総会決議

改革のさらなる前進と新たな発展に向けて

−21世紀を切り拓くわれわれの責務と決意−

1997年5月27日
(社)経済団体連合会


日本経済は、緩やかながらも回復基調にある。規制の撤廃・緩和も着実に前進しており、橋本総理が提唱する6つの改革も具体的に動きつつある。今こそ経済社会システムの抜本改革への流れを加速させ、経済のグローバル化や少子・高齢化社会への対応を急ぐとともに、経済の活性化を実現しなければならない。
経済界としても、徹底した自己責任原則と厳しい倫理観に基づいて企業行動を総点検するとともに、自ら改革に身を投ずる覚悟で臨まなければならない。
われわれは、経団連ビジョンにおいて掲げた「活力あるグローバル国家」の理念を踏まえ、21世紀を担う次の世代に魅力あふれる日本を引き継ぐとの決意をもって、下記の重要課題に取り組む。

  1. 6大改革による経済社会システムの抜本的改革を求める。

    なかでも財政構造改革と行政改革については早急な取り組みが求められる。政府・与党は、財政構造改革5原則に基づき、今後3年間の集中改革期間においてメリハリの効いた歳出削減策を取りまとめ、財政健全化の道筋をつけるべきである。とりわけ、医療・年金・財投制度の抜本的改革が必要である。また、速やかに中央省庁の再編および地方の行財政改革を実施し、国・地方を通じた簡素で効率的な政府を実現するとともに、新しい国づくりのシンボルとしての首都機能移転を実現すべきである。

  2. 法人税制改革、規制の撤廃・緩和、不良債権の早期処理による内需主導の経済活性化を図る。

    国際的に過重な負担となっている法人の税負担を軽減することに加え、規制の撤廃・緩和を断行し、わが国の高コスト構造を是正することが不可欠である。企業においてもその成果を積極的に活用して新産業・新事業を創出し、もって雇用の確保に努める。また、不良債権の早期処理、土地の流動化を進め、金融システム改革を前倒しで実施すべきである。

  3. 21世紀の新たな成長と発展の基盤の確立を図る。

    情報化推進など新しいニーズに対応した社会資本の整備や科学技術の振興を図るとともに、経済界としては、技術開発力の強化、エネルギー・環境問題の解決、次世代を担う創造的人材の育成などの課題に積極的に取り組む。

  4. 世界の平和と繁栄に貢献する。

    WTO、APECなどに対して民間の立場を反映させ、自由貿易体制の強化に向けたイニシアチブを発揮する。また、積極的な民間外交を展開し、諸外国との相互理解の促進に努めるとともに、官民の緊密な協力の下で投資・技術移転・人材育成などの経済協力の推進を図る。
    また、地球環境憲章に基づき、地球的規模の環境問題に積極的に取り組むとともに、内外のNPOと協力して自然保護活動の充実に努める。

  5. 企業倫理の確立と自己責任原則の徹底に努める。

    官から民への変革、さらには経済のグローバル化の過程において、企業はますます強い倫理観と自己責任原則に基づいて、透明かつ公正に行動することが求められる。経団連は生活者・消費者の視点をも踏まえつつ、会員企業に対し新しい企業行動憲章の遵守を強く求めていくとともに、積極的に社会貢献活動を行なうことを働きかける。

なお、経団連は上記の諸課題に対処すべく、各種委員会を中心に政策推進活動をこれまで以上に充実・強化する。そのため先般発足した21世紀政策研究所の研究成果をも活用する。

以  上


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