日本経団連タイムス No.3035 (2011年3月17日)

採用選考に関する企業の倫理憲章を改定

−広報活動の開始時期明記


日本経団連は15日、企業に秩序ある採用選考活動を求める「採用選考に関する企業の倫理憲章」(倫理憲章)およびその「参考資料」を改定し、公表した。現在の就職活動においては、とりわけ学部3年/修士1年次の早い段階からの活動の過熱が問題となっており、その対応として、2013年入社対象者の採用選考から倫理憲章を大幅に見直すことを1月12日付で公表している(1月20日号既報)。その後、インターンシップの取り扱いを中心にさらなる検討を続け、今般、「倫理憲章」と「参考資料」として取りまとめた。改定のポイントは次のとおり。

第1に、広報活動の開始時期を初めて倫理憲章上に明記した。広報活動の開始については、学部3年/修士1年次の「12月1日」以降と規定し、面接など選考活動の開始時期については、現行通り最終学年の「4月1日」以降とした。

第2に、広報活動の開始時期を12月1日以降と規定したことにより、それより前に行うことができるインターンシップについて考え方を整理した。最近では、本来の就業体験の提供という趣旨から外れ、1日で行われる企業セミナーと大差ないものが開催されている実態があるほか、学生側も就職活動の一環ととらえており、過熱化の一因となっている。そこで参考資料中に、12月1日より前に実施可能なインターンシップの具体的な要件を次のように規定した。

(1)5日間以上の期間実施する(2)学生を職場に受け入れる(3)採用選考活動と関係ない旨をホームページなどで宣言し、学生に対しても周知徹底する(4)告知、募集のために説明会は開催せず、ホームページなどウェブ上や、大学等を通じて行う(5)プログラム内容を一般に公開する(6)取得した個人情報をその後の採用選考活動で使用しない(7)大学等のカリキュラム上、特定の年次に行うことが必要な場合を除き、募集対象を学部3年/修士1年次の学生に限定しない。

第3に、昨今、社会的な要請が高まっている海外留学生や未就職卒業者への対応を図るため、通年採用や夏季・秋季採用、既卒者の応募受け付けなど多様な採用機会の提供に努めることを明記した。

今後は、今回の見直しの趣旨の実現と徹底に向け、会員企業への一層の周知を行うとともに、例年同様、「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」への賛同企業を募り、ホームページ上で発表する予定である。

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なお、同日の理事会で、2012年入社対象者の採用選考活動について、エントリーシートの締切りの延長など被災、影響を受けた学生への配慮を会員企業に呼びかけた

【労働政策本部】
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