経団連タイムス No.3071 (2012年1月26日)
連載記事

新しい経団連の運営(1)

−公益法人改革と一般社団法人への移行


新しい経団連の運営
  1. 公益法人改革と一般社団法人への移行
  2. 総会・理事会
  3. 会長・副会長会議、幹事会と常任幹事会、
    政策委員会
  4. 審議員会、審議員会議長・副議長会議、
    地方団体長会、名誉会長、顧問
    それぞれの立場から会の運営を支える
  5. 会員資格、事務局

経団連の公益法人改革への対応

経団連は、2011年の総会で一般社団法人への移行を決議した後、内閣府に申請を行い、同年10月に移行の条件を満たしているとされました。今年3月後半に認可を得て、3月30日に一般社団法人に移行する予定です。

経団連では、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、法人法)に沿って、株式会社に準じたガバナンス体制を整備しつつ、従来のように自由で幅広い活動を展開できるような機関設計を行いました。今後、5回にわたり、新しい法人の姿について説明します。

第1回となる今回は、公益法人改革の概要と、経団連が一般社団法人に移行する理由について説明します。

公益法人改革の概要

従来は、主務官庁に認められたものだけが公益法人となることができ、設立等の要件は主務官庁の裁量権に委ねられていました。08年12月に施行された公益法人改革三法により、「民による公益」を増進するために、要件を満たせば一般社団法人・一般財団法人を設立してルールのなかで自由に運営することができるようになり、さらに国または都道府県の委員会の認定を受ければ、税制上の優遇措置を受ける公益社団法人・公益財団法人となることとなりました。

経団連が一般社団法人に移行する理由(図表1参照)

図表1 一般社団法人と公益社団法人の比較

一般社団法人公益社団法人
事業等の制限
  • 基本的に自由
  • 「公益目的支出計画」実施期間中
    は一部制限あり
  • 「公益認定基準」の遵守
     公益目的事業50%以上
     収支相償
     遊休財産の保有制限
  • 取消時の公益目的取得財産の贈与
  • 連座制 等
所得課税一般:全所得課税
非営利型:収益事業課税
収益事業課税
寄附金税制なしあり

経団連は、日本経済全体の発展のための政策提言を取りまとめて実現を働きかけております。また、東日本大震災の被災地支援や復旧・復興への取り組み、企業行動憲章環境自主行動計画など会員の活動の指針となる計画・規範の策定など、「国民と共に歩む経団連」として、会員のみならず、広く社会に貢献するための活動を行っております。

こうした現状を踏まえ、移行後の経団連の定款では、目的を「総合経済団体として、企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、我が国経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与すること」と明記しました。

移行にあたって経団連では、法律の求めるガバナンスを満たしつつも、従来のように、広く会員各位に参加していただきながら、自由で幅広い活動を行えることを重視しました。公益社団法人は、税制面で優遇されますが、公益認定基準と行政庁の監督のもとで事業に一定の制約が課されますので、経団連は一般社団法人に移行することを選択しました。

税制面でも、一般社団法人となっても「非営利型」であれば、公益社団法人と同様に収益事業のみが課税対象となります。また、寄附金は公益社団法人のみが優遇されますが、経団連は寄附金を直接受けていません。このため、経団連が一般社団法人に移行することで税制面の大きな不利益を被ることはありません。

経団連は一般社団法人に移行して図表2にある事業に取り組み、我が国経済の発展と国民生活の向上に一層貢献できるよう活動してまいります。

図表2 経団連の事業(新法人の定款より抜粋)
  1. 経済、産業、社会、環境、科学技術、労働及び経営等の分野における諸課題に関する調査及び研究を行い、経済界の知識及び経験を広く活用して政策を提言し、実現を働きかけること。
  2. 民間による国際交流を推進すること。
  3. 会員間の連絡及び連携を推進すること。
  4. 会員等の指針となる計画及び規範を作成すること。
  5. 経済界の実状及び意見等を内外に紹介し理解を促進すること。
  6. 機関誌及び機関紙の発行並びに資料の出版をすること。
  7. 各種セミナー、講演会及び説明会等を開催すること。
  8. 社会貢献に資する募金等の斡旋を行うこと。
  9. 経団連会館の運営を行うこと。
  10. その他この法人の目的を達成するために必要な事業を行うこと。
【総務本部】
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