日本経団連は22日、提言「震災対応において金融面での万全の措置を求める」を公表した。今回の提言は、3月31日に公表した「震災復興に向けた緊急提言〜一日も早い被災地復興と新たな日本の創造に向けて」(4月7日号既報)を受け、金融制度委員会(奥正之委員長)において短期間に集中的に検討を行い、取りまとめたもの。
震災後、政府・日本銀行が金融面での緊急措置を迅速に講じたこともあり、今のところ金融市場の流動性や緩和的な金融環境は維持されている。
ただし、サプライチェーンの分断や首都圏を含む東日本における電力供給制約の長期化により、震災からの復旧・復興に向けた動きが本格化するまでの間、企業活動や個人消費全般が停滞するおそれがあることから、日本経済の先行き不透明感が増しており、今後の金融市場や金融システムの動向を注視する必要がある。
特に震災後は、社債市場をめぐって投資家のリスク回避姿勢も高まり、社債の新規発行による資金調達が行いにくい状況となっている。一方で、サプライチェーンの早期復旧や企業活動の維持・回復に向けた資金需要の高まりも予想される。
したがって、早期の復旧・復興に向け、金融面での支援をより確実かつ強力にするには、金融市場や金融システムの安定確保はもちろん、円滑な資金繰りや緩和的な金融環境の維持にも万全を期していく必要がある。
政府は、金融面での対応を含む補正予算ならびに関連法案を早期に成立・施行させるとともに、一定の財政規律を維持しつつ、復興財源のあり方を検討し、内外市場からの信頼確保に努めるべきである。
提言では、震災対応のため次の政策措置を早急に講ずることを求めている。