(2002年3月)
「経団連インフォメーション」の記事より
産業問題委員会では、3月28日に「台湾における産業空洞化実態調査報告書」を取りまとめた。
わが国企業は現在、生産要素のコストや立地関連コストの安さなどを背景に、近隣アジア諸国に生産拠点を移転させている。その企業行動は、最適生産の帰結として自然であるが、国内における生産、雇用の減少、国内市場の競争激化などを通じて、わが国の経済産業に多様な影響を及ぼす。
台湾においては、1990年代を通じ、伝統産業から付加価値の高い産業に至るまで、製造業が生産拠点を大陸に移転し、マクロ経済面でも昨年は戦後初のマイナス成長を記録、失業率が5%を超えた。
同報告書の中では、こうした実体経済の悪化が産業の空洞化によるものなのか、産業の高度化に向けて政府や企業がどのように対応を行っているかなどについて、現地の官民関係者にインタビューを行い、その実態と課題を整理した(報告書の詳細は経団連産業本部までお問い合わせください)。
3月28日、今井会長を団長とするミッションがタイ、ベトナム、シンガポール、インドネシアの4ヵ国訪問のため出発した。経団連はアジアとの経済関係を重視しており、今井会長は会長就任以来毎年ASEAN各国を訪問してきた。今回の訪問は5度目にあたる。
各国では、タクシン首相(タイ)、チャン・ドウック・ルオン国家主席、ファン・バン・カイ首相、ノン・ドゥック・マイン書記長(ベトナム)、ゴー・チョクトン首相、リー・クァンユー上級相(シンガポール)、メガワティ大統領(インドネシア)をはじめとする政府首脳ならびに経済界のリーダーと、
新産業・新事業委員会(共同委員長:出井ソニー会長、高原ユニ・チャーム会長)では、3月25日、麻生渡福岡県知事から、福岡県における産業政策の動向と今後の方針等について説明をきくとともに、わが国の新産業・新事業創出に関する問題点と対応等について意見交換を行った。
麻生県知事からは、かつては銀行が、資金、人材、販路紹介等の面でベンチャー企業を支援してきたものの、昨今の厳しい金融情勢によってこの仕組みが崩壊しているので、一刻も早く、リスクをとって次代を担うベンチャー企業を支援する仕組みが必要であること、その一環として、ベンチャー企業と投資家、一般企業とのマッチングを図るフクオカベンチャーマーケットの開催など、福岡県が積極的なベンチャー振興策を推進中であること等の説明があった。
経団連では、毎年規制改革要望を取りまとめ政府・与党にその実現を働きかけているが、改革の実効性を高めるためには、規制の制定から実際の運用に至るまでの行政運営の公正性を確保し、透明性を高める必要がある。そこで、行政改革推進委員会では、昨年11月に行政手続法をはじめとする諸制度の運用実態の把握をするためアンケート調査を実施し(調査対象1,008社、回答件数199件)、3月19日に報告書「更なる行政運営の公正確保・透明性向上のための課題」を取りまとめ公表した。
報告書では、今後の課題として、行政側の行政手続法、パブリックコメント手続、日本版ノーアクションレター制度等の周知徹底および運用改善に向けた継続的な努力は言うまでもなく、民間企業側も諸制度・手続の趣旨や内容を理解し、積極的に活用していくことが不可欠であることなどを指摘している。
3月20日、日本国際協力機構(JAIDO)の臨時株主総会で解散決議が承認され、JAIDOを側面的に支援してきた国際協力プロジェクト推進協議会も同日の特別総会で解散を決議した。
JAIDOは1989年、官民双方が出資して設立され、開発途上国への黒字還流という当時わが国最大の政策目標を達成すべく途上国に対して直接投資を実施し、高い評価を得てきた。
今日、黒字還流という政策目標は過去のものとなり、JAIDOをとりまく内外の環境は設立時と大きく異なっている。また、JAIDOは株式会社として国際協力の推進と同時に利益追求という課題もあり、経営面で極めて困難な状況にあった。
経団連はJAIDOの今後のあり方について検討を重ね、政府とも協議した結果、JAIDOは設立の趣旨に謳われた使命を十分に果し、事業の収益性確保は今後とも期待薄であることから、速やかに解散すべきとの結論に達した。
JAIDOは今後清算会社として既存案件の処理に当る。
企業人政治フォーラム(会長:古川昌彦三菱化学相談役)では、3月18日(月)に臨時総会を開催し、2002年度の重点課題として、
3月13日、訪日中のムシャラフ パキスタン大統領を招き、経団連、日本商工会議所(幹事)、日本経営者団体連盟、経済同友会、日本貿易会、日本パキスタン経済委員会の6団体共催で歓迎昼食会を開催した。席上、ムシャラフ大統領は、日本がパキスタン経済の発展に果たしてきた役割に対し謝意を表明したのち、
経団連では、公害健康被害補償予防制度の運営について、補償費用負担者であり予防事業基金の拠出者でもある産業界の意向を反映させる観点から、例年関係業界に対し、新年度の賦課料率決定に際して、事前に同料率ならびに補償予防事業の実施状況について説明する機会を持つよう、環境省および公害健康被害補償予防協会に要請している。本年は、さる3月12日、同協会の主催により「公害健康被害補償予防制度の運営に関する懇談会」が開催された。
当日は平成14年度汚染負荷量賦課金の賦課料率、健康被害補償予防事業の現状等について環境省および同協会より説明を聞いた上で、制度運営および基金事業を巡る問題等について、産業界側から意見を述べた。
3月6日、今井経団連会長と奥田日経連会長が共同で記者会見を行い、5月末に発足する日本経済団体連合会の副会長、評議員会議長・副議長、常務役員人事案を発表した。副会長および評議員会議長・副議長候補は以下の通り(敬称略)。
3月5日、日本貿易会、経団連、日本商工会議所、日経連、経済同友会の経済5団体は公賓として来日中のギリシャ共和国シミティス首相を迎え、歓迎昼食会を開催した。
席上、シミティス首相は、日本とEUが民主主義、自由貿易、人権など多くの価値観を共有していることを指摘した。その上で、同首相は
ITは国民生活や企業活動の重要インフラとなっており、国民・企業が安心してITを自由に活用できる環境整備を推進する必要がある。その際、インターネットのグローバル性をふまえて国際的整合性を図ることは極めて重要である。
そこで、インターネットの関連する法律や政策の整備に取り組んでいるInternet Law and Policy Forum(ILPF)と共同で2月27日、ネットワーク上のコンテンツ流通に係る政策、プロバイダ責任法制の動向や実務的対応のあり方、迷惑メール法規制のあり方等についてアジア、欧米の専門家を集め、標記セミナーを開催した。ネットワーク上のコンテンツ流通に係る政策について、米国のベル弁護士、フライドマン オックスフォード大学教授、ワン シンガポール大学教授等が、また、迷惑メール法規制のあり方は、ガイスト オタワ大学教授、松本 一橋大学法学部教授、シビダネス米国弁護士等が議論を行った。
人材育成委員会では、日本の経済社会のグローバル化、国際化の急速な進展に対応するために、英語力の強化や国際理解力の増進、さらには複眼的で複線的な教育・人材育成システムの実現を働きかけてきた。その一環として、今般、新たにインターナショナルスクール問題に関するワーキンググループ(主査:中村芳夫専務理事)を設け、インターナショナルスクールと教育の多様化促進について検討することとした。
さる2月27日、第1回会合を開催し、松本三朗・西町インターナショナルスクール名誉校長から、インターナショナルスクールの現状と今後の可能性について説明を聞き、意見交換を行った。