日本経団連タイムス No.2903 (2008年4月24日)

G8ビジネス・サミット共同声明(要旨)


G8主要経済団体(日本経済団体連合会、イタリア産業連盟=CONFINDUSTRIA、カナダ商工会議所=CCC、フランス経団連=MEDEF、ビジネス・ラウンドテーブル=Business Roundtable、全米商工会議所=U.S.Chamber of Commerce、米国国際ビジネス評議会=USCIB、英国産業連盟=CBI、ロシア産業家企業家連盟=RSPP、ドイツ産業連盟=BDI、ビジネス・ヨーロッパ=BUSINESSEUROPE)首脳は17日、東京で第2回G8ビジネス・サミットを開催し、以下を北海道洞爺湖サミットで優先的に検討するよう提言した。

1.世界経済の安定と成長の確保

G8諸国の緊密な協調によって、世界経済の安定と力強い成長を実現すべきである。世界経済は不透明感を増しつつあるが、長期的には回復力がある。

2.イノベーションの促進と保護

地球規模の課題を解決しながら世界の持続的成長を実現するためには、イノベーションの推進・強化が不可欠である。投資リスクを安心して負えるような環境整備と、省庁の枠を超えた支援と産・学・官・市民社会の国際的な連携が重要である。科学技術予算の拡充、研究開発税制の拡充等に加え、科学技術以外の分野の政策の一体的推進、オープン・イノベーションのための協力の強化等に取り組むべきである。
模倣品・海賊版に対抗すべく、知的財産権の保護と執行の強化と、途上国におけるキャパシティ・ビルディングへの協力を推進すべきである。模倣品・海賊版拡散防止条約の正式交渉を開始し、早期成立をめざすべきである。特許のハーモナイゼーションに向け、特許付与の要件や先願主義などの調和に関する議論を進展させるべきである。

3.地球温暖化への対応

ポスト京都議定書の国際枠組みにおいて以下の点が必要である。

  1. (1)すべての主要排出国の参加
  2. (2)地球規模の長期削減目標を含む長期的な協調行動のための共有できるビジョンの検討
  3. (3)温室効果ガスの削減方法について各国に適した柔軟性と多様性の確保
  4. (4)環境、エネルギー安全保障、経済の適切なバランスの確保
  5. (5)削減措置に関する主要排出国間の公平性の確保

北海道洞爺湖サミットでは、以下の点について、前向きな合意形成がなされることを期待する。

  1. (1)公平な排出削減
  2. (2)協力的セクトラル・アプローチの推進
  3. (3)革新的な技術の開発・普及の促進
  4. (4)途上国支援のための資金メカニズムの確立
  5. (5)技術の普及や協力を促進する知的財産権の保護
  6. (6)環境に優しい製品に対する貿易障壁の撤廃
  7. (7)途上国への自発的な技術移転の促進

経済界は、引き続き以下に取り組んでいく。

  1. (1)温室効果ガスの削減
  2. (2)省エネ製品・革新的技術の研究開発・普及
  3. (3)通常の商業取引を通じた途上国への技術移転
  4. (4)土地利用・土地利用の変更・植林への取り組みの支援
  5. (5)セクトラル・アプローチの推進への協力
  6. (6)温暖化への影響を低減する調達・投融資慣行の促進
  7. (7)温暖化防止のための経済界の取り組みに関する原則の検討

4.貿易・投資の自由化促進

G8およびWTO主要加盟国の指導者は、WTOドーハ・ラウンドの年内妥結に向けて指導力を発揮し、政治的決断をすべきである。自由貿易協定は多角的な貿易自由化に資するものであり、アフリカ、アジア等の地域において、世界に開かれた形で経済統合を深化させていくことは、これら地域の潜在力を引き出す基盤となる。
投資の自由も持続的成長と長期の繁栄に不可欠である。海外直接投資は、競争とイノベーションを促進するものであり、多くの地域の経済発展にとって重要である。ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)は世界的規模の投資機関に相応しいリスク管理体制を持つべきであり、説明責任と透明性をもって民間と公正に競争する必要がある。G8諸国は、外国からの投資に対し新たな障壁を築くのではなく、IMF、OECDの努力を支持、促進すべきである。

5.経済成長を通じた開発問題の解決

民間部門の力を活用することは、開発問題を解決し、貧困を削減するための最も有効かつ実現可能な手段のひとつである。
新興国と開発問題に関する対話と協力を積極的に進めるとともに、人権、法の支配、腐敗防止、環境保護などに関する国際的に認められた規準を浸透させるべきである。

【国際第一本部】
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