表紙イメージ 経済Trend ロゴ2008年2月号

日本型雇用システムの新展開
〜2008年春季労使交渉・協議に向けて
今月の表紙: 原田正則 作 「つばき」 (ふれあいアートステーション・ぎふ提供)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

日中韓協力で渤海の再生を
岡 素之 (日本経団連評議員会副議長/住友商事会長)

特集
日本型雇用システムの新展開
〜2008年春季労使交渉・協議に向けて

豊かな国民生活を築くには、企業活動を活性化し、雇用や所得を増やしていくことが重要である。そのためには労使が協力して、人材を重視する「日本型雇用システム」をさらに深化させ、生産性を高めていく取り組みが求められている。2008年版経営労働政策委員会(経労委)報告を基に、今次の労使交渉・協議の焦点、経営側の姿勢や対応を議論する。
座談会
草刈隆郎 (日本経団連副会長・経営労働政策委員長/日本郵船会長)
今次の労使交渉・協議では、引き続き生産性に見合った人件費の決定や、働き方の多様化を踏まえたワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現が重要なテーマとなる。賃金をはじめとする労働条件の決定にあたっては、グローバル競争の激化、総額人件費管理の視点、経済の安定的な成長の確保などを踏まえることが重要である。
氏家純一 (日本経団連副会長・地方団体長会議長/野村ホールディングス会長)
少子化・高齢化で労働力人口が減少していく中、企業はいかに魅力的な働き方を提供できるか、従業員のやる気を引き出し生産性を上げる人事・評価制度を構築するかがポイントである。優秀な人材を集められるよう、ワーク・ライフ・バランスの取り組みに労使双方が知恵を出すことが求められる。
鈴木正一郎 (日本経団連評議員会副議長・雇用委員長/王子製紙会長)
日本の賃金・評価制度を再構築する際には、日本人が一番モチベーションを高くして働けるような環境をめざさなければならない。労働流動性などを、日本的につくり上げつつ、日本型としていいところはしっかり残し、直すところは積極的に直していく姿勢が今後の課題である。
市野紀生 (日本経団連労働法規委員会共同委員長/東京ガス会長)
昨今の労使交渉・協議は、単に賃上げの議論だけでなく、経営にかかわるいろいろな施策、物心両面にわたった処遇全般について話し合い、理解をしながら進めていく方向にある。労使が相互に信頼を深めつつ、長期的に会社を発展させ、すべての社員が生きがいのある働きができるよう努めることが重要である。
紀陸 孝 (司会:日本経団連専務理事)

● 企業を取り巻く経済環境、経営環境の変化

● 日本型雇用システムの変化と課題

● 今次春季労使交渉に臨む経営側の視点

「2008年版経営労働政策委員会報告〜日本型雇用システムの新展開と課題」について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/109.pdf
日本経団連労政第一本部
経労委報告の役割〜経営者協会の立場から
松浦康男 (静岡県経営者協会会長/静岡銀行会長)
国際競争を闘う日本の経営者に向けて
〜グローバル企業のリーダーシップに期待する
高橋 進 (日本総合研究所副理事長)
◆ 企業の取り組み ◆
役割・職務に応じた人事・賃金制度
人材育成と社員の働きがい向上を目指した人事・賃金制度
相場育男 (東京海上日動火災保険執行役員人事企画部長)
  • 制度導入にあたって
  • 役割等級制度の概要
  • リーダークラスの賃金・評価制度
  • 担当者クラスの賃金・評価制度
  • 新制度の効果・課題
「職務」を軸とした給与・評価制度の改革
村井良行 (日本たばこ産業常務執行役員(人事責任者))
  • 人事制度改革の背景・コンセプト
  • 人事制度の概要
    1. 資格制度
    2. 給与制度
    3. 評価制度
  • 今後の課題
人材の多様性を重視した施策
ポジティブ・アクションの限界とワーク・ライフ・バランスの必然性
木谷 宏 (学習院大学経済経営研究所客員所員(前ニチレイ経営企画部長 CIO))
  • 女性活躍推進の背景
    1. 成果主義の導入
    2. 職務満足度の男女格差
    3. 役職公募制度における女性応募者数
  • ポジティブ・アクションの概要
  • ポジティブ・アクションの成果
  • ポジティブ・アクションの課題
  • ワーク・ライフ・バランスへの取り組み
東芝の多様性推進の取り組み
岩切貴乃 (東芝多様性推進部部長)
  • 「女性従業員のステップアップ支援」から「多様性の受容と尊重」へ
  • 多様性の推進が求められる背景
    1. 少子高齢化の波
    2. グローバル化の波
    3. 企業の社会的責任・遵法
  • 多様性推進の取り組みと課題
    1. 多様性の受容と尊重
    2. ワーク・ライフ・バランスの実現
    3. 意識・風土の改革
  • 専任組織がなくなることが究極の目標
高齢者の再雇用制度への取り組み
大西利行 (積水化学工業CSR部人事勤労グループ長)
  • 取り組みの経緯
  • シニアパートナー制度の導入
  • 今後の方針
職場変革に挑戦する人材の育成・自己啓発
職場変革に挑戦する人材の育成とキャリア開発支援
深谷幸彦 (東京電力総合研修センター総合研修部長)
  • 職場改革が必要
  • 人と技術を育てる
  • イノベーションリーダー研修
  • キャリアビジョン研修
  • 職場変革の実現とさらなる発展に向けて
労働力人口減少への対応とワーク・ライフ・バランス社会の実現
佐藤博樹 (東京大学社会科学研究所教授)

提言
ICT教育のナショナルセンター構想
「高度情報通信人材育成の加速化に向けて」を発表〜
渡辺捷昭 (日本経団連情報通信委員会共同委員長/トヨタ自動車社長)
  • 高度ICT人材育成は国の礎
  • 先進的教育拠点の設立
  • 人材育成の全国展開の加速化
  • ナショナルセンター構想の早期実現を
PFIの拡大に向け抜本的な改革を求める
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/108/index.html
小倉勝彦 (日本経団連都市・地域政策委員会PFI推進部会長/大成建設専務)
  • PFI推進の今日的意義と提言の背景
  • 具体的な改革の方向
    1. ガイドラインの改定等を通じ早急に対応すべき課題
    2. 法制度の抜本的な改革が望まれる中長期的な課題
    3. PFIの拡大に向けた対応
高年齢労働者の安全衛生対策の充実について
〜第11次労働災害防止計画の策定への対応〜
清川浩男 (日本経団連労働法規委員会労働安全衛生部会長/三菱マテリアル副社長)
七年連続で目標をクリア
日本経団連環境自主行動計画2007年度フォローアップ結果〔2006年度実績〕
日本経団連産業第三本部
〈解説〉
改正パートタイム労働法の概要
日本経団連労政第二本部
和田龍幸さんを偲んで
中村芳夫 (日本経団連事務総長)

● 国際標準化最前線
国際標準に鈍感な経営者は、国際市場で生き残れない
三木弼一 (松下電器産業 前技術渉外客員(元代表取締役専務)/IEC Council Board 前日本代表委員)
● エッセイ「時の調べ」
生物と無生物のあいだ
福岡伸一 (分子生物学者)
● あの時、あの言葉
事業継続の基盤
佐藤 存 (ダイソー社長)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
感謝する気持ちを忘れずに
飯塚陽子 (東京大学医学部附属病院糖尿病代謝内科医師)
● NEW FACE
オリエンタルランド

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