月刊 keidanren

1995年 2月号

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巻頭言

地方分権への期待

三田 勝茂
(経団連副会長)


特集
95年を地方分権元年に

【座談会】


貝原 俊民(兵庫県知事)
岩崎 美紀子(筑波大学助教授)
和智 午郎(西部ガス会長)
歌田 勝弘(経団連副会長)
河野 俊二(経団連首都問題委員長)
内田 公三(経団連常務理事)

自立した地方行政体制の確立を求めて議論する。「福祉や教育を一貫して地方に任せてほしい」(貝原氏)、「政府とは何か、その役割と活動範囲を考えて、理念を打ち立てたい」(岩崎氏)、「インフラ整備、産業、観光などで自治体同士の連携を考えていく必要がある」(和智氏)、「持ち味を活かした地域づくりをする雰囲気が出てくればいい」(歌田氏)、「将来的にはより住民に身近な市町村が地方行政の主体となるべきだ」(河野氏)など。

市町村が担う地方分権


榛村 純一(掛川市長)

日本列島が隅々まで活力を持ち、美しくあるためには国と県・市町村との役割分担が必要だ。地方分権推進法により官尊民卑のお国柄を改革することができる。

地方分権を進めるということ


後藤 森重(自治労、中央執行委員長、連合副会長、行政改革委員会委員)

地方分権は究極の行革である。民主主義の確立のために地域の力をひとつに結集し、「千代田区発」ではない分権論を求める。

イノベーションは現場から


─ パイロット自治体の試み
並河 信乃(行革国民会議事務局長)

「分権の実験」としてはじまったパイロット自治体とは何か。

地方分権の未来像


竹内 佐和子(長銀総合研究所主任研究員)

中央と地方の共同作業のフランスの地方分権、市町村の役割を積極的に強化するドイツ、公共と民間の利益バランスを図るイギリス。一方、日本の地方分権は、まず政治は何をすべきかというビジョンを構想することから始めるべきではないか。

地方分権と規制緩和


坂田 期雄(東洋大学教授)

国と地方との関係に焦点を合わせ、国から地方への各種の規制と、その緩和をどう図るか。全国の自治体へのアンケート結果から考察する。


一般記事

経済活性化に向け、規制緩和の断行を


今井 敬(経団連経済構造問題委員長)

経団連の提言「規制緩和の経済効果に関する分析と雇用対策」を提言の取りまとめにあたった今井委員長が解説。

消費者ニーズに適合した流通システムを


青木 辰男(経団連流通委員会委員長代理・企画部会長)

価格規制や参入規制、設備規制など流通分野には多種多様な規制があり、事業者の創意工夫を活かした自由な販売活動の妨げになっている。これらの規制を緩和すれば、価格引下げやサービスの改善など、消費者利便の向上に直結する。

大胆な規制緩和で農業・食品産業の活性化を


─ 農業の魅力を高める
山崎 誠三(経団連農政問題委員会農政部会長)

農業・農村の崩壊の危機を救い、農業が魅力ある産業として自立するには、抜本的規制緩和が必要だ。

─ 食品工業の競争力強化を
浅田 健太郎(経団連農政問題委員会食品工業政策部会長)

食品工業が発展を続けていくためには、原料調達問題などの早急な改善が求められる。

経済協力の新たなパラダイムを提言


─ 冷戦後のわが国の国際貢献と経済協力の役割
米倉 功(経団連副会長)

冷戦後の経済協力の目標として3つの基本認識と「5つの具体的提言」を示す。グローバル・グロース(世界経済の持続的かつ安定的な成長)のための新たな経済協力の展開は何如。

冬のロシアを訪れて


河毛 二郎(日本ロシア経済委員長)

日ロ間の経済交流は近年低迷しているが、日ロ両国の潜在的可能性に見合う交流の実現が求められる。

新生南アの意気込み


─ 訪南アフリカミッションの印象
笠原 幸雄(経団連サブサハラ委員長)

黒人を含む全人種の初めての選挙で誕生したマンデラ国民融和政権の発足は、今世紀の政治的奇跡である。新しい国づくりへの意気込みを見てきた筆者の印象は?

活気あふれるアメリカ情報通信産業


─ 経団連訪米情報通信調査団概要
三木 利夫(経団連情報通信委員会通信政策部会長)

マルチメディアの発達をはじめ活気溢れるアメリカ情報通信産業。その原動力は技術革新なのか、競争政策なのか。

欧州がひとつになる理由


─ 防衛生産委員会対欧州ミッション報告
日根野 穣(経団連防衛生産委員会総合部会長)

「欧州には長い紛争の歴史がある」とフランス政府関係者は語った。この「歴史」に裏付けされた安全保障に関する意識の高さと、アメリカ防衛産業との競争・協力が欧州間の結束を強めている。

国連海洋法条約の発効と日本の対応


栗林 忠男(慶応義塾大学法学部教授)

国連海洋法条約は壮大な海の法典である。紆余曲折をたどった条約の発効は、わが国の海洋政策にも種々の検討すべき課題をもたらした。

天界の宝物


─ 宇宙開発と私たち
野本 陽代(サイエンスライター)

埋蔵された宝物のように、大宇宙の前哨は有史以前から冒険好きな人々をさし招いている。未知なるものとの遭遇の場、宇宙への挑戦が私たちに何をもたらすか。

政治と金(3)


政党の独立性
田代 正美(経団連社会貢献部課長)

「政党に対する適切な資金供給は民主主義の前提条件である」とドイツ、イギリスでは企業の政治寄付肯定論を聞いたが──。


シリーズ

●ずばり、きらり ─ 広報委員長です
今井 敬 経団連経済構造問題委員長にきく
聞き手:関本 忠弘(経団連広報委員長)

痛みを乗り越え、日本経済を蘇らせよ

円高、空洞化と雇用の減少─。今、規制緩和を実行しなければ日本経済の未来はない。

●こんな規制はもういらない!

まだ改善の余地多い車検制度


五十嵐 英明(経済評論家)

わが国の車検システムを「前検査・後整備」にすれば過剰整備は防げる。

●ドラッカーが斬る現代

過去から脱却せよ

社会生態学者のP.F.ドラッカーが観察する、成果を上げるエグゼクティブの条件

●経営者のひととき(エッセイ)

小兵衛さん


梁瀬 次郎(ヤナセ会長)

生涯の友─ブレイクの彩飾本


小林 春男(八十二銀行取締役相談役)

●美への視線〔サントリー美術館〕

切子に見る東西文化交流


土屋 良雄(サントリー美術館事務局長)

島津斉彬藩主の殖産興業政策として推し進められた薩摩ガラス、濃い藍色の船形のガラス鉢が語る来歴を知る。

●エッセイ「豊かの国で」

美しく心豊かな居住環境は実現できる


菊竹 清訓(建築家)

●地球発ビジネス事情

「近くて近い国」マレーシア


藤原 清明(在マレーシア日本国大使館専門調査員)

多民族国家のリーダー、マハティール首相は2020年までに先進国の仲間入りをする目標を掲げている。その具体的な課題は何か。

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