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総務省「端末機器及び特定無線設備の基準認証制度に関する研究会」報告書案に対する意見

2002年11月19日
(社)日本経済団体連合会
  情報通信委員会
  通信・放送政策部会
  情報通信ワーキンググループ

さる8月の「端末機器及び特定無線設備の基準認証制度に関する検討の基本的方向性」(http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020819_1.htmlを参照)に続いて、研究会が最終的な報告書の取りまとめにあたって、再度意見募集を行ったこと(http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/021029_2.htmlを参照)、また、内容的にも、上記「検討の基本的方向性」に比して製造者等の自己責任をより重視した制度を提案していることは評価できる。
この上は、下記の意見を参酌し、製造者等が自ら技術基準への適合を宣言する方式(以下、「自己適合宣言制度」)の効用を、わが国においても十分に享受できるよう、制度設計されたい〔カッコ内の頁は「報告書案」の頁を示す〕。

1.「第三者認証制度と自己適合宣言制度の対象機器による区分」(20頁)

さる9月に提出した、研究会の「検討の基本的方向性」に対する当ワーキンググループの意見(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2002/050.htmlを参照)でも述べたとおり、第三者認証機関による認証の対象となる全ての電気通信機器を自己適合宣言制度の対象とすべきである。「基準不適合機器の流通・使用の蓋然性や、混信や妨害等の影響等、電気通信機器の特性に応じて、対象とする機器を選定する」場合であっても、対象機器から除外する理由を客観的なデータを基に示し、公正・透明な手続を経ることが肝要である。

2.「自己適合宣言制度の導入−対象機器」(24〜26頁)および「自己適合宣言制度の対象機器」(34頁)

24頁から26頁にかけて対象機器の選定にあたっての留意点が整理されているが、報告書案が想定している事後措置(罰則を含む一定の制裁措置等。29〜31頁。4頁脚注6および40頁報告書用語集)をも踏まえれば、対象機器から除外するのが相当であることを裏付ける客観的なデータが示されない機器は自己適合宣言制度の対象とすることが適当である。その上で「市場調査等により基準不適合となる頻度が高い分野の機器については、既に自己適合宣言制度の対象となっていても、対象から外すことが可能な制度」(25頁)とすることによって、事後的に対応することとすべきである。
また、「従来の技術基準で対応できない」(25頁)あるいは「技術的安定性に欠ける」(34頁)などの理由で新しい機器が対象から除外されるとすれば、自己適合宣言制度の効用は大きく減殺されるものと考える。
なお、報告書案にあるように「対象機器の将来の拡大を展望して、対象機器について適切に見直すことが必要」(26頁)であり、不断の見直しの結果が速やかに施行されるよう、対象機器については省令等で規定すべきである。その際、省令等の案について広く意見募集するなど、公正・透明な手続を経るべきである。

3.「自己適合宣言を行う者による試験の実施と品質管理の確保」(26〜27頁)および「新たな基準認証の運用にあたってのガイドラインの作成」(37頁)

「どのような製造業者等が自己適合宣言をすることが適当であるかについてのガイドライン」(26頁)、「どのような第三者に試験を委託することが望ましいかについてのガイドライン」(27頁)、「新たな基準認証の運用にあたってのガイドライン」(37頁)は、同一のガイドラインを指すものと理解される。
同ガイドラインは、製造者等が、(1)自ら試験を実施して自己適合宣言を行う、(2)第三者に試験を委託して自己適合宣言を行う、(3)第三者認証制度を利用する(現在は国または指定法人による認証制度)、のいずれを選択するかを判断する際の文字どおり参照資料と位置づけるべきであって、実質的な規制として運用されることがないようにすべきである。また、同ガイドラインの作成にあたっては、「関係者の協力」(26頁)を得ると同時に、広く意見募集するなど公正・透明な手続を経るべきである。
また、「製造工程において同一の品質の製品を生産し続けることを確認できる体制を確保すること」(27頁)は必要であるが、国が製造工程等における品質検査の方法等まで一律に定める必要はなく、自己適合宣言を行う製造者等が品質を維持する上で最も適切と思われる方法を自ら定め、それに従った品質検査を行えるようにすることが重要である。

4.「記録保存及びファイリング」(28〜29頁)および「自己適合宣言を行う者の義務」(34頁)

自己適合宣言が行われた電気通信機器の試験および品質検査の結果等の記録は、当該製造者等が保存しなければならないのは当然であり、自己適合宣言の信頼性を高める観点からは、28頁にもあるとおり、製造者等は、「自ら積極的に情報を公開し、利用者等への情報提供の体制を充実させること」が基本である。
報告書案は、自己適合宣言を行った電気通信機器に関する情報等について、一定の範囲で国または第三者機関にファイリングすべきであるとしているが、「効率的な市場の実態把握に必要な範囲の情報」(28頁)は、製造者等による情報公開ならびに報告書案が想定している報告徴収・立入検査などの情報収集・原因究明機能によって、国または第三者機関にファイリングせずとも入手可能と考える。

以  上

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