(1998年2月)
「経団連インフォメーション」の記事より
アジア通貨・金融危機の深刻さならびに日本が果たすべき役割の重要性に鑑み、国内の景気対策に加え、危機克服のための具体的な協力策を検討していくために「アジア通貨・金融危機に関する特別検討会」(座長:立石アジア・大洋州地域委員会共同委員長)を2月25日に開催した。既に経団連では、タイのアムヌアイ元副首相やインドネシア商工会議所のバクリ会長などから、現地の状況を聞くとともに、日本からの協力策などについて意見交換を重ねてきている。特別検討会では、これらの成果をふまえ、改めて民間経済界としての考え方を整理するとともに、市場アクセスの改善、技術移転・人材育成、ODAや公的資金の活用、さらには安定的な通貨制度のあり方などについて検討し、できることから対策を打ち出し、日本政府をはじめ関係方面に働きかけていくことにしている。
経団連がさまざまな機会に、米国側と意見交換する際の参考となるよう、アメリカ委員会「今後の日米協力を考える部会」では、日本の経常収支、対米貿易収支動向について、
マクロ、ミクロ(セクター別)両面から検討を進めている。1997年度内に考察結果を取りまとめる予定。
主なポイントは、
経団連では、3月17日にコーポレート・ガバナンスに関する懇談会(座長:片田哲也コマツ会長)を開催する。昨年9月にとりまとめた「コーポレート・ガバナンスのあり方に関する緊急提言」では、当面の重要課題として、
景気の後退感が次第に強まるなか、自民党は2月20日をめどに追加的な景気対策をまとめる予定である。このような動きを受けて、経団連では、「わが国の構造改革と景気回復に資する追加的経済対策を要望する」と題する意見書を取りまとめ、関係方面に建議した。
本要望では、
経団連国際協力委員会国際貢献・人材派遣構想部会(部会長:北川正人千代田化工建設社長)では、途上国にわが国民間企業の海外経験豊かな人材を派遣し、その経験・ノウハウの移転を通じて「顔の見える援助」を推進している。その一環として、1997年度より、「民間セクターアドバイザー専門家」スキームを活用した人材派遣を開始した。
同スキームは、国際貢献・人材派遣構想部会のイニシアティブに基いて派遣国の決定、人選等を行ない、資金面ではODA(政府開発援助)の技術協力予算を活用するものであり、1997年度については15名分(短期10名、長期5名)の予算が計上された。これまでにラオス、ウズベキスタンへのセミナー講師派遣という形で、のべ5名の短期派遣が、そして長期についてもラオスへの電力セクターの専門家派遣(1名)が実現した。
本件については1998年度も引続き行なわれる予定である。詳細については、下記までお問い合わせ頂きたい。
1996年2月にOECD理事会が環境汚染物質排出・移動登録(PRTR)制度の導入を加盟国に勧告し、1999年2月に検討状況を報告するよう求めたことから、PRTRが今年の環境政策の焦点となりつつある。そこで、経団連では、PRTRの全体像を理解していただくため、2月5日の東京に続き、2月27日に大阪においてもPRTRセミナーを開催する。
さる1月29日〜2月3日、スイスのスキーリゾートのダボスに世界中の政治家、ビジネスマン、学者、ジャーナリストなど約2,000人が集まり、21世紀に向けたグローバルな課題を議論するワールド・エコノミック・フォーラムが開かれ、経団連から豊田会長が参加した。今回の会議では、中でも、「通貨危機を背景にしたアジアの経済混乱が世界経済にどのような影響を及ぼすか」という問題に関心が集まった。参加者からは、「アジア経済の安定化のために、日本がもっと積極的な役割を果たすべきである」との意見が多く出された。これを受けて、豊田会長からは、日本経済界主催ディナーや国際機関と各国経済団体の代表による会合の場で、「日本経済を一刻も早くしっかりさせることが、アジアの安定と世界経済の健全な発展につながる」ことを強調し、経団連が、景気回復と金融システム安定化を最重要課題として取り上げ実現に努力していることを表明し、理解を求めた。
国民生活審議会の消費者政策部会は、1月21日に中間報告「消費者契約法(仮称)の具体的内容について」をとりまとめた。そこで、1月30日に経済法規委員会を開催し、消費者政策部会長の落合東大教授を招いて、この報告の概要を聞くとともに意見交換を行った。消費者取引の複雑化により事業者と消費者のトラブルが増加していることから、契約締結過程と契約内容の2点について具体的に示したものである。今後、同部会は年末にかけて最終報告をとりまとめ、立法作業に入る予定である。 この立法は、適正に取引を行っている事業者へも大きな影響がある。そこで、今後、経済法規委員会の下に専門の部会を置いて、経済界としての意見を検討に反映させていくことにしている。
公正取引委員会では、サービス取引における独禁法違反行為の未然防止を理由に新たなガイドラインの作成を進めており、昨年10月「役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の指針」(原案)を公表、経団連に対しても意見を求めてきた。そこで、経団連では、競争政策委員会・独占禁止法部会において公取委の説明を聴取した上で検討を進め、