日本経団連タイムス No.3001 (2010年6月17日)

関西会員懇談会を大阪で開催

−関西地域の活性化などで意見交換


約350名が出席した関西会員懇談会

日本経団連は9日、大阪市内で関西会員懇談会を開催した。懇談会には米倉弘昌会長はじめ、副会長、評議員会副議長や関西地区の会員企業代表者ら約350名が出席、わが国の経済成長と国民生活の向上、関西地域の活性化に向けた諸課題について意見交換を行った。今回の関西会員懇談会は、5月27日の米倉会長就任後、1回目となる。

開会あいさつで米倉会長は、就任早々の6月8日に発足した菅内閣に対して「新内閣への要望」を取りまとめ、発表したこと、またこの要望では、わが国の経済情勢が依然として厳しく国民の将来不安も広がっているなかで、日本経済を一刻も早く再生させるとともに、民主導の自律的な経済成長と雇用の創出、税・財政・社会保障の一体改革により安心・安全な社会を実現するために強力なリーダーシップを発揮するよう求めたことを明らかにした。また、経団連として政府にさまざまな働きかけを行う一方で、企業として、知恵を絞り、日本ならではの容易にまねのできない強みを存分に発揮して果敢に挑戦していくことで日本経済を復活させ、新たな繁栄を築くことができると確信していると述べ、民間企業および民間団体を代表する「国民とともに歩む経団連」として新しい日本経済の構築に向け、リーダーシップを発揮していきたいと決意を述べた。

続いて5月27日の定時総会で選任された川村隆副会長、三浦惺副会長、中村芳夫副会長・事務総長の3氏が新任あいさつとして抱負を語った。

■ 活動報告

活動報告では、奥田務評議員会副議長が4月の提言「豊かで活力ある国民生活を目指して〜経団連成長戦略2010」、渡辺捷昭副会長が「APEC2010に向けての経団連の取り組み」、榊原定征副会長が「科学・技術・イノベーションの推進に向けて」、三浦副会長が「経営環境の変化にともなう企業と従業員のあり方」、中村邦夫副会長が「道州制導入に向けた取り組み」、大橋洋治副会長が4月の提言「わが国観光のフロンティアを切り拓く」について、それぞれ説明した。

■ 自由懇談

自由懇談では、関西地区を代表して、大林組の大林剛郎会長、日本触媒の近藤忠夫社長が発言。

大林会長は、世界の産業・社会構造が大量生産大量消費のサプライヤー指向から、市場の変化に対応できるユーザー指向に転換するなか、アイデアを事業化する構想力や市場を知る情報力が重視されており、わが国の都市・地域が国際競争で優位に立つためには、グローバルな視点と豊かな構想力を持った高度な人材「クリエイティブ人材」を育成し確保していくことが不可欠と指摘。今後関西地区がクリエイティブ人材を引き付ける都市の環境整備に努めるとともに、政府に制度的支援や大幅な規制緩和を訴えたいとして、経団連の支援も求めた。

これに対し、岩沙弘道副会長が、政府が大都市や地方都市の再生を新成長戦略の柱の一つに掲げ、検討を行っていることを紹介。経団連として政府の動きに対応し、今年3月に提言「わが国の持続的成長につながる大胆な都市戦略を望む」を取りまとめ、(1)国際競争力や社会的課題解決に重点を置いた高度な都市インフラの構築(2)財政負担を抑えながら都市機能を高度化していくための民間の知恵やノウハウ、資金の活用(3)都市再生特別措置法の改善・恒久化など都市開発に関する法制度の見直し(4)具体的なプロジェクトにパッケージ化した支援措置を集中的に投入するモデルプロジェクトの実施――を求めていることを説明した。

近藤社長は、日本触媒の環境関連事業・環境問題への取り組みを紹介したうえで、経団連に対し、政府が掲げた2020年に1990年比25%削減との温室効果ガス排出削減目標は実現困難であることから、実現可能な総合的な対策の構築と国際社会との共通目標・協調路線の構築を訴えた。

これに対し、西田厚聰副会長が、(1)国際的な公平性、国民負担の妥当性、実現可能性の観点を踏まえ、国民的な議論を行う必要があるとの考えを政府にさらに強く伝える(2)経済界自身も「低炭素社会実行計画」を取りまとめ推進する(3)すべての主要排出国が参加する公平で実効ある枠組みの構築を目指す――との経団連の考え方と取り組みを説明。さらに、「環境と経済の両立」を進めるカギとなる技術の普及・開発に向けた今年3月の提言「グリーン・イノベーションによる成長の実現を目指して」の概要を紹介した。

■ 関西経済の活性化に向けて

最後に、住友金属工業の下妻博会長が関西経済の課題と経済界の取り組みについて述べ、特に、関西広域連合について早期設立への強い期待を表明した。

これに対し、米倉会長は、会合の総括のなかで、関西広域連合は府県の壁を越える全国初の取り組みであり、大いに支援したいと述べた。

【総務本部】
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