経団連の最近の動き

(1999年4月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.213 ( 4月23日発行)より

第4回アジア隣人会議を5月8日、9日 ソウルにて開催

経団連では、二国間委員会の活動やミッションの派遣などを通じて、アジア諸国・地域の経済界要人と頻繁に交流しているが、そうした絆を強める目的で、1994年3月に第1回アジア隣人会議を開催した。以後、1996年8月に第2回会議、昨年4月に第3回会議をそれぞれ日本で開催してきた。
第4回会議については、5月8日、9日、ソウルで、中国、インドネシア、日本、韓国、フィリピン、シンガポール、ベトナムの経済界首脳13人が、経団連からは、今井会長と熊谷副会長・アジア・大洋州地域委員長が参加して開催される。今回の会議では、アジア経済の再生に向けた各国経済界の対応と危機克服後のアジア経済がメインテーマである。

経団連PFI海外調査団の結果報告

国土・住宅政策委員会では、イギリスで導入された新しい社会資本整備の手法であるPFI(Private Finance Initiative)事業をわが国でも早期に立ち上げるべく、3月、PFI海外調査団(団長:鈴木PFI推進部会長)を派遣した。本調査団は、イギリスをはじめ、ドイツ、フランスの政策担当者や民間事業者など、計20個所を訪問し、実務的な課題等について精力的に意見交換を行なってきた。
調査結果の概要については、去る4月20日開催の理事会で報告したが、詳細な調査結果については、5月24日開催の国土・住宅政策委員会において報告書としてとりまとめ、その後一般に公開して、今後の政策論議に役立てていく予定である。
なお、本調査団の調査結果については、6月1日に大阪においても報告会を開催する予定である。

タイの人材育成に協力

経団連では、1993年にタイ工業連盟、タマサート大学と共同で設立したSIIT(タマサート大学シリントン・インターナショナル・インスティチュート・オブ・テクノロジー)に対する協力の一環として、1995年から、一部学生の日本における短期研修に際し、受入先企業を斡旋している。本年は5月10日から28日までの3週間、土木・建築専攻、機械・製造分野専攻、および電気・電子・コンピュータ工学専攻の新4年生の中から特に成績優秀な学生25名が来日して、22社にて研修を行なう予定である。
タイ経済建て直しのための中長期的な取組みとして人材育成が挙げられる中、SIITへの協力を通じてタイに特に不足しているとされる技術系の人材育成を支援することは有意義と思われる。卒業生の就職難や研修先の不足、学費支弁が困難な学生の増加など、経済危機はSIITにも深刻な影響を及ぼしているが、会員各位におかれては引き続き、SIITに対するご協力をお願いしたい。

No.212 ( 4月16日発行)より

世銀グループとの合同会議を開催

経団連では、1995年以来、世銀との協力関係を促進すべく合同会議を実施してきており、さる4月13日と14日の両日、米ワシントンD.C.の世銀本部において第3回会合を開催した。
今回の会合には、世銀側からウォルフェンソン総裁、ヴォイケ専務理事・国際金融公社(IFC)長官をはじめとする幹部が、経団連側からは香西国際協力委員会共同委員長をはじめとする28名が参加し、途上国への開発協力のあり方を巡り意見を交換するとともに、既存の人事交流プログラムおよびベトナムにおける水力発電BOT共同スタディを促進するなど、さらなる協力関係について議論した。
会議の終了にあたり、経団連・世銀双方は、ウォルフェンソン総裁が提唱している「包括的な開発のフレームワーク」の推進に協力していくこと、次回会合を2年後に開催すること等を盛り込んだ覚書に合意した。

衛星放送事業の環境整備に関する検討を開始

本格的なBSデジタル放送が2001年にも開始予定など、衛星放送事業に対する期待が高まりつつある。また、2000年に打ち上げられる通信衛星は、ユーザーの利便性の面からその活用のあり方について議論が始まりつつある。
そこで、経団連では、地上波のデジタル化も視野に入れつつ、衛星放送事業の発展のための課題や対応などについて検討することとし、会員以外のオブザーバーを交えて、第1回会合を開催した。当日は、郵政省の中田衛星放送課長より、BS・CS放送の現状などについて、また、委託放送事業者である東北新社の伊藤取締役より、BS・CSをめぐる課題について説明を聞くとともに種々懇談した。
今後は、衛星放送関係者からの報告をもとに衛星放送事業の課題を整理するとともに、環境整備のあり方などにつき議論していく予定である。

日本メキシコ間の貿易・投資協定の影響に関する報告書を公表へ

第22回日本メキシコ経済協議会(1998年11月、於:東京)において、来賓のセディージョ・メキシコ大統領は、日本とメキシコとの貿易・投資のさらなる促進のため、二国間で自由貿易・投資保護協定を締結する必要があることを示唆した。
そこで日本メキシコ経済委員会では、1999年1月に「日墨協定に関する懇談会」を設置し、NAFTA型の包括的な自由貿易協定をメキシコとの間に締結した場合の、わが国産業界への影響について検討してきた。その結果、関税撤廃により双方向に貿易の拡大が期待されること、また投資障壁の削減ともあいまってわが国企業の対メキシコ投資が促進される可能性があると考えられている。
そこで、検討の結果を4月20日に「日墨自由貿易協定のわが国産業界への影響に関する報告書」として公表し、今後、協定の早期実現を目指して、メキシコ側産業界との意見交換等を積極的に推進していく予定である。

No.211 ( 4月 9日発行)より

企業会計セミナーの開催

経済法規委員会では、4月6日、金融ビッグバンの一環として本年4月より、順次導入される会計制度の変更についてのセミナーを会員約360名の出席を得て開催した。一連の企業会計制度の変更の背景には、経済のグローバル化と資本調達の国際化の進展にあわせて、わが国のディスクロジャー制度を国際レベルに引き上げることが必要との認識がある。特に、連結中心のディスクロージャー制度、税効果会計、金融商品の時価会計および年金会計の導入は、経営に大きな影響を与える。そこで、セミナーでは、大蔵省、学者、公認会計士の各講師より、制度の説明に加えて、経営にどのような影響があるかといった視点から説明を願った。例えば、連結制度は、グループ経営マインドの進展を促し、税効果会計は、不良資産処理に積極的に取り組ませるとの指摘があった。また、保有株式を退職年金の支払に目的を限定して信託を設定した場合、これを年金資産とみなすという経団連要望が、公認会計士協会で容認された旨の報告もあった。
なお、詳細は後日「経団連資料」としてとりまとめる予定である。

いよいよ今秋に迫った首都機能移転候補地の決定

政府の国会等移転審議会では、今秋の答申に向け、首都機能移転候補地の選定作業を精力的に進めている。
経団連では、首都機能移転推進委員会(委員長:河野俊二東京海上火災保険会長)において、首都機能移転後の新都市および新東京圏のあり方や、新都市と東京との連携のあり方などについて検討を進めている。この問題については、何よりも国民の理解が必要であるとの観点から、7月8日に、関谷勝嗣国土庁長官、森亘国会等移転審議会会長、建築家の黒川紀章氏などを来賓に招いての講演・パネルディスカッションを行なう「首都機能移転シンポジウム」の開催を予定している(全国各地域経済団体とともに主催)。また、これに先立ち、5月12〜13日には、経団連ゲストハウスにおいて「首都機能移転戦略セミナー」を開催し、首都機能移転推進の方向性を固めていく予定である。多数のご参加をお願いしたい。

No.210 ( 4月 2日発行)より

日本経済再生に関するシンポジウムを開催

総理直属の機関として昨年8月に発足した経済戦略会議(議長:樋口廣太郎アサヒビール取締役相談役名誉会長、経団連副会長)は、半年にわたる検討の結果、2月26日、「日本経済再生への戦略」と題する答申を取りまとめた。そこで、経団連と経済広報センターでは、3月31日、経済戦略会議の樋口議長、議長代理の中谷巌一橋大学教授、委員の竹中平蔵慶応義塾大学教授を招き、約500名の参加を得て標記シンポジウムを開催した。
まず、今井経団連・経済広報センター会長から、「経団連として、経済戦略会議の答申の実現を全面的に支援していくとともに、経済界として、日本経済の再生と産業の競争力強化のために、構造改革を引き続き推進していく」旨挨拶があった。次に、小渕総理大臣からは、「経済戦略会議の提言の実行については、大変重い責任を痛感している。政府がやるべきことをやるのは当然のこととして、やはり民間にいかに元気を出してもらうかが最も重要であり、そうした観点から、政府としても全力で各種の環境整備や制度改革に取り組み、民間の活力が思う存分発揮されるよう最大限のお手伝いをしたい」とのメッセージが寄せられた(鈴木官房副長官代読)。続いて、樋口議長から、上記答申を踏まえて、日本経済再生への戦略について基調講演があり、

  1. 暫く政府、国会の動きも睨みながら、どのようなフォローアップ体制を作るか考えていきたい、
  2. 今後、米国のNPR(National Performance Review)のように政府自ら制度や規則を改革していく組織ができることが望ましい、
との発言があった。
中谷議長代理、竹中委員、大賀経団連副会長、櫻井経団連経済政策委員長の4氏によるパネルディスカッションでは、
  1. 住宅・都市政策、少子化対策、
  2. 高コスト構造の是正、
  3. 新しい日本型システムの構築、
  4. 多元的、戦略的な政策立案を可能とする仕組みづくり、
などをめぐって活発な討議が行なわれた(詳細は経団連くりっぷに掲載予定)。


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