日本経団連タイムス No.3028 (2011年1月27日)

海江田経産相と懇談

−成長戦略、TPP、環境、税・財政・社会保障一体改革など


日本経団連(米倉弘昌会長)は20日、東京・大手町の経団連会館で、経済産業省幹部との懇談会を開催した。懇談会には、経産省から海江田万里経済産業大臣、池田元久経済産業副大臣、松下忠洋経済産業副大臣、中山義活大臣政務官、田嶋要大臣政務官らが、経団連から米倉会長、渡文明評議員会議長、副会長、評議員会副議長らが出席した。

冒頭、あいさつした米倉会長は日本経済の現状に触れたうえで、「強い経済、強い財政、強い社会保障」を実現するため、新成長戦略を早期に実行するとともに、税・財政・社会保障制度の一体改革の断行やTPP(環太平洋経済連携協定)への参加、EPA・FTAの締結等を通じた「平成の開国」の実現が必要と指摘。その早期実行に向けた海江田大臣のリーダーシップに期待を示した。

また、経団連としても「行動する経済団体」として民主導の経済活性化に力を注ぐとして、昨年末に公表した「サンライズ・レポート」12月14日号既報)で示した「未来都市モデルプロジェクト」等の推進に意欲を見せた。

続いてあいさつした海江田大臣は、「平成の開国」により日本を開いていくことは重要で、TPPや農業支援に取り組んでいくとしたうえで、法人税の実効税率の5%引き下げ等にもしっかり対応していくと述べた。

あいさつする米倉会長(右)と海江田経産相

意見交換では、経団連側から、「デフレ脱却や国際競争力の強化に向け、新成長戦略の網羅的で遅滞ない推進や、事業環境の国際的なイコールフッティングの確保が重要」(森田富治郎副会長)、「WTOドーハ・ラウンドの本年中の妥結、TPPを含むEPAの推進が不可欠。特に、各国がEPAのネットワークの拡大に力を入れるなか、わが国が国際競争で不利な立場に置かれないよう主要国との協定をできる限り早期に締結する必要があり、そうした高いレベルのEPAを実現するためには、国内産業の競争力強化などさまざまな分野において抜本的な改革を断行すべき」(西田厚聰副会長)、「経済界では『低炭素社会実行計画』を策定し、2050年の世界の温室効果ガス半減に技術で貢献できるよう取り組みを実施。温暖化対策にあたっては、環境と経済が両立できるよう、国民生活や雇用、産業競争力に与える影響等を踏まえ慎重に検討するとともに、国連の気候変動交渉ではすべての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築を期待」(清水正孝副会長)、「法人実効税率の5%引き下げを実施するため、税制改正関連法案が滞りなく成立することを期待。社会保障制度の持続可能性に対する国民の不安を払拭するためにも、中長期的な財政健全化の推進、持続可能な社会保障制度の確立を一体的に進めていくことが急務。とりわけ高齢化に伴う社会保障費用の将来にわたる増加分と公的負担割合の引き上げ分については消費税率の引き上げによって対応するとの原則を確立し、速やかかつ段階的に消費税率を10%まで引き上げるべき」(渡辺捷昭副会長)などの発言があった。

【産業政策本部】
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