その他

東北大学および3GeV高輝度放射光施設を訪問しました

中川教授

遠藤センター長(右端)

高田理事長(右から2番目)

経団連総合政策研究所は、東北大学および東北大学病院臨床研究推進センター(CRIETO)、マイクロシステム融合研究開発センター(μSIC)、国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES)並びに3GeV高輝度放射光施設(NanoTerasu)を訪問しました。

今回の訪問では、まず青木副学長、湯上副学長、遠山副学長と面談し、研究戦略および産学連携の取り組みについて説明を受け、我が国の科学技術力および産業競争力強化に向けた課題と方向性について意見交換を行いました。東北大学では、国際卓越研究大学として研究成果の社会実装を推進しており、大学がイノベーション創出の中核拠点としての機能を果たしていることが強く印象に残りました。

CRIETOでは、中川敦寛教授より、医療ヘルスケアイノベーション創出に向けた産学連携プログラムや実績について説明を受けました。医療分野においても技術革新と産業化の重要性が高まっており、医療現場のニーズを起点とした研究開発の推進が鍵となります。加えて、医療データの活用や規制対応を含め、研究成果の社会実装を加速するための制度面の整備も重要です。

μSICでは、戸津健太郎センター長より、半導体技術の研究開発と産業連携の実績や、オープンコラボレーションの取り組みについて説明を受けました。微細加工技術はデジタル化の進展に伴い重要性が一層高まっており、競争力を確保するためには、異分野融合を促進する研究環境の整備に加え、スタートアップの創出・育成や企業との連携強化など、人材・資金・事業化支援を含む研究開発から事業化までを見据えた環境整備が求められます。CIESでは、遠藤哲郎センター長より、スピントロニクス省電力半導体技術に関する研究開発について紹介を受けました。高度情報化社会においては、情報処理能力の高度化と消費電力の増加が同時に進展するなか、カーボンニュートラルの観点からは省電力化が求められています。これらを両立する革新的集積エレクトロニクスシステムについて説明を受けました。現在、大学を中心とした先端研究は着実に進展しているものの、産業競争力の向上に確実に結びつけるためには、企業との連携強化に加え、大規模投資を含む国家的な支援の継続・拡充が不可欠です。

NanoTerasuにおいては、光科学イノベーションセンターの高田昌樹理事長より、放射光施設の活用状況および今後の展望について説明を受けました。同施設は、我が国の研究開発基盤として極めて重要な役割を担っており、材料開発や創薬など多様な分野におけるイノベーション創出を支えています。今後、産業界による利用をより一層促進するとともに、安定的な運用・高度化に向けた継続的投資の確保が求められます。一方で、現下の国際情勢を踏まえると、データの安全性確保は一層重要性を増しており、ハードとソフトの両面で遮断可能なファイアウォールの整備等を含めた研究セキュリティ体制の構築が喫緊の課題となっています。

今回の訪問を通じて、東北大学を中心とした研究拠点においては、基礎研究から社会実装に至る一貫した取り組みが進展しており、これらを一体的に推進する体制が整備されている点は、我が国における産学官連携の好事例であるといえます。

他方で、研究成果を迅速かつ持続的に産業競争力へ転換するためには、産学連携の深化に加え、実証環境の整備、知財戦略、人材の流動性確保等を含めた一体的なエコシステムの構築が鍵となります。

経団連総研では、今後も東北大学との連携を模索してまいります。

Copyright © Keidanren Policy Research Institute, All Rights Reserved.
一般社団法人 日本経済団体連合会