経団連タイムス No.3044 (2011年6月9日)

「復興・創生マスタープラン」公表

−再び世界に誇れる日本を目指して


経団連は5月27日、東日本大震災からの「復興・創生マスタープラン」を公表した。
今回の震災は被災地域の規模、被害の程度ともに未曾有の大災害であり、いまだ復旧も道半ばであるが、震災復興を迅速に進めるためには、復旧の段階から明確な青写真とスピード感をもって取り組む必要がある。国、自治体、経済界を含めた国民全体が痛みを分かち合い、一丸となって取り組む覚悟が求められている。
そこで、経済界としても責任を持って役割を果たすという決意のもとで、マスタープランを取りまとめている。概要は次のとおり。

■ 強力な司令塔の一日も早い設置

経団連は4月22日に公表した提言「震災復興基本法の早期制定を求める」において、縦割り行政を排除し、復興に関わる一切の権限を持つ強力な司令塔としての「震災復興総本部(仮称)」を早期に設置したうえで、まちづくりや産業の復興、インフラの整備等、あらゆる分野の施策を一元的かつ総合的に計画・実行するよう求めた。しかし、基本法はいまだ成立せず、司令塔不在の状態が震災発生後3カ月近くも続いている。このままでは、各省庁がばらばらに施策を進めた結果、「理念なき、なし崩し的原状復帰」に終わるおそれがあり、一日も早い体制の整備が待たれる。

■ 震災復興特区による大胆な特例

また、今回のような未曾有の被災には、従来の施策の延長上では到底、対応できない。被災地域全体を震災復興特区に指定し、まちづくりや産業、農業などの復興に向け、規制、税制、財政支援等の面で大胆な特例を迅速に講じる必要がある。例えば、建築確認手続の迅速化や廃棄物処理法の規制改革といった、特区全域に自動的に適用される特例に加え、工業団地立地企業の法人税・固定資産税の減免といった、国・自治体の復興計画に沿った事業に対して適用される特例をあらかじめリストアップすることで、複雑な申請・認定手続なしに迅速に特例を適用すべきである。

■ 民間活力の活用

復興にあたり、公的部門のみで被災地の膨大なニーズを満たすことは非現実的である。従来の発想を超えた新たなかたちの官民連携を進め、民間の知恵や活力をこれまで以上に活用すべきである。

まちづくりについては、将来にわたり安心・安全な暮らしを送ることができる災害に強いまちを実現するために、経団連の「未来都市モデルプロジェクト」で用いられるような、企業が持つ最先端の製品・技術・ノウハウを活かすことができる。

産業復興については、東北地方が強みを持つ電子部品等の分野で産業集積や産学連携を進め、高付加価値化を図ることが重要である。同時に、日本全体の問題として、風評被害対策やサプライチェーンの再構築も急務である。

農業分野においても、公的機関が農地の集約化を図ったうえで、民間企業が農業経営や農商工連携により成長産業化に貢献できる。

【産業政策本部】
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