震災復興基本法の早期制定を求める

2011年4月22日
(社)日本経済団体連合会

日本経団連では、東日本大震災で甚大な被害をこうむった地域の早期復旧復興と新しい日本の創造に向け、去る3月16日、被災者の生活ならびに被災地の産業・経済の一刻も早い「復旧」に焦点をあてた「未曾有の震災からの早期復旧に向けた緊急アピール」を関係方面に建議するとともに、3月31日には、「震災復興に向けた緊急提言」において、被災地を中心とする「復興」への取り組み強化を提言した。

とりわけ、政治の強いリーダーシップによる国をあげた迅速かつ一体的・総合的な取組み強化は喫緊の課題であり、被災地域の早期復興と新しい日本の創造に向けた「基本法」を制定し、強力な指揮命令権を持つ司令塔を確立するとともに、被災地の人々の声を十分に反映した「基本計画」の策定等を急ぐべきである。

そこで、今般、これら早期復興等に向けた強力な体制整備につき、下記及び別紙の通り、より具体的な経団連の考えを提言する。

1.震災復興基本法の制定

東日本大震災で甚大な被害をこうむった地域の早期復興と新しい日本の創造に向けた施策を迅速かつ総合的に推進するため、基本的な理念その他の基本事項を定めるとともに、震災復興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための「震災復興基本計画」の策定、国全体としての強力な司令塔である「震災復興総本部(仮称)」の設置、基本計画に基づく施策の一元的実施のための「震災復興庁」の設置などの体制を整備する「震災復興基本法」を制定する。

2.震災復興基本計画、広域地方計画の策定

政府は、地方の意向を反映しつつ、新しいまちづくり、産業復興、道路・鉄道・港湾・空港・情報通信等の整備、雇用の維持・確保、国土の良好な環境・文化・景観の保全、復興財源確保と財政健全化の両立、震災復興特区の指定等を計画内容とする「震災復興基本計画」を、基本法施行後速やかに作成し閣議決定する。

国の基本計画に基づき、被災地域の地方公共団体はそれぞれの地域の特性や住民の意向を踏まえた施策を推進するため地方計画を策定することとし、被災地域の地方公共団体間の広域連携を推進すべく、複数の県間及び市町村間での協議会により「震災復興広域地方計画」を策定するものとする。

3.震災復興総本部(仮称)の設置

縦割り行政を排除し震災復興に係る一切の権限・予算を集約した司令塔として「震災復興総本部(仮称)」を内閣に設置する。

震災復興総本部は、震災復興基本計画案の作成及び実施の推進、同計画に基づいて実施する施策の企画・立案・総合調整等を掌り、総本部長を内閣総理大臣、総本部長代理を専任の国務大臣とし、震災復興基本計画等に基づき行政各部を指揮監督する。その他の全ての国務大臣を総本部員とするとともに、与野党幹部や被災地域の自治体等の関係者の震災復興総本部への参画を求め、国をあげた体制とする。また、有識者等の意見の聴取や施策の実施状況の評価・監視のための組織を設置できるものとし、事務局には行政の内外から精鋭を集める。

4.震災復興庁の設置

震災復興総本部の下に、震災復興基本計画に基づく震災復興に関する施策を一元的かつ地方公共団体と連携して総合的に実施するため機関として、震災復興に関する施策の実施権限と地方公共団体との調整機能を持ち、震災復興総本部長代理を長とする「震災復興庁」を設置する。

なお、震災復興庁は、震災復興基本計画の実施期間内の時限機関とし、設置期限終了時には震災復興庁及び関連の全ての権限を広域自治体に移管し、道州制につなげていくものとする。

以上

【別紙】

震災復興基本法の骨子

第一 総則

一 目的
二 基本理念
三 国及び地方公共団体の責務

第二 震災復興基本計画

一 震災復興基本計画の策定

第三 震災復興広域地方計画

一 震災復興広域地方計画の策定
二 震災復興広域地方計画協議会の設置

第四 震災復興総本部(仮称)

一 震災復興総本部の設置
二 所掌事務
三 震災復興総本部の構成員
四 震災復興総本部長
五 震災復興総本部長代理
六 震災復興総本部員
七 資料の提出その他の協力
八 その他

第五 震災復興庁

一 震災復興庁の設置
二 所掌事務
三 震災復興庁の長
四 組織等
以上

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