Ｇ８ビジネス・サミット共同プレス・リリース

〔仮訳／英文正文〕
２００９年７月７日

明8日、議長国イタリアのラクイラにＧ８各国首脳が集まるのを機会に、われわれＧ８各国の代表的経済団体は、３つの主要な課題、すなわち金融・経済危機への対応、自由な貿易・投資、気候変動への対応について、Ｇ８首脳の関心を改めて喚起するものである。さる4月24日、イタリアのサルディニア島でイタリアのベルルスコーニ首相に手交した提言から、われわれの考え方は変わっていない。今日直面している喫緊の課題を討議するにあたって、各国首脳がわれわれ経済界をパートナーならびに経済を成長軌道に回復させるための原動力と看做すよう求めるものである。

１．金融・経済危機への対応

Ｇ８各国政府は、経済政策や財政による景気刺激策に関し、主要な新興国およびＧ20はじめ各国と継続的に、かつ一層緊密に協調すべきである。金融危機に対処するため最近講じられた緊急措置は、企業家にとって新たな大きな障害とならないよう解除する必要がある。国際金融市場の信頼性を確保するとともに、あらゆる分野で保護主義を拒絶すべきである。バーゼルⅡは、その景気循環を増幅させる効果が抑制されるよう見直さなければならない。ＩＭＦの役割と機能は一層強化しなければならない。規制によって金融市場の重要なイノベーションを阻害することなく、透明性を向上させなければならない。市場関係者（投資家、当局）に向けたディスクロージャーも拡充すべきである。格付機関に対する国境を越えた監督のあり方を見直し、必要な監視を行うことができるようにするとともに、利益相反に適切に対処し、格付けプロセスに対する透明性と質を確保すべきである。貿易保険に対する公的支援に関し共通の制度を確立し、競争を歪めない形で企業にとって必要な貿易信用の水準を確保しなければならない。財務報告および時価会計は、ステークホルダーの利益や金融商品の種類、財務諸表利用者にとっての会計測定モデルの妥当性に応じて適用しなければならない。このことは、新しい会計基準とその適用に係るコスト、ディスクロージャーによる便益のバランスを図る一助となる。

２．自由な貿易・投資

Ｇ８各国政府は、これまでの全ての進展に基づいて、野心的でバランスのとれた合意を伴うドーハ・ラウンドの年内妥結を実現すべきであり、また、強化された監視体制の下で貿易・投資に対する新たな障壁を設けることがないようにすべきである。貿易量が減少し、資金調達コストが高まる中、Ｇ８首脳はセキュリティ対策の合理的かつ一貫性のある適用を通じて貿易を促進する新しい方法を共同して模索すべきである。途上国の潜在成長力を高めるとともに、途上国内・地域における有効需要を喚起するため、一連の資金を動員すべきである。Ｇ８各国政府は、多国間の開発機関が世界同時不況という緊急事態を受けて資金提供政策等を調整するよう促し、それによって途上国市場への民間投資を促進すべきである。また、原料に対する内外無差別のアクセスを推進すべきである。この点に関し、Ｇ８各国は互恵主義に基づくべきである。開かれたサービス市場において高度人材の移動が促進されることを歓迎する。外国からの投資に対する規制は段階的に撤廃されるべきであり、また、予見可能性、透明性が高く、対外的に説明が可能であり、必要以上に制限的でないようにすべきである。投資資産および投資家権利は保護されなければならない。知的所有権の貿易関連の側面に関する協定（ＴＲＩＰＳ協定）の規定と具体的な執行に特に配意すべきである。Ｇ８各国は、模倣品・海賊版のような違法な貿易慣行への対策について緊密に協調すべきである。ＳＷＦを含む外国投資家を差別するような規定の採用は慎まなければならない。一方、ＳＷＦは透明性を確保し説明責任を履行するための措置を講ずるべきである。

３．気候変動への対応：コペンハーゲンへの道程

ＣＯＰ15において各国政府は、共通だが差異ある責任と個々の能力の原則に整合的な形で、排出削減に関し明確かつ衡平で確固たる世界的な約束に合意するよう求める。運輸、住宅、農業、消費者、そして公的部門など非産業分野において経済活動を行う全ての者に対して温室効果ガス削減への貢献を求める。また、経済成長への復帰と環境保護の必要性、エネルギー安全保障、産業競争力のバランスを確保すべきである。公平な競争条件を確保するため、差別的な措置は拒否されなければならない。研究開発に対するより巨額の投資が支援されなければならない。また、政治的指導者の主要な優先事項の一つとして基礎的な研究開発に関するＧ８間の協調に取り組むべきである。セクトラル・アプローチの可能性および温室効果ガス削減のためのあらゆる政策を追求する必要がある。各国の国内政策は、それぞれの政策課題の優先順位や能力に応じた手法が採用されるべきである。伝統的エネルギー、再生可能エネルギー、原子力を含むエネルギー・ミックスが、中立的でバランスがとれ、かつ、無差別的な形で促進されるようにするため、全てのエネルギーの選択肢が追求されなければならない。また、エネルギー効率向上の可能性を十分に追求する必要がある。Ｇ８各国政府は、高エネルギー効率・低炭素技術のビジネスベースでの普及を促進するため、貿易・投資の一層の自由化と知的財産権保護に関する強力なルールの確立に積極的に取り組むべきである。これにより、世界各地の企業が、最も効率的な方法で新技術に投資し、それを普及させることが可能となる。「バイローカル(自国製品・サービスの優先調達) 」のような規定は、グリーン・テクノロジーの普及を妨げることになることから、経済刺激策に盛り込むべきではない。

以上

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１．金融・経済危機への対応

２．自由な貿易・投資

３．気候変動への対応：コペンハーゲンへの道程

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