政策部会(部会長:平尾長銀総合研究所社長)を開催し、昨今の経済情勢について自由討議を行なった。議論を総括すると、次の通り。
景気の現状認識としては、業種差はあるが、総じて足元は弱含みで、踊り場的な状況にある。先行きについても不透明感が強く、将来に対する展望のなさが、消費者・企業のマインドを冷やしている。
このような中、具体的な経済対策を議論するとしても、企業が経営努力、顧客ニーズへの対応に励むことが大前提である。その上で、短期的な政策としては、従来型の安易な財政出動策(公共投資等)に頼らずに、法人税制の抜本改革、土地流動化・有効利用の推進を、長期的な政策としては、規制緩和、行財政改革をはじめとした六大改革の推進が必要である。

経団連代表団を韓国に派遣

経団連は、相互理解と友好親善促進の観点から、1983年以来毎年、韓国の全経聨(全国経済人聨合会)との間で、両団体首脳による相互訪問を実施している。本年は、10月16日〜18日の日程で、豊田会長を団長とする経団連代表団がソウルに向かった。
ソウルでは、崔鍾賢会長はじめ全経聨首脳との定期懇談会を開催し、グローバル競争時代の政府と企業の役割、今後のアジア大洋州地域における日韓協力等について意見交換を行なう予定である。また、金泳三大統領ほか政府首脳を表敬訪問することとしている。

持株会社設立に係わる関連法制の整備を求める(会社法部会)

先の通常国会における独占禁止法の改正により、持株会社が解禁されたが、企業が実際に持株会社を設立することは、現行の商法や税制の下では大きな制約がある。
そこで、経団連経済法規委員会会社法部会(部会長:末廣新日本製鐵常任顧問)では、9月17日に、持株会社設立に係わる関連法制の整備を求める意見書を取りまとめた。
意見書は、
  1. 株式交換方式による持株会社設立を商法で認めること、特に、大蔵省が銀行持株会社設立のために検討している「三角合併方式」について、広く一般的な制度とすること、
  2. 分社化方式にかかる債権譲渡等の円滑化のための制度を新設すること、
  3. 営業譲渡と現物出資に際しての検査役による調査を不要とすること、
の3点について提言している。
なお、連結納税制度および持株会社設立時の税制の整備については、既に税制委員会の提言(9月16日とりまとめ)において要望している。

「1%クラブ第5回シンポジウム」を仙台で開催

経団連1%(ワンパーセント)クラブでは、企業の社会貢献活動と当クラブの活動に対する理解を得るため、仙台市にてシンポジウムを開催する。
同シンポジウムでは、企業の社会貢献活動の意義や考え方について話し合うとともに、企業とNPO(民間非営利組織)とのパートナーシップのあり方について検討する。また、地元の市民活動団体代表にもご講演願う。
仙台・宮城・東北地区の経団連会員の他、仙台地区などの支店・営業所などの各位にも是非ご参加いただきたい。

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