日本経団連タイムス No.2778 (2005年8月4日)

「知的財産権に関する行動指針」策定

−他者の権利の尊重など会員企業に順守呼びかけ


日本経団連は7月19日、「知的財産権に関する行動指針」を公表した。知的財産立国を実現する上では、知的財産権を尊重する文化の浸透が不可欠であることから、会員企業に対して、同指針の順守について、格段の配慮を呼びかけていく。

日本経団連では今年3月に、産業技術委員会知的財産部会(石田正泰部会長、当時)と産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会(依田巽部会長)が協力して、提言「知的財産推進計画2005の策定に向けて」をとりまとめるなど(3月31日号既報)、知的財産をめぐる課題に取り組んでいる。政府も、知的財産戦略本部を中心に、6月10日に、知的財産推進計画の2回目の改訂を行い、「知的財産推進計画2005」をとりまとめるなど、このところ、知的財産権に関するさまざまな改革を進めてきた。
今後は、これまでの成果を国際競争力の強化に着実につなげていくことが特に重要であり、そのためには、知的財産権の重要性を改めて認識し、権利を尊重する文化を浸透させていくことが求められるところとなっている。

日本経団連では既に、「企業行動憲章」の精神を自主的に実践していく上で必要な項目を例示した「企業行動憲章実行の手引き」において、知的財産権の重要性を指摘するとともに、他者の知的財産権の尊重や、職務発明の適切な取り扱い、機密情報の管理の徹底を訴えている。これに加えて、今般、企業活動における知的財産権の位置付けが高まる中、「企業行動憲章実行の手引き」の内容を中心に、主な関連項目を整理して、「知的財産権に関する行動指針」をとりまとめた。
同指針の内容は、以下のとおり。

知的財産権に関する行動指針

産業界は、国際競争力の強化の観点から、経営戦略の一環として、知的財産権の創造、適正な保護、積極的な活用への取り組みをさらに充実していくとともに、知的財産権を尊重する文化を、国際的調和をも目指しながら、より深く浸透させていくために、企業行動憲章およびその精神を踏まえ、以下の指針に則り、行動するものとする。

1.知識社会における知的財産権の重要性に鑑み、他者の知的財産権を尊重するとともに、国内外においてそのための風土作りに努める。

2.企業内における適正な手続を踏まえた職務発明規程の整備や発明者との個別契約の締結などを通じて、発明創出への環境を整備する。

3.機密情報の取扱いに関する基本方針・社内規定の整備やその適正な運用により、技術の意図せざる流出・流入の防止を徹底する。

4.知的財産権の創造・保護・活用にあたって、企業価値の最大化を図ると同時に、独占禁止法等を遵守し公正かつ自由な競争の促進を図る。

【環境・技術本部開発担当】
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