(2001年11月)
「経団連インフォメーション」の記事より
経団連は、日韓経済関係の促進を目的として、1983年以来、毎年、韓国の全国経済人連合会(全経連)との間で両団体首脳の相互訪問を実施している。今年は、11月26日〜27日、今井会長はじめ経団連首脳20名がソウルを訪問した。ソウルでは、金ガク中全経連会長、金大中大統領、張在植産業資源部長官など経済界、政府要人と会見し、日韓産業協力のあり方や日韓自由貿易協定(FTA)の推進方策を中心に懇談した。
全経連首脳との懇談会では、韓国側から、日韓FTAを実現するには、日韓貿易不均衡の是正、対韓技術移転の促進、日本の非関税障壁の撤廃を進める必要があるとの指摘がなされた。これに対して、日本側からは、
11月20日、来日中のタクシン・タイ首相一行を招いて朝食懇談会を開催した。経団連側からは、今井会長、安居日タイ貿易経済委員長、上島副会長、西室副会長、高原評議員会副議長ら30名が出席し、今井会長が経団連を代表して挨拶した。
タクシン首相からは、タイの投資環境整備に今後も努力する、ラオスやミャンマーなどタイの近隣諸国に日本企業が進出する際にタイが重要な拠点となりうるとの話があった。中国との関係については、中国のWTO加盟はタイにビジネスチャンスをもたらすと述べたのに加えて、どのような分野で中国とタイが競合するかを研究していると発言した。さらに同首相は、アジア域内の貿易・投資をもっと拡大したいと述べ、日タイ間のFTA(自由貿易協定)にも積極的な姿勢を示した。
経団連は、社会的責任を果たす観点から、98年度、2000年度に標記基金への出えんを行っている。その後、不法投棄の状況、不法投棄防止対策の進展、基金の推移等を踏まえて、改めて環境安全委員会を中心に基金のあり方について検討し、11月20日開催の経団連理事会において、基金に対し現行方式では最後となる第3回目の出えんを行うことが承認された。
本制度では、平年度ベースの総事業費8億円のうち半額の4億円を産業界が負担することとなっており、経団連負担分としてこのうち8,000万円を通常実施している募金の負担割合(経団連方式)で出えんしている。なお、今後の基金への協力のあり方については、改めて各業界の意見を踏まえつつ、検討を進めることとしている。
わが国企業が技術革新を進め、国際競争を勝ち抜くためには、産学官連携を一層推進することが求められている。企業、大学双方にメリットのある形で産学官連携を進めるためには、産・学・官の代表者が一同に会し、相互理解の増進を図る場が必要であるとの観点から、11月19日に、内閣府、経団連、日本学術会議の共催で産学官連携サミットを開催した。
当日は、尾身大臣をはじめとする政府関係者、大学の学長、公的研究機関のトップ、企業のトップが参加し、各関係者から、産学官連携の現状と課題、推進方策等について提案が行われるとともに、その結果を共同宣言として取りまとめた。
共同宣言では、産学官連携の飛躍的発展に向け、企業側は、自前主義からの脱却、経営戦略における大学との連携の明確な位置付けを、大学側は、非公務員型の法人化への移行を目指す等改革の推進を、官側は、産学の相互連携に向けた制度改革等を、それぞれ果たすべき役割として掲げた。
今後とも、定期的に産学官連携サミットを開催する予定であり、経団連としても、産業技術委員会を中心に、大学との直接対話の場を設けていく予定である。
11月12日、今井経団連会長、奥田日経連会長が共同で記者会見し、経団連と日経連との統合により誕生する「日本経済団体連合会」の初代会長に、奥田碩トヨタ自動車会長の就任が内定したと発表した。正式決定は、来年5月28日に予定されている総会となる。
今井会長は奥田会長を「若く、人格も立派で、何よりも日経連会長として立派な業績をあげている」と評した。
奥田会長は、「諸般の事情を考え、やるべきことをやると覚悟を決め、内諾した。日本経済を一刻も早く立て直すために、微力ながら粉骨砕身努力したい」と抱負を語った。
10月29日〜11月10日、モロッコのマラケシュにおいて、気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)が開催され、温暖化防止のための京都議定書の運用ルールについて合意が成立した。
今後、各国は2002年9月の地球環境サミットまでの議定書発効を目指し、批准作業を進める。わが国も11月12日の政府地球温暖化対策推進本部で批准に向けた準備を進めることを決定した。
しかし、米国は本年3月に表明した議定書への不参加の姿勢を変えておらず、中国・インド等の途上国の参加についても見通しは立っていない。
温暖化は地球規模の問題であり、大量排出国の欠けた枠組みは実質的に効果を持ち得ない。産業界は、温暖化への自主的な取組みを着実に進める一方、すべての国が参加する国際的枠組みの構築を求め、拙速な議定書批准に反対していく。
カタールで開催されたWTO閣僚会議において、11月14日、新ラウンドの開始が決定された。これを受け、今井会長はコメントを発表した。ポイントは以下の通りである。
アジア・大洋州地域委員会(共同委員長:立石信雄オムロン会長、茂木友三郎キッコーマン社長)では、「日韓産業協力検討会」(座長:大貫昭義三井物産顧問)を設置し、自由貿易協定(FTA)ならびに日韓の産業協力のあり方について検討している。11月5日には、同検討会で取りまとめた「日韓産業協力の新たな発展に向けて」(案)を委員会の場で審議した。
その内容は、
経団連は、かねてより在京外国特派員への協力の観点から、日本外国特派員協会(FCCJ、会長:我孫子AP通信東京支局次長)の活動に協力してきた。今井会長の講演会は、1998年6月に続き、2度目である。
11月7日に開催した講演会には、100名を超える参加者が出席、うち40数名の内外記者が会長の対米テロに対する考え方、日本経済の現状と今後の展望、構造改革推進についての発言に聞き入り、鋭い質問を浴びせた。
講演後の質疑応答の中で今井会長は、食糧安全保障にも配慮した農業改革の推進、わが国人口動態の変化に伴う規制改革と医療・介護・保育を中心としたサービス産業の育成、IT・バイオ・環境・ナノテク等の先端技術の開発と知的財産権保護、ASEAN+3(日中韓)を中心としたアジアの経済統合促進、わが国財政規律の維持・強化と財政構造改革推進の必要性を訴えた。
11月1日、尾身大臣を招き、産学官連携を中心とする今後の科学技術政策のあり方などについて意見交換を行った。
当日は、尾身大臣より、
11月1日、アントワヌ・セリエール会長を団長とするMEDEF(フランス経団連)一行が経団連を訪問し、今井経団連会長はじめ経団連幹部と意見交換を行った。また、来年5月に統合が予定される日経連からも山路副会長ほかの出席を得た。
意見交換では、MEDEF側から、
経団連では、日本経済が直面する政策課題について、連合と機会あるごとに意見交換を重ねてきた。今年度も、11月2日、今井会長、笹森会長をはじめとする両団体首脳の参加を得て懇談会を開催した。
会合では、双方から重要政策課題について説明した後、意見交換した。
経団連側からは、規制改革、株主代表訴訟、医療制度改革、地球環境問題について説明した。連合からは、経済・雇用対策、規制改革、医療制度改革、税制改革への取組み等について説明を受けた。
その後双方は、上記テーマのみならず、ワークシェアリング、産業空洞化問題、経済構造改革等についても意見交換を行った。
閉会にあたり笹森連合会長からは、傘下労組の問題につき、対岸の火事とは捕らえず、積極的に真相を究明し、新たにスタートを切りたいとの決意表明があった。また、今次会合が、経団連と連合の最後の首脳懇談会となろうが、経団連が日経連と統合した後も、引き続き意見交換を続けていきたいとの要請があった。