アジア通貨・金融危機に関する特別検討会で出された意見
(意見書「アジア経済の再活性化に向けて」参考資料)
公共投資、大型減税の導入
不良債権の処理を含む金融システム改革
中長期的な観点から各国経済の持続的発展のためには、輸出産業を支える裾野産業、とりわけ中小企業の育成が不可欠である。技術協力、円借款、輸銀の投資金融などを通じて裾野産業育成に協力する必要がある。
(裾野産業の未成熟は、現調率アップにも大きな障害となっている。)
民活インフラ事業を促進するため、例えば、BOT方式によって民間企業が事業主体となり、送電線などの付随インフラについてはODAによって整備する。
治安の悪化を防止するために不可欠な失業者対策に協力する。
円に対する信頼を回復した上で、利用者の立場から日本の金融・資本市場をさらに整備し、円の国際化が進むよう環境を作る必要がある。特に短期国債の流通市場の整備すべきである。
民間債務問題の解決には、当該国政府の適切な関与が不可欠である。日本政府としても、他の主要国や国際機関に働きかけるとともに、短期債務の繰り延べ等に関する債権者と債務者との協議が成功裏に行われるように積極的に協力すべきである。
効果的な対応策を効率的に見出すために、各省が連携を強化し、まとまって調査、検討すべきである。また、通貨・金融危機担当大臣を新たに設置するのも一案である。
資本取引に対する規制を最終的に撤廃するためには、適切なリスク管理が必要である。
法制度の朝令暮改は事業上の判断を難しくするので、避けるべきである。
民間債務問題の解決には、当該国政府の適切な関与が不可欠である。債権者と債務者との協議への参加、短期債務のロールオーバー等を通じて積極的に協力するべきである。
現状の経済統計の弱点を今回の危機に照らし再学習し、経済開発の真の発展度を測る手法を構築し、国際的コンセンサスを得るべきである。また、このシステムを逆資本移動の予防メカニズムにも利用できるようにすべきである。
(タイ政府の人材不足は深刻である。優秀な人は政府ではなく民間企業に流れてしまう。インドネシアは、外国人のテクノクラートを70人ぐらいを雇い、金融・財政政策立案を手伝ってもらっている。)
あわせて資金還流を促進するシステム構築も検討すべきである。
返済状況のモニタリングを行い、その状況を債権者に開示し、延滞等問題ある場合には、契約通りの返済を実行するよう、民間債務者に対し行政指導すべきである。
連結ベースの監査済み財務諸表の公開を義務つける等の必要がある。
各企業が、事業の継続を通じて粘り強く協力することが必要である。
日本の金融機関や企業は短期資金の繰り延べを求められているが、実効性のある実現可能な方策の模索が求められる。
技術移転の促進、現地調達率の向上等を通じて、現地企業を育成するとともに、国際競争力の強化に協力すべきである。
円の利用については、問題があるとは思うが、可能なところから、利用促進に努めるべきである。
政府とも連携をとりながら、民間ベースでの人材育成のプログラムを積極的に進めて行くべきである。研修コースの提供、研修生の受け入れ、奨学金の授与などに取組むべきである。
アジア諸国の産業基盤を強化する上でも、現地調達率の向上に努めることは重要である。そのためにも、人材育成や裾野産業の育成が必要である。
アジア地域の中長期的な発展を促すために、アジア地域全体の産業構造を、経済界として考えていく必要がある。
アジア諸国で事業を展開している日系企業が輸出拡大に努めることが求められている。
各企業は、長期的な視点にたった投資の維持拡大に努めるべきである。
技術移転を促進するためには、人材育成の視点として日本からの技術者派遣や現地技術者の受け入れ研修を積極的に行なうべきである。また、技術移転上の問題となる事項(知的所有権の保護など)に関する教育啓蒙を促進すべきである。
現地の失業問題は社会不安に直結しかねない。現地事務所では、雇用の維持に最大限努力すべきであり、同時に人事施策等の現地化を強力に進めるべきである。
現地進出企業は、よき企業市民として行動し、現地の文化や習慣を尊重すべきであり、現地社会の発展に有形、無形に貢献する事で社会経済の回復に努めるべきである。
多くの民間企業は大変厳しい状況にあると思うが、支払いを契約通り履行するよう努めるべきである。(一部の民間企業では、経済構造改革などの成り行き見定めるまで、払う能力があるにも拘わらず支払いを延期している向きがある。)
経済の発展度合を踏まえた企業統治(コーポレート・ガバナンス)を構築すべきである。
欧米企業による地場企業の吸収・買収が進むにつれて、欧米の基準に従い多くの解雇者が出ることも懸念されている。各国の経済・社会事情を踏まえつつ、健全な労使関係の構築に努めるべきである。
連結ベースの監査済み財務諸表を決算後速やかに債権者に提出するなどの必要がある。
IMFのコンディショナリティーの実行は大変なデフレ効果を伴うので、世銀やアジア開発銀行による生産基盤の強化が必要である。
短期資金の急激な流出入を防ぐルールを検討すべきである。
急激な金融・資本の自由化を要求しすぎである。実態に合わせて、途上国には猶予期間を与えるべきである。
金融・資本取引の仕組み作りに積極的に協力すべきである。
IMF、世銀の役割の見直し、APEC、ASEMなど地域的枠組み内での協調体制、マニラ合意やアジア基金構想など通貨安定に向けての新たな枠組み作り、国際資本移動のルールの検討等、資金フローの安定化に向けた協力体制の検討が必要である。