経団連の最近の動き

(1998年7月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.183 ( 7月24日発行)より

第13回経団連ゲストハウスフォーラムを開催

経団連御殿場ゲストハウスにおいて、第13回東富士フォーラムが23日より始まった。今回の統一テーマは、「日本経済復活のシナリオ−経済混迷からの脱却−」であり、現下の最重要課題である当面の景気回復のための方策等を中心に意見交換を行なう。
初日は、まず、21世紀政策研究所の田中直毅理事長が、「内需振興と経済構造改革を進める方策」というテーマの基調的な講演を行ない、

  1. 景気回復のため速効性のある措置として日銀のマネタリーベース(中央銀行の負債)の持続的拡大による金融緩和を通じた機械受注、設備投資の増加、
  2. 上記措置の実施にあたって金融不安回避、金融システム安定化が不可欠であること、
などを指摘した。
引き続き行なわれた「景気の本格的な回復のための有効な方策」に関する討議では、
  1. 迅速な不良債権処理と金融システムの再生、
  2. 法人税・所得税等の税制改革の実施、
などに意見が集中した。そこで、来週からの臨時国会における金融再生トータルプラン関連法案の審議に対して、産業界の意見反映をはかるため本フォーラムにおいて、「ブリッジバンク関連法制の整備を求める」緊急要望をとりまとめ、23日記者会見を行ない発表した。
2日目は、野村総合研究所の関志雄主任研究員より、「円から見たアジア通貨危機−望まれる円高と円の国際化」というテーマの講演をきき、「アジア経済・金融危機に対する日本の役割」について討議を行なう。また、少子・高齢化への対応と社会保障制度の改革などを中心に「中長期的な構造改革のあり方」についても討議を行なう。

「産業廃棄物の不法投棄原状回復制度基金」への協力を決定

平成9年の廃棄物処理法改正により、投棄者不明または資力不足の場合の不法投棄に係る原状回復制度が導入され、国が指定した「産業廃棄物適正処理推進センター」内に行政と産業界の出捐による基金を設けることとなった。平年ベースの事業費用は8億円であり、これを行政、産業界双方が折半することになる。なお、平成10年度は下半期のみの活動であり、産業界は2億円を負担することとなる。
6月16日に開催された理事会において、今年度については、不法に投棄された廃棄物の量や性状を拠り所として業界毎の負担割合を検討した結果、建設業界ならびに産業廃棄物処理業界が産業界負担分の8割を負担し、残り2割を、通常経団連が実施している募金の負担割合(経団連方式)で、各業界に出捐をお願いすることでご承認いただいた。
この決定に従い、7月31日、8月3日の両日、本件に関する説明会を開催し、建設関係以外の業界団体・企業にご協力方要請する予定である。

No.182 ( 7月17日発行)より

アジア経済の再活性化に関する意見書を近日発表

経団連では、アジア通貨・金融危機について、2月から特別検討会(座長:立石アジア・大洋州地域委員会共同委員長)を開催し、対応策を検討してきた。その活動の成果として、この度、「アジア経済の再活性化に向けて」という意見書をとりまとめ、7月21日の理事会に諮る。
この意見書は、

  1. 日本の景気回復、
  2. アジア諸国における構造改革への協力、
  3. 自由化推進路線の堅持と通貨の安定、
という3つの項目から成り立っており、内外、特にアジアの国々に向けて発表するとともに、この秋に開催するアジア諸国との二国間会議などで活用していくことを考えている。

No.181 ( 7月 8日発行)より

「参議院議員選挙における投票率の向上」に関する今井会長からの呼びかけについて

7月7日開催の経団連常任理事会において、今井会長より、今回の参議院議員選挙に、できるだけ多くの企業人が投票に参加するよう、以下の通り発言がありましたのでお知らせいたします。

来る12日の参議院議員選挙について、一言申し上げたい。
現在、不良債権問題や税制改革など、重要政策課題が山積しており、これらはいずれも、政治の強いリーダーシップなくして実現できない問題である。とくに最近は、法案の成立の過程において、参議院の役割が重要になっており、その意味でも、今回の選挙は非常に注目されるところである。
政治がリーダーシップを発揮するには、多数の有権者が、選挙に参加していく必要がある。有権者が政治に無関心であれば、政治のリーダーシップも発揮できない。その意味で、近年の投票率低下の傾向は、誠に残念な事態である。前回の参院選では、投票率が44.5%と、はじめて5割を割り込んだが、こうした傾向が続けば、政治と民意とが乖離し、議会制民主主義のあり方そのものの問題ともなりかねない。国としてもこの点を憂慮し、投票時間の2時間延長など、投票率向上のための環境整備を行なったところである。
経団連でも、かねてより、企業人政治フォーラムを中心に、企業人の政治参加の重要性を訴えてきた。さる6月29日には、参議院選挙と投票率をテーマにシンポジウムを開催したが、今回の選挙では、投票に行こうという運動が、マスコミも含めて全国的に広がっているという報告もあった。
企業人も、今こそ積極的な投票を通じて、政治に対する意思表示を強めていくべきである。
会員企業代表者の皆様には、是非とも、社員の方々に投票を呼びかけていただきたい。

No.180 ( 7月 3日発行)より

提言「わが国の宇宙開発・利用および産業化の推進を望む」取りまとめ

宇宙は気象観測や携帯電話、カーナビをはじめ衛星放送などにみられるように、産業活動や国民生活にとって不可欠なものとなっており、欧米諸国ではその開発・利用の推進が国家的課題となっている。
経団連では、わが国が、こうした世界的潮流の中で後れをとることなく宇宙開発・利用および産業化に注力することを求める標記提言を取りまとめた。 提言においては、商業化に向けたH-IIAロケット、通信・放送分野での次世代技術開発に向けた衛星の開発推進、さらに国際共同プロジェクトである宇宙ステーションの運用・利用の推進などを重点課題として挙げるとともに、特に宇宙産業の育成に向けて施策を充実することを求めている。併せて、これらの取り組みを円滑に推進していくため、1999(平成11)年度の予算編成において、宇宙関係予算の充実を図ることを要望している。


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