(1998年11月)
「経団連インフォメーション」の記事より
経団連、日商、日経連、同友会、関経連の経済5団体は、11月24日に、「所得税・法人税減税の早期実施を求める」と題する共同提言をとりまとめた。
この提言は、現下の厳しい経済情勢を克服し、日本経済を着実に回復軌道に乗せるためには、低迷する個人消費、民間設備投資を活性化させることが不可欠であるとの考えに立って、個人所得税・法人税減税の早急な実施を求めたもので、11月24日に、前田経団連副会長・税制委員長(東レ会長)、古賀税制委員会共同委員長(日新製鋼取締役相談役)が、自民党の池田政務調査会長、林税制調査会長、津島税制調査会小委員長を訪問し、申し入れを行なうとともに、小渕総理ほか関係方面に建議した。
要望事項は、以下の通りである。
地球温暖化、オゾン層破壊、森林の消滅など、様々な現象が地球環境問題として指摘されている昨今、豊かな自然を次世代に引き継ぐために、企業も個人も真剣な対応を迫られている。
その対応策の一つとして、経団連では92年に「経団連自然保護基金」(同基金運営協議会長:樋口廣太郎経団連副会長・アサヒビール会長)を設立し、以来、生物多様性の保護等、内外のNGOによる自然保護プロジェクトに対する支援を行なってきた。
支援資金は法人募金と個人募金を財源としている。このたび「個人募金」では、銀行振込みに加え、クレジットカードからの引き落としによる寄付も可能となった。これを機に改めて個人寄付へのご協力を募っているので、会員各位におかれては社内での広報をお願いしたい。
なお、皆様からいただいた寄付は全額自然保護活動への支援に当てられている。
11月2日〜13日までアルゼンチン・ブエノスアイレスで国連気候変動枠組条約第4回締約国会議(COP4)が開催された。
COP4の結果としては、排出権取引、共同実施等の柔軟性措置について2000年のC0P6において運用規程の合意を目指すというブエノスアイレス・アクションプランが採択された。
産業界からは、経団連の辻副会長はじめ20名以上がCOP4に参加し、会員企業の関心の高まりがうかがわれる。
経団連では、11月2日、1997年に策定した経団連環境自主行動計画のフォローアップ結果(暫定版)を発表するワークショップを開催し、日本産業界の温暖化対策の取り組みをアピールした。欧州委員会からも改めて詳細な説明を求められるなど、日本の取組みの高さに対する理解が広まりつつある。
また、COP3で主催した「世界経済人の地球温暖化対策フォーラム」のフォローアップとして、11月9日、10日に国際商業会議所、世界環境経済人協議会、国連環境計画(UNEP)、さらに環境NGOの一つであるWWFインターナショナルと共同で、自主的取組みについてのシンポジウムを開催した。UNEPのトップファー事務局長と辻副会長からの開会の挨拶に続いて、各国における自主的取り組みについて多角的な視点から分析した結果についての報告があり、今後、更に諸外国における自主的取組みが広がることを期待している。その他、日米欧産業界と排出権取引等についてのラウンドテーブルなどを開催した。自主行動計画フォローアップの最終版は12月にとりまとめる予定。
有馬文部大臣は来春の高校・大学の卒業予定者の就職内定率の悪化を受け、各経済団体のトップに採用枠の拡大を要請している。
11月17日には経団連を訪れ、今井会長に対して、「経済が悪い状況にあることは重々承知しているが、来年3月卒業する大学生、高校生の就職状況が悪いので、是非、採用の枠を拡大するように努めて欲しい」旨の要請があった。
今井会長は、大臣の要請は会員企業に周知すると返答するとともに、通年採用・秋期採用など企業の採用方法も多様化しているのでそのチャンスを生かして欲しい旨を述べた。
依然として厳しい経済情勢ではありますが、明日の日本の経済社会を担う若者の就職について各社におかれても、一層のご配慮をお願いいたします。
経団連産業技術委員会(委員長:金井 務副会長・日立製作所社長)が9月にとりまとめた報告書では、産業界において、わが国の産業競争力の将来に対する懸念が高まっていることが示された。
そこで、産業技術委員会では、日本版ヤングレポートを目指して、わが国の産業競争力の強化、とりわけ産業技術政策に焦点を絞り、提言をとりまとめるべく検討を重ねてきた。
今般、経団連では、11月17日の理事会の審議を得て、国としての戦略目標の明確化と政策資源の集中投入、知的財産政策の積極的な展開等を柱とする、戦略的な産業技術政策の確立に向けた提言を関係各方面に建議する予定である。
経団連情報通信委員会で検討されてきたGIS(Geographic Information System:デジタル地図の上に、行政・経済・環境等に関する情報を重ね合わせ、経済社会活動を視覚的に把握・分析するためのシステム)の高度利用のための環境整備のあり方に関する提言は、11月17日開催の理事会の審議を経てとりまとめられる予定である。
GISの高度利用の基礎となる地図、行政、経済、環境等のデータは「生活空間情報基盤」ともいうべき、高度情報化社会における国民に不可欠な社会基盤であるとともに、新産業を創出する重要なコンテントとしても期待されている。
提言では、
蔓延する閉塞感を打破し、21世紀に向けて明るい展望を切り開くためには、高度情報通信社会づくりに向けて、産業の情報化のための環境整備ならびに公的分野の情報化投資を集中的に実施する必要がある。
そこで、経団連では、近く、